そんなこんなで数週間後、フラウディアはあんなエロい服装、
ディスタード帝国における自分の制服として命ぜられたその服装にも慣れ、それに着替えていた。
初日のあの時に渡されたものは黒を基調としたものだったが、色のバリエーションもいくらか増やしてもらい、
今日は赤にしようかと思ってそれに着替えた。
しかし、軍本部内であの服装ではいろいろと触りがあるため、そこではローブを身にまとっていた。
「早速来たようだな。それでは、貴様に指令を渡す」
どんな指令だろうか、フラウディアはそう思っていると、ネストレールは書状みたいなものを取り出した。
待てよ、書状ということはまさか……! フラウディアはそう思うと驚いた。
「さあ、控えよ! 今宵はベイダ・ゲナ様よりの天命なるぞ!」
ネストレールがそう言うと、フラウディアのみならず、周囲にいた配下たちも片膝をついて頭を下げていた。
そして、ネストレールは一礼してから読み上げ、読み終わると、その場にいた全員が一礼、
ネストレールは書状を片付けた。
すると、フラウディアは命令について訊いた。
「えっと、確か、ゴレイアスといえば我が国の同盟国、そこを攻め落とせということですか?」
それに対し、ネストレールは考えながら言った。
「ああ、どうやらその様だ。
間違いなく先日の、あのグライムがしくじった件で我々に始末をつけろというご用命だろう」
グライムとはこのディスタード帝国・本土軍のネストレールに並ぶ司令官で、
ベイダ・ゲナ配下のナンバー・ファイブと呼ばれた存在である。
ナンバー・ワンはネストレール、ナンバー・ツーはドズアーノ、ナンバー・スリーはゲイスティール、
ナンバー・フォーにはアズラザルと言うのがおり、その次の存在がそいつである。
また、それらとは別にベイダ・ゲナの側近と呼ばれる者がおり、名はガルフォードというらしく、
ネストレールもベイダ・ゲナからの勅命を受ける場合はそいつを介して行われるのだという。
「だが、ベイダ・ゲナ様としてはこの機にお前の力も試してみたいとの仰せだ。
だから今回の件、我らが引き取る形となったのだ」
自分の力を? フラウディアはどういうことなのか詳しく訊くことになった。
だが――その詳細は、フラウディア自身を苦しめていくものだった――
フラウディアは悩んでいた、悩み、悩み抜いて、夜も眠れず、枕を濡らす日々が続いていた。
とにかく辛かった、辛く、もはやどうしていいのかわからなかった。
でも、彼女はすぐに決心した、そもそも自分の存在意義、自分はあくまでディスタード帝国の生物兵器として育てられた身だった。
それに、ここで頑張り、名を上げることで自分は偉い存在になる、誰にも邪魔をされない、自由な身となるんだ、
前にそう考えたばかりではないか。
無論、目の前の苦行ばかりが立ちはだかり続けるこの状況、挫折の連続だったが、
いつもあの”トラウマのムチ”がちらつく――あれに抗うことは不可能、彼女は言われた通りにやるしかないのである。
とはいえ、ゴレイアスをすぐさま落とせるほど準備が万端なわけではない。
そこで攻めるための下準備として、ネストレールはフラウディアに指令を出した。
それは、ゴレイアスの大総統・ロシュムを確実に落とすための手段を身に着けることである。
いろいろと考えているのだが、なかなかいいことが思いつかない。
まあ、作戦までに時間はたくさんある、本などを読み漁りながら予定されている手段が実行できるようフラウディアは探し求めていた。