エイジが説明している間、アルディアス側とルシルメア側からそれぞれ1人ずつ渦中の人物が現れると、
マジェーラの両脇に着き、並んだ。
アルディアス側にいたエリュラは、アールが以前に対面してきた通り、なんだか闇を感じるような印象だった。
それこそ何といえばいいのかだが、マジェーラや反対側にいるチュリンカと比べると、
眼鏡をかけてニヤッとしている顔つきがとても不気味にさえ覚える邪悪さを兼ね備えた感じだった。
対してチュリンカだが、マジェーラの邪悪な女王様な感じもなく、見るからに優しそうな女性な感じだった。
だが、その美貌は非常に美しいもので、邪悪さよりも妖艶さのほうが引き立ち、
アールとエイジが調べた内容がある程度それを物語っているように見えた。
そんな彼女らに対し、ガレアの団員達は驚きながら口々に言っていた。
「男!?」
「マジかよ、女性議員だろ!?」
「えっ、ちょっと待て、あの女王様も男だって言ったか!?」
それを聞いていたエイジは片手で頭を抱えていた。
「どいつもこいつもうるさいわね、そうよ、男よ、なんかもんくある?」
女王様は得意げに言った、嘘やん……男たちは二度見三度見と繰り返していた、それはガレア兵のみならず、
「何!? 本当に男!?」
「嘘だろ!? てか、チュリンカさんだけ男って話は出てないよな? 少なくとも彼女だけ例外だろ?」
「てか、チュリンカさん……普通に俺の好みなんだが!?」
「頼む! 俺の女神様チュリンカ様だけでも!」
……どうやら、やたらとチュリンカばかりが大人気な様子。
それだけの美貌の持ち主であることは確実であるが、当の本人はちょっとにっこりした様子で反応を示しただけ。
それどころか、それに対して過剰反応したのはマジェーラ女王様、彼女はその場を一蹴した。
「あーあー、どいつもこいつもうっさいわねぇ、もう!
そんなことより! だいたい何よアンタ、それで証拠のつもりなのかしら?」
女王様はイラつきながらエイジに言い放った。
確かに、共通点はあったとしても、ガレアを追い出そうと画策していたことにはならない。
だが、それ以上に、自分があまり注目されず、チュリンカばかりというのが不服だったようである。
そして、証拠についてエイジが何か説明しようとすると――
「あーあー、面倒くさい! わかったわよ、本当に面倒くさい男ね!
ガレア軍のことだから、どーせ全部尻尾をつかんでるんだろ! だったらいいわよ、それぐらい認めてやるわよ。
でも、だからと言ってガレアが解体することになるのは変わんないわよ、アンタたちは世界から見放され、
そして、帝国の意に反したことで存在が許されなくなってしまったのだからね!」
と、女王様は続けざまに、そして得意げにそう言った。
すると女王様はムチを振りかぶり、勢いよく2発地面に打ち鳴らした!
「ふふっ、おしゃべりはここまでよ! さあ私の可愛い下僕たち!
とっととこいつらを捕まえちまいな! さあ、ボサっとしていないでさっさとやるんだよ!」
それに対しアールは剣を構え、その場に風のフィールドを張った。
「なんだい、まだ抵抗するってのかい?」
女王様は少々狼狽えながらそう言った。
「まあね、私のガレアと大事な部下たち、そう簡単にはいかせないよ。」
それに対し、女王様は笑いながら言った。
「あっははははは! いいわねえ、本当にアンタいい男だわ。
そういう仲間想い的な発言、アタシも嫌いじゃないわねえ。
でも、そんなことしたってムダよ、アンタは所詮は男、
女王様にかなうわけがないのよ、ねぇ、アンタもそう思うでしょ、フラウディア?」
ん、フラウディア!? そうだ、そういえば、マジェーラとエリューネル、
それに並んでフロレンティーナとフラウディアという人物がいたはずである、彼女らもいるのか……!?
すると――取る人によっては大方の予想通りの展開になってきたのである、それは――
「うふふっ、私のことを見て、私のアール将軍様♪
ねえ、私って、美しくて麗しくてセクシーでしょ♪ 私の愛しの旦那様♪
どう? 私のことが欲しくて欲しくてたまんないでしょ? アタシの美貌の従順なるドヘンタイさん♥」
それはフルーミアの行動だった。
彼女は可愛げな態度で身体中から色香を発すると、それはアールを包み込み、誘惑していった――
「うっ、ううっ、フラウディア様――私は、私は――」
まさか――
「フラウディア様、美しい女神、フラウディア様――」
アールはうつろな目をしながら剣をしまい、展開していたフィールドも消してしまった。
さらに、彼女の名をフルーミアではなく、フラウディアという名前で無我夢中に呼び続けたのだ――
すると、なんと、フラウディアは今まで可愛らしいワンピース姿から、
突如として、18禁と言わしめるほどのピンクのセーラー服姿へと変貌した!
さらに――
「ほぉらぁ、このアタシのこの世で最も美しくて麗しくて最高にセクシーで魅惑のパーフェクト・ボディな女神フラウディア様が欲しくてたまらないドヘンタイさん♥
さあ、あなたのしたいこと、このアタシに教えなさぁい♥」
フラウディアはその姿でアールを女豹のごとく悩殺、すると――
「この世で一番美しくて麗しくて素晴らしい癒しの女神フラウディア様――
私は女神さまのおっしゃる通り――
この世で最も美しくて麗しくて最高にセクシーで魅惑のパーフェクト・ボディな女神フラウディア様が欲しくてたまらないドヘンタイ――
この世で最も美しくて麗しくて最高にセクシーで魅惑のパーフェクト・ボディな女神フラウディア様が欲しくてたまらない!
女神フラウディア様! 私はっ、私はっ!」
アールはなんと、フラウディアの身体に襲い掛かった! すると、フラウディアは――
「いやぁんエッチ♥ ドスケベ♥ ヘンタぁイ♥」
とても邪悪な笑みを浮かべ、楽しそうにアールを蔑んでいた。
そして、その様子を見ながらマジェーラは高笑いをしていた。
「うふふっ、まぁったく、かの有名なプレイボーイ様がまさか男に夢中だなんて!
男ってのは所詮この程度、無様な生き物よねぇ――ウフフッ……」
それに対し、ガレアの団員達のみならず、ほかの勢力の男性隊員は驚きながら口々に言っていた。
「何!? あの娘が!?」
「フルーミア……さん!?」
「えっ!? 男だって!?」
「あの身体で……男!?」
「冗談だろ!? あの短さなら見えるハズだろ!? それなのに、ついている感じじゃねえぞ!?」
こんな状況で指摘するのもなんだが、どこ見てんだお前ら……やはり抗えぬ男の性か――