ララーナとメルルーナはディスティアに言われた通りの道を進むと、そこには何やら大扉が。
そして、その部屋に近づくと、扉は開いた。
2人はその部屋の中へと入ると、周囲には5体の人間がベッドに横たわっていた。
いずれもシェトランド人……ではなさそうだ――
するとその時、入ってきた大扉が突然閉まり、2人は閉じ込められた。
2人は警戒していると、目の前にあるモニタに何者かが映り込んだ。
「うん? なんだ貴様ら、シェトランドではなさそうだが――」
誰だろう、こいつは。すると、そいつは何か思いついたようである。
「ん、そうか、なるほどな。
つまりはシェトランド共はルイゼシアのもとへと向かったということか、なんとも哀れな……。
そしてお前たち、どことなく見た風貌と思えば、クレイジアに潜むという魔女共だったか――」
クレイジアに潜む魔女? ララーナは初めて聞くそのワードが気になった。
でも……なんか聞いたことがあるようなないような――昔の話だったかもしれない。
「くくっ、貴様らクレイジアの魔女の伝説は本物!
その美貌で男という男のすべての欲望を満たし、虜にすることでこの世界を混沌に陥れることが可能なのだ!
そんな魔女どもがまさか自らやってこようとはなんたる幸運!
さあ、お前たちも我が兵器として活用してやろう!」
すると、ベッドに横たわっている5体の人間が一度に立ち上がると、彼女らに対して剣を向けてきた!
「こっ、これは!?」
ララーナとメルルーナは改めて構えると、モニタの男は答えた。
「そいつらはお前らの未来の姿! そいつらは我の言うことしか聞かぬ!
さあ行け! 魔女を殺さずに捕まえるのだ――」
5体の敵が襲い掛かってきた――
一方で、ディスティアとイールアーズは……
「嫌ならついてこなくてもよかったんだけどな」
イールアーズはそう言うが、ディスティアは言った。
「そういうわけにもいかない、私はお前を託されたのだ、見過ごして帰るわけにもいかなくてな」
すると、地鳴りのもとへとやってきた、こちらも大扉の前、2人は息を呑んで扉の中へと侵入した、すると――
「よく来たなシェトランド共、ほめて遣わすぞ――」
そいつはものすごく大きな兵器の上にたたずんでいた。
「貴様! ルイゼシアに何をした!」
イールアーズは怒りの形相でそう訴えると、そいつは答えた。
「ん? ルイゼシアだと? そんなものは知らんな。
だが――そうか、入り口に書いてある字が読めなかったのか、流石はシェトランド、頭の悪さには定評があるほどだな」
なんだと!? イールアーズは怒り心頭でそいつに言い返そうとした。そこへディスティア――
「待て、イール。この感じ……ルイゼシアは近くにいるようだが――」
なんだって!? そう言われるとそんな気がするが、イールアーズは周囲を見渡してもそれらしい姿は見当たらない。
「イール、違うぞ、探す場所が違っている。
ここは”テラ・パワー・コア研究室”と書いてあった、そしてこの感じからすると……探す場所はただ一つだ――」
ディスティアはそう言うと、相手は得意げに答えた。
「フハハハハ! なるほど、お前は同じシェトランドでも頭の切れるやつのようだな、安心したぞ!
ともかく、そのルイゼシアというのがなんなのかは私にはわからぬが、
それがもし、”テラ・パワー・コア”のことだとしたら確かに、
お前たちの目の前にいるそれがお前たちの探し求めているものだ!」
どういうことだ!? イールアーズは驚いていた。
そして、敵は高笑いしながらその場から離れていくと、兵器に命じた。
「よし、やれ! この施設にいるシェトランド共を根絶やしにするのだ!」
なんと、兵器はゆっくりと動き出した……
「くっ、なんなんだこいつは! ぶっ壊してやる!」
イールアーズは剣を構えた。だが、ディスティアが注意を促した。
「なんだディル! どうして止める!」
「イール、まだ気が付かないのか? このマシンからルイゼシアの気配が感じるだろう!」
なんだって!? そういわれると確かに……でも、どういうことだ!?
「イール、この兵器にテラ・パワー・コアが組み込まれている。
つまり、この兵器自身がルイゼシアだってことだ!」
うそ……だろ……
「貴様は物分かりが早くて助かるよ。
そうとも、このマシンにはテラ・パワー・コアの意識を反映させている。
だが、テラ・パワー・コアはこちらの制御下にあるのでな、私が殺せと命じたらこいつはその通りにするのだ。
つまりはお前の知るそのなんたらってのはもはや存在していないということだな! フハハハハハ!」
なんて外道な――
ララーナとメルルーナは5体を相手に善戦し、そして5体とも何とか倒した。
「ぬぅっ、小癪な魔女よ! だが、まだ終わっとらんぞ――」
するとなんと、倒したはずの5体が再び起き上がり、彼女たちに再び襲い掛かってきた!
「これは!」
メルルーナは驚きながら言うとモニタ越しの男は答えた。
「言っただろう、こいつらは我の言うことしか聞かぬとな。
つまり、たとえ死んでも我の命令に従い続けるのだ、何とも優秀な戦士たちではないか!」
くっ、外道な――メルルーナはそう思ったが、ララーナは……
「なるほど、それでクレイジアの魔女を利用しようという腹ですか。
クレイジアの魔女の妖術を利用するためにクレイジアの魔女を捕まえ、
この人たちのように永遠に命令に従わせる魔女に仕立て上げる、
魔女を操作し、魔女によって他者の意識を支配し、世界征服を狙うと、そういう魂胆ですか」
そう言うと、モニタ越しの男は答えた。
「ほう、これはなかなかカンの鋭い女だな、まあ、女というのはそもそもそういう生き物ではあるが、
クレイジアの魔女とて例外ではないということか、頼もしい存在だな。
その通りだ、お前たちには我らが世界を支配するための礎となってもらおうというわけだ!
それほどの美貌を持つのだから男を虜にすることなど造作もないことであろう?
考えてもみよ、お前たちの美貌がすべての男たちを酔わせるのだ、
そして、お前たちによってこの世界を動かす時代が訪れるのだ、なんとも素晴らしい世界ではないか!」
それに対してララーナはにっこりとしながら言った。
「ええ、とても素敵な世界ですわね。
ですが――あなたの手でなさらずともこの世はそうなるかもしれませんね――」
どういうことだ!? モニタ越しの男はそういうが、それはそうと、5体にことを急ぐように指示を出していた。
「なんだ、どうした! 早く目の前のクレイジアの魔女を捕まえて我に差し出すのだ!」
すると、なんと、メルルーナの背後から1人の男が彼女に襲い掛かり、メルルーナを捕獲した!
「なっ!? しまった――」
「捕まえました――クレイジアの魔女……」
「いやっ!」
メルルーナはそのまま拉致され、気を失ってしまった――
「メルルーナ! くっ、相手は4人……」
ララーナは悔しそうにそう言うと、4人を相手に剣を構えた。