エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第1部 果てしなき旅への軌跡 第1章 セラフ・リスタート・プレリュード

第12節 復活の光、復活の狼煙

 そして”祭壇”の前、ここでまた”我が名を唱え”ると、やはりホログラムが出現した。 すると――
「エンブリスとサーラの子らよ、”アンブラシア”への回帰を望むのであれば我らが同志の下を訪れよ。 さすれば”アンブラシア”への道は開けん――」
 ホログラムはそう言って消え去って行った――
「これでどうなることやら――」
 ガルヴィスは呆れながらそう言うと、アリエーラさんが”祭壇”のある個所に指をさしながら言った。 それは、元々”我が名を唱えよ”と書いてあった個所である。
「見てください! 何か別のことが書かれています!」
 リファリウスは考えていた。
「あれ、ほかの”祭壇”でもそうだったっけ?」
 フロレンティーナさんは言った。
「そういえば後がどうだったかなんて見てなかったわね――」
「”祭壇”だからね、こんな作りのものに変化があるとはまず考えないから見落としてたかな」
 フィリスもそう言った。で、何が書いてあるのかガルヴィスは訊くとリファリウスは答えた。
「例によってやっぱりエルフェドゥーナ文字だね。 内容は――”レビフィブの標は開かれた。回帰を望むものよ、次の我を探せ”か、 大したことは書かれていないけど、どうやらこの行為自体は間違っていないようだ。」
 するとリファリウスはそれをじっと眺めながら何やら考えていた。 どうしたのだろうか、フィリスが訊くとアリエーラさんが言った。
「確かに面白いですね。 エンブリア創世からどのぐらい経っているのかわからないですが、 場所の名前が変わらずに、同じ呼び名で通っているのってなんだかすごい気がします。」
 もちろんシンクロによるもの、リリアリス、リファリウス、アリエーラさんは一部意識が共有されているという妙な特徴がある。 それゆえ、互いの能力を利用したり、互いに考えていること・意識しているものがわかるのである。
 それはともかく、確かに2人が考えている通り、創世以来からであっているのかはともかく、長らく同じ名前で呼ばれているのってすごい気がする。 そう考えるとリファリウスは一つの結論を下した。
「エンブリア創世によれば、当時からこの名で呼ばれているという話だった気がする。 つまり、ここに記載されている名前は今の島の名前というよりは、 まさに当時から変わらないこの場所の名前そのものという感じだと思う。 だから少なくとも”回帰への道”はエンブリア創世記から存在している、で正しいんだと思う。 それにニテント、コプコム、セガーンに……トライスとか、何となく名前の傾向がわかるようだ。 第5都市までのうち、フェニックシア、エンブリス、フェアリシアとアリヴァールはその傾向とは一致しないけれども第6都市はのコエテク以降は何となくその系統の名前…… 第3都市のスクエアも第5都市までの中では例外的にその系統の名前だけど、第6都市以降の名前を決めるときのヒントにした名前になるのかもしれない。 そう考えると案外、フェニックシアもその仲間かも?」
 前半についてはなるほどと思う話、確かに、そう考えれば”回帰への道”はエンブリア創世記からあるように思えた。 だが、後半の話は何の話? フェニックシア、スクエア、コエテク、コナンド、ソニーエ、ニテント、レビフィブ、セガーン、コプコム、トライス……どんな共通点が?

 そして、一行は祠から外に出ると、そこには驚きの光景が――
「えっ!? ちょっと、どうなっているのよ!?」
 フロレンティーナさんは驚いた。なんとそこは、まさかの平原のど真ん中だった!
「これは――まさか、本当に復活するなんて……」
 リファリウスも驚いていた。
「ヤバイ、まさか本当にこうなるとはな……」
 ガルヴィスも頭を抱えていた。
「まあでも、復活してくれたのならそれに越したことはないよね」
 と、フィリスが言った、確かにそれはそうなんだが。
「まさに、文字通りの”セラフ・リスタート計画”になりましたね!」
 アリエーラさんがそう言った。ところで――
「それよりも乗ってきた船を探さないと。 それに復活したこの島がどうなっているのかも気になるし、一旦レビフィブの町に行こう。」
 リファリウスがそう言うとみんなで頷いた。

 レビフィブと言えば、かつてアリエーラさんがクラウディアスへと渡る前に来たことがある場所だった。 それは、ルーティスでお世話になった後にスクエアでハンターとなるための試験として来たのがこの島にある”挑戦者の洞窟”というところである。
「レビフィブ島は地形が平坦で見通しがいいので町の位置がわかりやすいんですよ。」
 アリエーラさんはそう言うとフィリスが気が付いた。
「見てあれ! あそこに船が!」
 ……船の場所もわかりやすかった。マダム・ダルジャンは大きな船ということが幸いしたのかすぐに見つかった。 その場所に彼らは急いだ。

「あっ、リファリウス君! 見ての通りだけど、レビフィブ島が復活したよ!  でも、急に現れるからびっくりしたよ……」
 船に戻ってきて真っ先にやってきたのはオリエンネストだった。
「魔物の類は出てないのか?」
 ガルヴィスは訊くとヒュウガが操舵室から出てきて言った。
「よう、おかえり。魔物は出てないぞ。 ただ、いきなり島が出てきて押し出されるような形でここまで来たからな、流石に焦ったぞ」
 いしの中にいる、ということにはならなかったようでとりあえず安心した。 しかし、船がやけに静かだ、どうしたのかリファリウスは訊くと、オリエンネストは答えた。
「みんなは町の様子を見に行ったよ、なんか、平和そのものみたいだけど――」
 ということで、船を使って改めて町の港のほうから上陸することにした。