その後、彼らはオリエンネストの指導の下、男性陣は耕した畑に作物の苗を植えていき、
さらには別の場所の作物の出荷の手助けなどを行っていた。
「そういえば気になったんだが、さっきの畑、何故あの技で固いところまでは耕さなかったんだ?
あの勢いを考えればできそうなものだが――」
ティレックスはそう訊いた。
「あいにく、僕にはそこまで腕力がないから、勢いがあってもその勢いを殺してしまうね。そしたら非効率だよ。
リリアさんからも聞いた通り、ここの土壌は農業に適した良質な土ばかりだしそこまで固い土もないみたいだから、
僕の技で十分な広さを耕せたと思うよ」
オリエンネストはそう言いながら作物の出荷準備を着々と進めていた。
それに対してアーシェリスが。
「なあオリ、まだ何かやるのか?」
オリエンネストは答えた。彼は堪えていないようだが他の男性陣はヘトヘトだった。
「よし、ここはこんな感じでいいだろう。キミらはもう休んでいいよ。
僕は他にもやることがあるからね」
まだやるのか!? そう訊くとオリエンネストは答えた。
「次は出荷前の作物の温度管理といった出荷スケジュール調整だ。
後は薬草を傷薬に加工したり、
もちろん、さっきの畑に植えた作物の収穫とかのスケジューリングもしないといけないし、他にもいろいろさ。
キミらにできることはないと思うからもう大丈夫だよ。手伝ってくれてありがとう!」
オリエンネストはやはり植物学とか薬草学に長けたスキルを所有しているのは間違いなさそうだった。
そういったことから農作物などの植物の栽培の知識から豊富な様子。
なるほど、農業大臣に抜擢されるには十分すぎるほどの能力の持ち主である、
ルーティスの一部の学者を唸らせるほどのレポートを作成したということもわかるというものだ。
「あいつがいればクラウディアスの農業の発展は間違いないってことだな。
それでいて――戦闘の能力も達者と、俺たちも見習うべきところはありそうだな――」
アーシェリスは考えた。
「その最たる例がリリアさんなりリファリウスなり――あとはヒュウガもそうだな。
あの2人はいろんなモノづくりスキルが強すぎるもんな」
ティレックスがそう言うとイールアーズは悔しそうに言った。
「くっ、真に強いやつってのは自分自身でも何かモノを作り出せるやつってことなのかよ、
俺の知らない間に時代は変わったもんだ――」
確かにその最たる例としてリリアリス・リファリウスが自身の武器として作った”兵器”、
そして、ヒュウガの機械仕掛けのソードがある、まさにイールアーズの言うとおりのような気がしてきた。
そしてクラウディアスにまた新たな客がやってきた。
「いやー、ディスタード帝国も崩壊して、
クラウディアス連合軍結成で同盟結んでくれたおかげで楽にクラウディアスに渡航できるようになったもんだな!」
調子のよさそうな感じの男がそう言うと、一緒にいたガタイのいい男が意地悪そうに言った。
「じゃあリファにはお前が”棚から牡丹餅超ラッキーだぜ!”って言ってたって伝えておくぜ」
それに対して調子のよさそうな感じの男も意地悪そうに言った。
「言わない方がいいと思うぜ?
別に構わねーがあいつのことだからな、それを言ったお前も同罪とみなすハズだ!」
そう言われたガタイのいい男が考えながら言った。
「言われてみればそれもそうだな――っていうか、今のは冗談だ! 本気にするんじゃねえよ!」
そして2人は笑っていると、その2人と一緒にいた可愛らしい短いスカートの女性が意地悪そうに言った。
「だったら私が2人がこんなこと言ってましたって言っちゃおうかなーっと♪」
すると2人はその女性に対して土下座して必死に訴えていた。
「いやいやいや! 嘘ですから! 本当にすんませんでした!」
「そうですそうです! すべてはリファリウス様のお力があったからこそです!」
しかしその女性は小悪魔ぶりにずっと「どーしよっかなー♪」と言いながら意地悪をしていた。
その様子に2人はずっと困惑していた。
するとそこへクラウディアスの重鎮の誰かがやってきた。やってきたのは――
「あれっ、もしかして――」
農業大臣に任命されたオリエンネストだった。
「えっ、あなたは確か――」
それに反応したのは3人の内の女性、プリシラだった。
オリエンネストは3人を連れてお城へと赴いた。
「すみませんオリエンネストさん、作業の途中なのに――」
プリシラは申し訳なさそうに言うとオリエンネストは前向きに答えた。
「いいですよ、残りの作業は僕がいる必要がないものですし――」
それに対して調子のよさそうな感じの男が言った。
彼の名はシャディアス、ルシルメアのレジスタンス、F・F団のサブリーダーであるシャイズである。
「いきなり農業大臣に任命された挙句、その次の日にこんな大仕事なんて大変というか、
リリアさんもとんでもない仕事の丸投げだな――」
さらにもう一人の、ガタイのいい方の男が言った。彼の名はロッカクである。
「しかも農業大臣って役職なのに何故か現地作業ってのが意味不明だな!」
それに対してオリエンネストは前向きに答えた。
「違うよ、仕事も現地作業も僕が自ら考えたことだよ。
やりたかったことはまさにその現地視察で、この国の土と水、
そして作物の栽培から収穫に集荷と出荷状況とその時の作業について調査したかったからなんだよ。
この国の農業の営みはなかなか優秀だね、流石に肥沃で広大な土壌を持つ国だと思うよ。
でも――なんだかちょっと物足りない気がするのは気のせいかな?」
オリエンネストはさらにいろいろと話を続けた。そこへプリシラが――
「オリエンネストさんって相変わらずマジメな方ですね!」
それに対してオリエンネストは我に返った。
「はっ!? ああごめんごめん。ついつい説明が長くなってしまったようだね」
「長いというよりは専門的すぎてよくわからん。まるでどっかの誰かさんみたいだ――」
シャディアスがそう言うとオリエンネストは頷いた。
「ま、まあそうだね――確かにリリアさんの影響は受けていると思うね――」
リリアリス? そっち? リファリウスじゃなくて?
シャディアスはそう言うとプリシラはクスクスと笑いつつ、話をした。
「やっぱりオリエンネストさんですね! 私はオリエンネストさんらしくていいと思います!」
リリアリスの影響を受けるところが自分らしいと言われると――オリエンネストは顔を赤くしていた。