一行は最低限の人員をレビフィブ島の祠に、そして、残ったメンバーは島がもし復活した場合に備え、
船の面倒と島に何か別の、予期せぬ問題が起こった場合の対処班に分かれてことを起こすことになった。
そして、いよいよその時は訪れる――
入り口はほかの3島と同様で、やはりまずは地下へと潜っていく構造だった。
そして、そこには――
「石像が道をふさいでいるな。どれ、俺が始末してこようか――」
ガルヴィスは剣を取り出しながらそう言うと、リファリウスが慌てて敵の前へと立ちふさがった!
「おい、リファリウス!」
ガルヴィスは激怒すると、リファリウスの頭上から何かが飛んできた!
「”カオス・フォールド”……」
すると、それによって展開された魔法陣はリファリウスを縛り付けていた!
「なっ!? デバフ魔法か!?」
ガルヴィスは驚いていた、魔法陣はリファリウスの能力をじわじわと奪いつくす! ハズだが――
「まーたずいぶんとした挨拶じゃないか、殺す気満々だね、いいだろう、この私が相手してやる。」
そう、リファリウスにはこの手の効果は通用しずらい、だからガルヴィスの前に立ちはだかったのである。
だが、そこへ――
「リファリウスさん! ”オーロラ・フィールド”です! 無理しないでください!」
と、アリエーラさんの強力な防御魔法が加わり、リファリウスは改めて気を引き締めていた。
「ありがとう、アリエーラさん! 実はちょっとだけ強力だったからどうしようかと思っていたところだよ。」
通用しずらいということは全く効かないというわけではない。
以前にザイグという”ネームレス”のそれを受けたことがあるが、
その際は向こうの魔力がバカの一つ覚えかよと言わんばかりに弱かったのでほとんど効果がなかったが、今回はどうやら違うらしい。
「おいおいおい、そんなんで平気か?
防御は補ったようだが”カオス・フォールド”ってあらゆる能力が低下するっていう面倒な魔法のハズ、
つまり、相手に決定打を与えられる火力は保持できているんだろうな?」
と、ガルヴィスは言った。
えっ!? リファリウスはそう言うと、頭上の何物かが降り立ち、目の前の石像をぶち破って目の前に現れた!
「フハハハハハ! ということはつまり、もはやこれまでということだな! であればおとなしく死ね!」
なんだこいつは! するとそいつは、強力な闇の魔力を用いてリファリウスに襲い掛かった!
「しまった!」
リファリウスがヤバイ!
「リファリウス様!」
「なっ、お前! こんなところで死ぬ気か!」
フロレンティーナさんとガルヴィスが慌てながらそう叫んだ!
「遅い! さあ、これで終わりだ――」
暗黒の刃がリファリウスの身を切り刻む!
「これまでか……」
と、リファリウスは意を決したかのように両手を広げていた――
ところが――
「というのは冗談。
どうかな、目の前の敵をもう少しでやれると思ったのにできなかった時の喪失感と、
死の危機にさらされる絶望感、どっちが勝っているかな?」
リファリウスはそう言った――えっ、無事なのか!? するとアリエーラさんが苦笑いしながら言った。
「最初っからこれを狙っていますからね、リファリウスさん……」
そしてフィリスも、
「敵を油断させておいてひっくり返していく戦術――ホント、敵に同情したくなるわ……」
呆れながら言った。どういうことかというと――
「なっ、なんだこれは、力が、力が抜けてゆく――」
リファリウスはお得意の力場を奪い取る能力で敵の力を吸収!
「名付けて”フィールド・ドロー”だ。
改良して指定対象周囲とかでなく、自分の周囲広範囲にしてみたよ、
一部からは”えげつない”って言われちゃったけどね。
キミの”カオス・フィールド”程ではないけれどもこちらはバフも兼ねている点がウリ、
加えて、アリエーラさんの”オーロラ・フィールド”の効果は高いからね、侮っちゃいけないよ。」
リファリウスが使うこの手の技の初期型として”エンチャント・ドロー”というものがあり、
相手が使おうとしている力の源である”マナの力”や”エーテルの力”を奪い取って自分が使用する力とするのが目的である。
その力は指定対象周囲のマナを奪い取る業なのだが、
この度、自分の周囲かつ範囲を拡大したものがこの”フィールド・ドロー”であり、力をごっそりと奪い取ろうというのがコンセプトである。
それにより――
「よし、減らされた攻撃力もこれできちんと戻って来たようだし、もう満足だよね?」
すると、リファリウスは振りかぶって風の魔法剣を――
「せっかくだから、この技をお見舞いしてやろう――」
リファリウスの”ブレイザー・シェイド”!
普段は”ソニック・シェイド”という技で、純粋に無数の風の刃を前方四方八方に複数一斉発射するというのがその技の特徴である。
だが、この度使った”ブレイザー・シェイド”は炎と氷の属性の力を用い、
反対属性同士による強い反発力を風の刃を投射する際に利用する。
それにより、ものすごいスピードの必殺の一撃が放たれるのだが、
複数一斉発射といっても四方八方に飛び散らず、常に一方の方向にしか発射されないのが欠点で、集団との戦いには向かない性能である。
が、今回のように、相手が1人の場合は――
「バカ……な……この私が、浅はかなエンブリスの子らに敗れるとは――」
そいつは身体が滅茶苦茶に切り裂かれると、そのままその場で倒れてしまった。
「浅はかなのはキミじゃないかな? エンブリスの子らと考えるのは早計だよ、おそらくだけどね。」
リファリウスは得意げに言い放った。
敵にしっかりと光を当て、そいつが絶命していることを改めて確認した。
そいつはおそらく、ヴァンパイアとか、そういった類の魔物であることがわかった、
エンブリアでは伝説の存在として知られているこの魔物だが、ここにいるということは、
やはり異世界の魔物であることがわかる。
「しかも言葉を使う魔物はエンブリアでもなかなか珍しい、そう考えるとまさに核心に迫ってきたって感じがするね。」
リファリウスはそう言うとガルヴィスは言った。
「エンブリアでもなかなか珍しいというか、俺は見たことがないな。
そう考えると確かに回帰への道っていうのもあながちウソというわけでもなさそうだ。
少なくとも異世界というのはありそうだというのは確かなようだ」
なんだ、まだ信じていないのかこいつ……わからんでもないが、なんだか面倒臭そうだ。