彼女は可愛らしい清楚なワンピースを着て鏡の前に佇んでいた。
自分はこんな格好が似合うかな、少し照れながら鏡に映った自分の姿をまじまじと見つめていた。
そんな中――頭上から家のチャイムが鳴り響いていた。
誰かが自分の家のインターフォンを押しているようで、彼女は慌てて飛び出て行った。
「お休み中のところ申し訳ございません! ネストレール様がお呼びでございます!」
ネストレール様が……! 彼女は慌ててローブをまとい、急いでそのネストレール様のところへと向かうことにした。
ディスタード帝国・本土軍の本部内にて、ネストレールの元に急いでやってきた彼女、
早速ながら、ネストレールに問いだたされた。
「来たか、貴様が認識番号096872番だったな。名前は決めたのか?」
それに対し、彼女は自分の名前をはっきりと言った。
「はっ! 名前はフラウディア、でございます!」
そう言われてネストレールは何やら考え込むようなしぐさをしていた、
どうしたのだろう、フラウディアはそう思っていると、ネストレールは訊き返した。
「まあ、いいだろう。それよりも貴様、ローブの下はどうなっている?」
ローブの下は……そう言われ、フラウディアはゆっくりとローブを脱ぎ、その姿を見せた。
フラウディアが気に入っているあのワンピース姿、もじもじとした様子でそれを見せたのである。
しかし――
「なんだそれは? 貴様、それであの”特定エリート女人プロジェクト”の成績最優秀者だというのか!?」
と、ネストレールは声を荒げて怒っていた、な、何かいけなかったのだろうか、フラウディアは動揺していた。
すると、彼女の目の前にはとあるムチが――
それは、彼女にとってはトラウマとなっているムチだった。
彼女は幼少期からこのムチで育てられ、ムチによって運命を縛られていたのである。
それにより、このムチには彼女の血がびっしりと滲んでおり、黒ずんでいた。
「ごっ、ごめんなさい! もう、もう悪いことは致しませんから! どうか、どうか、それだけはお許しください!」
彼女は涙を流しながら許しを請うと、ネストレールは舌を打ちながら言った。
「ふん、だが、”トラウマのムチ”の効果は絶大だということは分かった。
それに、貴様がどういう傾向の服装をしてくるか報告も受けているから用意させてある。
さあ、さっさと着替えてくるがよい。そしたら早速貴様に指令を渡す」
えっ、新しい服!? それに指令――フラウディアは少し楽しみだった。
しかし、フラウディアはその服を見るや否や顔が固まってしまった。
別の男から服の入った紙袋を手渡され、その紙袋は非常に可愛らしい色合いのものだったのに、
中に入っている服は短い丈のトップスと、短い丈のスカートだった。
ミニスカートはともかく、トップスのほうもへそが丸見えなぐらい短かった。
というより、この組み合わせはどう考えてもエロいセーラー服姿である。
フラウディアは悩んだ、もちろん、着るしかないだろう、それはわかっている。
悩むポイントはトップスで、下にシャツを1枚着るか否かである。
フラウディアとしてはへそ丸出しというのは非常に抵抗がある。
が、しかし、ネストレールの怒りのポイントはずばり露出の低さである、
そこをガードしてしまうと――トラウマのムチが待っている、フラウディアは悩んだ。
フラウディアは着替えを終えてネストレールの前に出てきた。
ネストレールの前には下腹部と綺麗なか細い足を露出した女の子が出てきたのである。
「お、お待たせいたしました……」
フラウディアは恥ずかしそうなしぐさをしながら小声でそう言うと、ネストレールはニヤっとしながら答えた。
「ほう、なかなか様になっているではないか、流石は成績最優秀者だな。
だが、その様子ではまだまだ――まあいい、そのうち慣れるだろう。
そこで貴様に指令だ、さっそく務めてもらおう」
どんな指令だろうか、フラウディアはワクワクしていた。
ところが――フラウディアに与えられた指令は非常につらいものだった。
ただでさえこんなに露出した姿を人に見せるのは抵抗あるのに、
それなのに、フラウディアに与えられた指令はその姿で町に出ろというものだった。
その町は大都会ルシルメアのど真ん中、不特定多数の人に自分のこんな姿が見られることになるなんて――その夜、
フラウディアの枕は涙で濡れることとなったのである――