エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

悠かなる旅路・精霊の舞 第5部 女神の輪舞曲 第8章 魔女の戯曲

第133節 魔女の罠

 扉を開けると、そこにガリアスがいた。 部屋にある本棚の前に立っており、何やら調べものをしているようだった。
「ん? なんだお前たちは?  そうか、この私を倒そうと躍起になっている連中がノコノコとやってきたというわけだな?」
 それにリファリウスが反応した、プリシラに見惚れていたハズだが、 態度が180度変換……相変わらずよくわからない人である。
 それにしてもガリアスは相変わらず挑戦的な態度である。
「よくぞここまで来たな。 さては誰かの手引きでここまでやってきたというわけだな。 無論、誰だかはすでにわかっている――」
 ガリアスは上からものをいうような物腰でそう言った。まさかそんな、この作戦は失敗か!?
「やはりそんなことだとは思った、私に取り入ろうなどというからにはそのようなことだとは思っていたしな」
 くっ……やはりこの作戦は失敗だったか――だが、ティレックスが言った。
「そうだ、残念だったな!  お前はもうここまでだ、こちらには”ネームレス”が3人もいる!  お前1人でどうにかできるような相手じゃない!」
 それに対してガリアスは言う。
「残念だが先日、その”ネームレス”の一団とやらの相手をしてやったのだがあまりにも弱いもんでな。 それに……どうやら今回は前よりもその”ネームレス”とやらの数が少ないようだが、それで本気で私の相手が務まるというのか?」
 それに対してリファリウスが得意げに言った。
「ああ、そのつもりさ。 言っとくけど私は彼らとは違う、つまりはキミの相手をするのならわけないってことさ。」
 それに対してガリアスは感心しながら言った。
「そうか、そういうことか、まあいい。 ともかく、どうしてもこの私を倒そうというのだな? それならば致し方あるまい、相手をしてやろう――」
 あたりに緊張が走る!

 だがしかし――
「――と言いたいところだが私はあいにく忙しくてな、悪いがお前たちの相手をしている暇などないのだ」
 と、ガリアスはそう言いつつ、懐の剣に手を触れることはなかった。 すると、ガリアスはそのまま反対側の扉のほうへと向かって行った。
「待て! 逃げる気か?」
 リファリウスがそう言った。
「逃げる? そうだな、そういうことにしておいてやろう。 時に、言われてみれば貴様、あの”希少価値のリファリウス”というやつのようだが―― そうか、ガレアのアール将軍やルシルメアのレジスタンスのリーダー、 そしてクラウディアスの重鎮をやっているなどとはなかなか忙しいやつだな」
 すでにこいつにはリファリウスの情報も届いているようである。さらに話を続けた。
「だが、だからこそ貴様という”超級ネームレス”が一番厄介ということだな。 要するに厄介な敵からは逃げるべき、理由としてはもっともだろう?」
 こいつ、本気なのか――それともバカにしているのか……。
「さて、悪いがそろそろ時間切れだ。 私はとにかく忙しい、相手をしてほしければそこの者たちを倒してからにすることだ」
 すると、後ろの扉のほうから大勢の兵士たちが!
「そういうわけだ。ではさらばだ――」
 待て! 逃がすか! 一団はそれを遮ろうとした。すると――
「そうだ、忘れていたな。厄介な”超級ネームレス”とやらがいたのだな。 だが、その厄介な”超級ネームレス”とやらの相手をしてやれるやつはすでに用意してある。 だからその点についての心配は不要だ、では今度こそさらばだ――」
 と、そう言うとガリアスは今度こそ本当に去っていった、”ネームレス”の相手をしてやれるやつがいるって!?  周りを見渡しても、そんなやつは見つからなかった――いや、この兵士の中に含まれているのだろうか?
「そんな感じのやつはこの中にはいねえな。 見ろ、全員ここに入ってきたはいいが、なんだかビビっているようだ」
 と、イールアーズは言った。 こいつは鬼人剣と呼ばれた男、一介の兵士であれば彼の存在はまさに脅威、つまりはそういうことである。
 それが本当ならこっちには”ネームレス”が3人そして敵のほうはゼロ――
「意味が分からない、ただのハッタリじゃないか!」
 アーシェリスはそう叫んだ。そうだ、ウソ出任せに決まっている、一団はそう結論した。
「つまり、ヤツはこの状況に危機感を感じて逃げ出したというわけか、なるほどね。」
 リファリウスは得意げに言うと、
「そうと決まったらさっさとこの雑魚共を蹴散らしてさっさとガリアスを追っかけようぜ!」
 シャディアスも追随。張り切っていた。

 ところが――
「みなさん油断なさらないでください!  ガリアスの言うように、”超級ネームレス”の相手ができる者がここにいます!」
 と、そう言ったのはプリシラだった。 彼女はみんなに注意を促すかのようにそう言った。えっ、どこにいるんだ!?
「そもそもあのガリアスがこんなことでウソなんかつくハズなどありません、そうは思いませんか?」
 そ、そう言われても……一団は困惑していた。 すると、プリシラはおもむろに歩き始め、ガリアスのデスクのほうへと向かった。
「プリシラさん? どこにいるって?」
 リファリウスはプリシラの目を見つめながらそう訊いた。
「ここにいるではないですかみなさん、 そしてリファリウス様も、よくご覧くださいな――」
 そしてプリシラはいきなりカーディガンをデスクの上に脱ぎ捨ててそれをデスクの上に放り投げると、 あたりにとても甘くていい香りが漂った……誘惑による色香というやつだ……。
 それにより、プリシラの上半身はもはや豊満なバストの隠すべきところしか隠していないような姿で、 下半身はさらにスカート丈が短いマイクロミニ丈のヴァイオレットカラーのレザー調のフレアスカートという、 もはや完全に男心を回収する気満々のセクシーな姿へと変貌していた。 それにより男たちはドキッとした、なんでそんな姿に――
 そしてその後プリシラはガリアスのデスクの椅子に向かい、 短いスカートから映える長い美脚を組みながらゆっくりと色っぽく鎮座した。 ただでさえ短いスカート丈でそんな姿勢――男心を破壊していく……
「えっ、まさか――」
 リファリウスは困惑……しておらず、もはやあからさまに見惚れており、 長い美脚を組んでいる彼女のセクシーな太腿をじっと眺めていた……
「うふふっ♪ そう――あなた方をお相手して差し上げるのはこのア・タ・シ♪  フフッ、あんたたちに改めて教えてあげるわ。 私はガリアスに……いえ、ガリアス様にお仕えするエダルニウス軍の新たな司令官…… お前たちのような男という男を統べる女神プリシラ様とはこのアタシのことですわ――うっふぅん♥」
 と、彼女はウィンクをして再びセクシーポーズをキメると、辺りにまたしてもいい香りが漂った――