会議はさらに続いた。
「それにしても、クラウディアスはデジタル先進国として目覚ましい発展を遂げているようにお見受けしますが、
どういったことなのでしょう?
それこそ、言い方が大変失礼になってしまうのが申し訳ないのですが、
クラウディアスはデジタル技術については疎い方だったと思います。
それなのにその発展具合とくれば――我が国はもちろん、他の国にも引けを取らないどころか遥かに凌ぐ技術力のようだ、
一体、どういった方法でこのようなことに?」
この発言をしたのはルシルメアだった。
クラウディアスに対して失礼な発言ではないかという声もあがるわけだが、
それに対して答えたのはルーティス代表のナミス市長だった、ルーティスからの参加は彼女のみである。
「はい、すべてはクラウディアス特別執行官様方によるものです。
無論、そのためのハードがなければ技術を使用することはできませんが、
そのハードを提供しているのはガレアはもちろん、我々ルーティス側も全面的に支援しています。
それにより、クラウディアス様と我々とで技術協定を結び、共同開発を推進しているのです」
さらにリリアリスが続けた。
「ナミスさん、ありがとう。
本当に種も仕掛けもない、ただの職人による技術の世界と同じようなものでしかないのよ、
ハードもそうだけど、エンジニアも必要でしょ?
人間についてはルーティスに言って学んで来いって言って修行させたり、
はたまたルーティスからエンジニアを招致したりとか、とにかくいろいろよ。
もっとも、不思議なことに私もリファもヒー様……ヒュウガもこの手の分野の知識を持っていたみたいでさ、
ハードとソフトを用意してもらったら後は思った通りにこなすだけって案外簡単に行ったわね。
でも、それが広い世界にも通用するような能力だなんて言われて、嬉しいわね。」
そう言われたルシルメア側は考えながら言った。
「”フェニックシアの孤児”――”ネームレス”か、
歴戦の英雄を凌ぐほどの能力者もいれば農業や産業などにも大きな影響を与えるほどの能力の持ち主、
それは流石に見過ごすわけにはいかないということか――」
そう、次の議題は”ネームレス”問題である。
”ネームレス”とはいえ個人になるため、把握している”ネームレス”1人1人についての詳細は差し控えることにしているが、
ここでは自ら名乗り出た”ネームレス”について紹介することにした。
まずはリリアリス、クラウディアス特別執行官である彼女は多くが認める最強の”ネームレス”である。
戦闘能力の高さは純粋な序列として測ることはできないが、
最強と言われる要素として、まずは戦闘能力が一部ネーム持ち――万人斬りや万人狩り、
そして鬼人の剣や蒼眼を上回るほどの能力者であること。
それに加え、今話にもあったように、技術力の高さも挙げられる。
こと、名うての剣士的な存在と言えば名剣だとか伝説の剣だとか、そういうのを振るって名を上げていると聞くが、
リリアリスについては名匠が作るような武器すらも自作するということで、
まさに真の最強は自分で得物が作れるやつということを体現しているかのようだった。
そういったことからも、まさに最強と呼ばれるに相応しい存在と言えるだろう。
それにより戦いのみならず、町の発展にも貢献する人物であり、
さらにその天才的な頭脳により、都市の運営にも携われるほどである。
ただし――そういう彼女の最大の欠点は”変わった人物”であること。
変わり者と天才は紙一重とはよく言うが、彼女の場合はまさにそれを体現しているかのような存在でもあった。
まあ、そのあたりが完璧と呼ぶには怪しいと言わしめる可愛げのあるポイントなのかもしれないが。
そして、2人目もクラウディアス特別執行官であるが、
どの国からも称賛の声高き生きながらにして伝説の美女・アリエーラである。
リリアリスとはどこかで意識と知識がシンクロしている点についてはこの場では省くが、
リリアリス並の戦闘能力を保有しており、彼女並の知識量を保有していることは確か。
そんな彼女が注目される点としてはそんなことは些細なことと言われるほどの最強特殊能力、
生きながらにして伝説の美女と称されるほどの美貌である。
これでいて性格に難ありだったらまさにリリアリスが体現しているように考えもするところだが、
万人受けしやすいその面持ちから、満場一致で伝説の美女と称賛されること請け合いである。
だが、そんな彼女にも数少ない欠点があり、残念ポイントが含まれている。
それは破天荒リリアリスに憧れていて、彼女なりの独特の思考回路を持ち合わせていること。
しかしリリアリスに比べればまだ可愛い方で、彼女ほどねじ曲がってはいない。
そのため、それはそれで可愛らしいアリエーラさんの魅力と言えるレベルであり、万人受けしやすいポイントである。
もちろん、こういう人は怒らせたら怖いのはもはやお約束なので、絶対に怒らせたらダメだぞ!
3人目はフィリス、彼女はいつの間にかクラウディアスの特別執行官の一員として成り立っているが、自覚はしていない。
というか、リリアリスが勝手に任命し、フィリス自身も暇なので、とりあえず協力関係にあるのが実際のところである。
彼女の能力と言えば戦闘能力はもちろんだが、女性にしてはかなりの剛腕の持ち主である――とはいえ、
それは彼女自身が持っている特殊能力による恩恵からくるものだが。
また、リリアリスやアリエーラとは仲が良く、特にリリアリスのボケに対するツッコミ役でもある。
そのあたり、物事をはっきりというようなタイプでもあるため、リリアリスからの信頼も厚い。
故に、リリアリスやアリエーラが頭脳なら、彼女は実働部隊専従という役割としてもちょうどいいのである。
なお、彼女自身が持っている特殊能力の都合で主に鉱石鑑定能力についてはリリアリスやアリエーラをも上回る能力を備えており、
戦争後におけるクラウディアス復興の際の資材調達に関しては彼女が立ち会っているほどである。
そして、4人目の”ネームレス”紹介は、クラウディアスの特別執行官の4人目にもなるフロレンティーナである。
彼女の特徴から”ネームレス”に当てはまりづらかったのだが、
身体の中に移植したものが”ネームレス”のものだったことがあってか、
彼女自身は”ネームレス”としての能力を得るに至った。
しかし、それについては事情が複雑故にこの場では伏せることにしており、
ほかの者同様に単に”ネームレス”であるものとして紹介されたに過ぎない。
とはいえ、彼女は今後身の内に宿っている”ネームレス”のために行動することにしているのだが。
フロレンティーナの特徴はなんといってもアリエーラに並ぶほどの伝説の美女であること。
人によってはアリエーラよりもこちらの御仁を上げるほど。
しかし、見た目こそアリエーラのような抑えめのおしとやかさんを思わせるところだが、
彼女とは対照的に二の腕や太ももなど、ポイントポイントで大胆な露出をしているあたり、
やっぱり男心を刺激するセクシーさを標準装備にしているため色気たっぷりなのである、流石はラミア族である。
しかし、そんな彼女にも大きな欠点があり、その内容はリリアリスと似ている。
リリアリス自身もシルエットや見た目だけなら男受け間違いなしなのだが、
そのすべてを性格が台無しにしていることは言うまでもなく。
フロレンティーナも少々気が強く、私は第2のリリアリスだと言わんばかりの気性の激しさを発揮することがある。
というのも、フロレンティーナはリリアリスという女性を強くリスペクトしており、彼女のファンサイトを立ち上げてしまったほど。
それぐらいの入れ込みようであるため、かなりリリアリスを意識している。
そんな彼女に対してリリアリスも妙に気に入ってしまっており、フロレンティーナをいろいろと改造している。
戦闘能力はもちろんだが、特にリリアリスが新しく作った服のモデルと言えば彼女を指名するほど、それだけスタイルもよい。
フロレンティーナ自身は割と抑えめだがセクシーな装いをしているのは主にリリアリスの改造による影響である。
そして5人目、女性4人の後に紹介するのは男性だが、ヒュウガである。
彼は元々ディスタードのガレアを拠点にしていたのだが、元々は”フェニックシアの孤児”の一員である。
”フェニックシアの孤児”といえば特別執行官のリファリウスもそうだが、今回不在ということで紹介も見送りに。
元々クラウディアスとの交流とは縁のない人だったが、
クラウディアスとの数回にわたる交流を経て特別執行官として就くことに。
だが、彼のポジションについてはガレアの時とそんなに変わっていない。
ガレアでは主に研究や開発をしているエンジニアの部門長としての役割をこなしていた。
無論、ディスタードのガレアなので兵器の製造なども一手に引き受けていたが、
ガレアのトップであるアール将軍ことリファリウスが戦争のための兵器開発については慎重であり、
エイジことヒュウガとしてもその意見には賛同するところである。
そういうこともあって、実際にやっていたことは平和利用のため、
ディスタード帝国軍に対抗するためのいろんな研究・開発をこなしていた。
そして、そんな彼がクラウディアスへの仲間入りを決めると、
主に研究部門や情報基盤形のシステム部門の顧問としての役割を担うようになる。
その点についてはリリアリスやリファリウスも持ち合わせている能力だが、
ヒュウガはそちらの能力に特化しているため、専従要員としての役割を担うこととなった。
なお、リファリウスにはいつもいじられているため引き合いにはされにくいが、これでも一応イケメン男児である。
つまり、クラウディアスの特別執行官は美男美女によって構成されているのも一つの特徴である。