それから半日後、今度はあの女性が目覚めた。
「ここは――」
それに対し、シレスが反応した。
「あら、お目覚めになられたのですね?」
よく見ると、服装はさほどボロボロでもなく、ちゃんとした服装だった彼女、
確かに、捕虜というにはちょっとあり得なさそうな服装ではあった。
「あの、私は、どうしたのでしょうか――」
シレスは女性の身に何があったのか話をすると、女性はひどく驚いていた。
「私の乗っていた船が――座礁? 私が、コンテナに――?」
どうやらまったく的を射ていない様子、記憶喪失だろうか、シレスは悩んでいた。
とにかく、それをアールに伝えようとしたシレスだが、そこへ都合よく、ラミキュリアがやってきた。
「まあ、お気づきになられたのですね!」
「あっ、ラミキュリアさん、そうなんですよ! とにかく、アール将軍様に伝えませんと!」
そして、その場へアールがやってきて言った。
「やあ、気分はどうかな? 記憶がはっきりしないって聞いたけど――」
すると、その女性は何かに怯えているようなしぐさで何かを訴えようとした。
「ああ、無理はしなくていいよ。とりあえず、今はゆっくりと休んだらいいと思うな。
どうかな、お風呂に入りたいかな? 身体を温めるのにはちょうどいいと思うよ?」
アールは気さくに、優しそうにそう言った。
「そうですね、お風呂に入れさせてあげましょうか!」
ラミキュリアがそう言うと、アールはにっこりとしながら言った。
「そのほうがいいよ。
幸いにも服は濡れていなかったみたいだけど、それでもあそこは寒かった。
身体の芯から温めてあげれば喜んでもらえる――といいんだけどな。」
そんなアールに対し、女性はその優しさに特別な感情を抱いたようだった。
アールはその場を去ろうと部屋を出たが、ラミキュリアがついてきた。
「うーん、どうしようかな――」
アールがそう言いながら何やら悩んでいるとラミキュリアはそれを察し、そして、何が言いたいのかもすぐさま察して言った。
「アール将軍様もお気づきですね?」
「ラミキュリアさんも気づいたのか、多くは言わないけど、その点、流石というべきだね――」
すると、ラミキュリアはアールに近づきながら優しく、そして楽しそうに言った。
「どうすべきか迷ってらっしゃるのですね?
そんなにお気になさらずに、いつも通りの態度で彼女のために寄り添ってあげてくださいな♪」
それでいいのだろうか――アールはそう思いながら言った。
「それが正解?」
「はい、大正解です♪ だからこそ、今の私がここにいるんです♪」
そう言われたアールはにっこりとしながら答えた。
「そっか、言われてみればその通りだね。でも、だとすると、彼女――」
それに対してラミキュリアは考えながら言った。
「ははぁ、確かに、それならばそういうことになりますか。
船員名簿にも載っていませんから、そんな可能性がありますね――」
「となると、相手の出方次第ってことに――」
アールも考えながら言った。
「つまりは向こうに合わせるってことにするんですか?
そういうことなら私に考えがあります――」
すると、ラミキュリアはアールとヒソヒソ話をし始めた。
「なるほど、結構大胆なことを考えるんだね、ラミキュリアさんは♪」
アールが楽しそうにそういうと、ラミキュリアは楽しそうに言った。
「だって、あの娘の胸、ご覧になりました? 結構な大きさです!
それにどことなく、彼女からは妖かしの気配も感じますし、
あの船の出所的に、彼女の目的は――何となく見えてくるではありませんか?」
アールは考えつつ、そして、呆れたような態度で話した。
「ふう、ヤレヤレ。
私もつくづく罪作りな人間だな、弄んでいるのはどっちなんだかって感じだね、
まあ、お互い様なんだけどさ。」
「ええ、そうですよ。
でも、それはアール将軍様のような素敵な方だからこそ許されることですわ♪
さあ、そういうわけですから、このラミキュリアめを弄んでくださいませ♥」
最後は2人でなんだか楽しそうだった――
一方のティレックスは、アルディアスの議員選挙で女性候補が並んでいる様を見て、なんだか驚いているようだった。
「珍しいな、確か、アルディアスでの女性議員って初めてじゃないか?」
ユーシェリアも話をした。
「候補に並ぶこと自体が初めてかもしれないね。
そういえばさっき小耳に挟んだんだけど、ルシルメアでも選挙があって、そこでも女性候補が並んでいらしいね!」
ユーシェリアはワクワクしていた。
「人気が高そうだな、それもこれもすべてガレアの影響だろうか?」
「クラウディアスもだよ! あんなに綺麗な重鎮さんばかりならみんな影響されちゃうよ!
私、アリエーラお姉様もリリアリスお姉様もだーい好き!」
アリエーラお姉様もリリアリスお姉様も無茶苦茶強かった、
ティレックスは2人の容姿以前に、2人にコテンパンにやられた時の印象のほうが強く残っており、顔をしかめていた。
「あれー? どうしたの、ティレックス――」
そんな中、エクスフォスのアーシェリスとフェリオースがガレアへと訪問してきていた。
「あれ? ここってこんなところだったっけ?」
迷子になっているアーシェリスとフェリオースを見かけたティレックスとユーシェリアは2人に話しかけた。
「どうしたんだ?」
「どうしたの?」
「ティレックスとユーシェリアさんか! 久しぶりだな――」
「久しぶり――前はいろいろと世話になったな――」
アーシェリスとフェリオースはそれぞれそう言うと、ティレックスは気さくに答えた。
「いいって、気にすんなって、そもそも俺はそこまでのことはしてないしな。
それよりも2人とも、どうしたんだ?」
4人で並んで話をしながら歩いていた。
「ルシルメアに女性候補がいるって話、知っているだろ?
確かにガレアの影響だとは思うんだけれども、ラスナ先生たちがなんだか気にしているようだったんだよな。
だから、俺たちに何か真意を確かめてきてほしいって言ってきたんだ」
ルシルメアと言えばディスタード帝国のガレアとつながっている、
だから、ラスナはガレアに行くようにと2人を向かわせたのだという。
「そうだったのね。でも、そういえば妹さんは? フェリオース君のお姉さんもいないみたいだけれども――」
「ラクシスってやつもいないみたいだな」
ユーシェリアとティレックスはそれぞれそう言うと、
「姉貴は前の戦いで調子崩しているからな、今は自宅で療養中だ」
「妹はそれの付き添い、ラクシスは前の戦いで亡くなった仲間たちをまだ送っている状態だ」
フェリオースとアーシェリスはそれぞれそう言った。それぞれ、事情があってこられないということらしい。
「ところでリファはどこにいるんだ? 戻っているんだろ?」
アーシェリスは本題を切り出した。