少し前の出来事――
「あっ!」
お風呂から上がったばかりの彼女、目の前にラミキュリアが現れたため、
女性は驚き、バスタオルをがっしりとつかんで自分の身体を隠していた。
「あら、すみません、お風呂から上がったばかりだったのですね――」
ラミキュリアはその場にちゃんと座り込み、洗濯物を畳んでいたのである。
「服はとりあえず、そこにあるものを自由に使ってくださいね。
使用済みのタオルはそこに置く場所があるので、よろしくお願いしますね」
ラミキュリアはそう言いながら脱衣場を出てカーテンを閉めた。
そして、彼女は言われるがままに着替え、脱衣所から出て、
そして女性更衣室から出てくると、廊下でラミキュリアにすれ違った。
「あら、ちょうどいいところに! 行きましょうか!」
女性はラミキュリアに連れられ、ラミキュリアの部屋へと促された。
ラミキュリアの部屋はまさに女性の部屋と言わんばかりの可愛らしい内装の部屋だった。
「あの、ここって、帝国、ですよね――」
女性は恐る恐る聞くと、ラミキュリアは優しく答えた。
「はい、帝国ですよ、ディスタード帝国のガレアという場所です。帝国はお嫌いですか?」
それに対して彼女は答えた。
「帝国は嫌いです……けど、ここはそうでもないかな――」
やはり帝国らしからぬ装いがそう言わせるのだろうか、ラミキュリアはそう思った。
そして、ラミキュリアは彼女に着せる服を探しつつ――
「うーん、ちょっと丈が大きいですかねぇ――」
ラミキュリアは自分の身体に服をあてがいながら彼女の服を探していた。
確かに彼女はラミキュリアよりも少し小柄なので、ラミキュリアは悩んでいた、すると――
「あの、ラミキュリアさん、でしたっけ?」
「はい? そうですけど――」
「ラミキュリアさんってすごく色っぽいですよね――」
「あら? そうですか?」
「スッゴク美人だし――」
「まあそんな、嬉しいですわ――」
「しかもそんな可愛い服が似合うなんて――」
「この服ですか? でも、ちょっと――どころじゃないですね、見ての通り、かなりの露出になりますよ?
一応フリーサイズですので、着ようと思えば――」
「私、そういう服が着てみたいです!」
それがこの服を着るきっかけだったようだ。
女性はその服を着せてもらった。
「ど、どうでしょうか?」
「まあ! お似合いですね! まるでお姫様のようです!」
「わ、私がお姫様なんて――」
そう言われた女性は照れていた。
「その服、差し上げます!」
「ええっ、いいんですか?」
「どうぞどうぞ、年甲斐もなく、こんな服ばかり集めていますから、別に1つや2つ、どうってことないですよ!」
ラミキュリアは照れながらそう言った。
「年甲斐もなくって――ラミキュリアさんってお若いのでは?」
「そっ、そんなことないですよ!」
確かに、ラミキュリアはそれなりに歳をとっているため、そのような服が着れるかどうかは議論の余地がありそうである。
しかし、彼女はプリズム族であるため、若いといえば若い分類に入り、そのような服を着るにも十分なポテンシャルであると言えるだろう。
一方で、その女性のほうはラミキュリアよりも年下のような印象だった。
「でも、とてもよく似合うのだからいいじゃあないですか?」
そう言われると――ラミキュリアは照れていた。
だが、それはそうと、お互い、肝心なことを聞くのを忘れていたようだ。
「そういえば、ちゃんと言っていないですね。
私の名前はラミキュリア=クアルンキャッツっていうのですよ」
それに対し、女性のほうも自分の名前をちゃんと言った。
「あっ、そういえば申し遅れていました、私の名前はフルーミア=エスペリスといいます!」
「フルーミアさんですね! よろしくお願いいたしますね!」
「はい! 私のほうこそよろしくお願いいたしますね、ラミキュリアさん!」
そしてその後、彼女はラミキュリアに連れられて、例の座礁した船に案内されていた。
「これがその船――私、この中にいたのですね――」
船での作業は進められており、船の中にあった様々な物が外に出されていた。
ラミキュリアはその中から、可愛い小物入れらしきものを見つけたので、それを手に取った。
「これ、可愛らしいですね!」
「あっ、それは――」
フルーミアは焦っていた、何故なら――
「ん? これはあなたのものですか?」
ラミキュリアはその小物入れをフルーミアの前に丁寧に差し出すと、女性はそれを取った。
「ええ、そうです――」
フルーミアはその小物を見つめながらそう言った。
その時のラミキュリアの目はまさに優しそうなお姉さんの眼差しだった。
「大事なものが見つかってよかったわね!」
すると、
「いえ、実まだあるんです、花柄のポーチがもう一つあると思うんですれども、一緒に探してはもらえませんか?」
そう言われたラミキュリア、しかし、彼女の靴は座礁した船の中を探し回るのには適さないものだった、そこで――
「そういうわけでお願いしてもよろしいですか?」
「はい! ラミキュリアさんとフルーミアさんのお願いだったらいくらでも!」
と、調子のいい男性隊員たちにお願いして探し出すことにしたのである。
その後、彼女の目的である花柄のポーチは見つかったようだ。
「探し物も見つかったみたいだし、よかったね。」
アールが聞くと、フルーミアは答えた。
「はい! みなさんのおかげです!」
「それはよかった。
でもまあ、ここは可愛くてキレイなフルーミアさんのためだったらなんでもする男性隊員がいくらでもいるから、
当たり前といえば当たり前かなー?」
アールは得意げにそう言った。それに対し、フルーミアはほほを真っ赤にしながら言った。
「まあ、アール将軍様ったら、お上手ですね!」
「だけど、キミのことはどうすればいいかなー、
ディスタードの本土軍もキミのことは知らないというし、キミの身元を突き止めないことにはなぁ……」
そう言われると、アールとラミキュリアだけでなく、フルーミア自身もなんだか悩んでいる様子だった、
彼女のことはどうすればいいのだろう?