再びフラウディアは生物兵器研究所に訪れると、また会議室に促された。
そこにはガラス製の容器に入っているピンクの液体が置いてあった、これがそうなのかな?
そして、さらにそのビンの隣にはなにやら箱が置いてあった、なんだろう?
「さあフラウディア様、薬が完成いたしましたので、どうぞ、お納めください!
こちらの箱についてはネストレール様よりこれからのミッションのために必要なものをそろえよとお達しがございましたため、
我々一同で考えたうえでご用意させていただいた服でございます、どうぞ、御着替えください!」
服? でも、服だったら、フラウディアは今着ている服で充分だなと思っていた。
もはや今のエロいセーラー服にもだいぶ慣れ、今やローブなしでも平気で着こなしているほどである。
だが、フラウディアとしてはさらに可愛くするためとアレンジも施しており、
そのせいか、露出が少々落ちているのもまた事実……それではダメなのだろうか?
「いえいえ、ダメではございませんが――ただ、非常に申し上げにくいのですが、
今回のプロジェクトの完成形がもう少しわかりやすいような服装にせよというお達しがありまして――」
お達し――つまりはネストレールの命令ということか。
ということは、ここで逆らってもまたムチが飛んでくるのは明白なので、渋々その服に着替えることにした。
別室にて、その服に着替えようとしたフラウディアは――この服酷い――
箱の中に入っていた服は、いつぞやのロシュムの時に着させられたあの服といい勝負、
もはやエロいセーラー服というよりはドスケベなセーラー服が、さまざまの色合いのそれが何着かそろえられていた。
色合いはこれまでの渋めの色合いとは裏腹に、パステルカラーの明るめの色であるため、
そこはフラウディアとしては嬉しいポイントであるが、問題は露出の多さと生地の問題。
日に日に自分の大きなバストサイズを隠すのが難しくなっているというのに、
ほとんど”局部”しか隠れていないようなトップス、以前はまだ谷間をガードするようなものだったのだが、
それも取り外されてしまった。
そして、スカートはさらに短く、生地もチュール生地に変更――こんなに短いと、以前のでもギリギリだったのに、
自分が男であることがわかってしまう――それがつらかった。
とにかく、最初はあまりにも酷いもので、箱を開けたと同時に、その場に落としてしまった。
それから10数分部屋の中で悩みぬいたフラウディアは覚悟を決め、
意を決してもっとエロいピンクのパステルカラーのセーラー服に着替えることにした。
そして、フラウディアは意を決して顔を真っ赤にしながら会議室へ戻ってくると、
「流石はフラウディア様でございます! 大変よくお似合いでございます!」
研究所員たちはフラウディアを褒めちぎり、歓喜していた。
でも、”ついている”ことはあからさまにわかるのだが、それでもこの姿でいいのだろうか、フラウディアは疑問に思っていた。
「それではさっそく、薬についてご説明しましょう!」
研究所員たちはフラウディアのその姿にさらに興奮しながら次の話へと移った。
薬は飲み薬、高濃縮なので水で薄めて飲むタイプなのだという。
フラウディアは花柄のポーチを持っていて、女性ホルモン剤と、以前に与えられた薬なども一緒に入っている。
効果は即効性、持続性はあるが、そのうち効果が切れる。
薬は体内に残るが、フラウディアの身体に合わせるために彼女の魔力を用いて作った特殊なエンチャント液から作られた薬であるため害はなく、
体内に残るために飲むほどに効果時間が長くなり、場合によっては半永久的に続くこともあるという。
また、効果が切れ次第すぐに飲んでも問題ないということだそうだ。
それについては、以前の薬と同じ傾向なんだなとフラウディアは思った。
また、この薬はこれまでの薬との統合薬でもあるため、今後はこの新しい薬に差し替える形になるそうで、
花柄のポーチには今後、その薬と女性ホルモン剤の2種類が入ることになりそうである。
そして、ベイダ・ゲナの侍従であるフラウディアとしては最も重要なこと、
この薬は決して女性になるための薬ではなく、あくまでフラウディアが半・女性化するのための薬であり、
それ以外の用途には使えないということだそうだ。
もっと言うと、フラウディアの身体に合わせるために彼女の魔力を用いて作った特殊なエンチャント液から作られた薬であることから、
他人が飲んだ場合の効果は保証されない、ということである。
一通り説明されたフラウディア、コップの中にさっそく適量の薬と水を配合してもらい、それを飲むことになった。そして――
「うっ、これは――」
フラウディアは手に持っていたコップをその場に落とし、苦しそうに下腹のあたりを押さえていた。
「恐れながら、それは初期症状にございます、しばらくすると発作は収まります。
また、何度かお飲みいただくごとにそれはなくなりますのでご安心ください」
言われた通り、発作は1分程度あったが、そのうち収まった。
すると、薬の効果はすぐに表れ、フラウディアはびっくりしていた。
「こっ、これは!」
「どうです? すごい効果でしょう? ご確認、どうです?」
研究所員たちが歓喜する中、一人の研究所員がそう言ってフラウディアを促すと、
フラウディアは慌てて確認しに別室へと急いだ。
フラウディアは薬の効能を実感していた、
あからさまにスカートの下から”ついている”ことが確認できていたハズなのに、飲んだ途端に全然わからなくなってる!
なんてすごい薬なの! すごい、これが本物! 本物の女性の身体なんだ! フラウディアはとても喜んでいた。
こういう薬は発がん性のリスクもなくはない。
それについてはがんのリスクを抑える効果も一応含まれてはいるものの、
やはり完全なものというわけではなく、いつかは死をもたらす可能性もあった。
もちろんそんな説明はないわけだが、本土軍のエリートであるフラウディアは当然のごとく知っていた。
とはいえ、フラウディアにとってはそんなことは二の次三の次であり、本物の女性の身体というところに魅了されていた。
それに――いつかは本物になるんだという大きな夢があり、この薬は一時的なもの、
そんなことは気にすることもなく、なんの抵抗もなく飲むことができた。
そしてついに手に入れた女の子の身体! ……なんだけれども、
この薬の効果はあくまで”半・女性化計画”の薬、本物ではないんだよね、少しがっかりした。
すると、フラウディアの脳裏にはムチの光景が――
「聞こえなかったのか? いいからやるんだ、それが”フラウディア様半・女性化計画”の最後の仕上げだ。
まさか――本当に聞こえなかったわけではあるまいな?」
「だったらつべこべぬかすな! やれと言ったらやるのだ!」
いやぁ! やめてぇ! フラウディアの頭の中では自分がムチに打たれている光景が広がっていた、
もうやめて! 必ずきちんとやり遂げて見せますから! 頭の中の自分はそう叫んでいた。
そうだ、必ず、最後の仕上げをやり遂げねば――すべてはベイダ・ゲナ様の御心のままに――