「えーと、まずは私のスリーサイズ? 見ての通りセクシーなお姉さんよ。
次は……私のバストサイズ? 見ての通り豊満なバストの持ち主のお姉さんよ。きょぬーで覚えとけ。
次、私の年齢! 見ての通り年齢不詳なミステリアスなお姉さんよ!
見た目に反してまあまあ歳食っていると思うけれど……って! 多分、この辺は何度か同じ質問しているわよね!
いい加減このテンプレ出すのもやめなさいよね! 去年もそう言ったばっかりじゃあないのよ!
いい歳した大人がなんでこんなこと訊いてんのよ! セクハラよ、セクハラ!」
さらに笑いがこみ上げてきた。軽快なトークとジョークが入り混じってなかなか面白い講義だった。
彼女の言い方から察するに、さほど本気にしているようにも感じなかった。
これだけのことをされても寛容に受け入れる姿勢、彼女の人気の秘密がわかるようだ。
しかもいい歳した大人がってことは質問しているのはやはり教職員か、
質問者の情報までは取っていないようなのだが彼女は恐らくそうだとにらんでいるのらしい。
ちなみにオリエンネスト的にはリリアリス……いや、夢の中に出てくる彼女の詳細なスリーサイズは知らないけど、
胸が大きくてそれなりにセクシーなボディラインの持ち主であることは彼の中でも認識が一致していた、
その点を見てもあの彼女はやっぱりあのリリアリスさんで間違いなさそうだ。
「と、あとはおなじみのセクハラ系質問も多数取り揃える中……お姉さんの蒔いてる布は何色って――」
笑いがやまない中、リリアリスは話をさっさと進行していった。
「以前にお姉さんの下着の色とか変なやつがあったけど、これはその発展形よね?」
そんなハレンチな質問があったとは。
「まあ、下着の色って書かない分だけ学習したみたいだから少しだけ許してあげるわね。」
やはりハレンチな質問の大半は教職員などの学校運営者側による質問らしい。
それだけ彼女は講師として何度も呼ばれるほど人気なのは確かのようだ。
「とにかく、私が身に纏っている布についてマジレスしてあげようじゃないのよ。」
彼女は、下着代わりにミスリル銀繊維の布をまとっているらしい。
ミスリル銀ということは、純白の布ということか。
「そう言えば今回初めて言うかもしれないけれども、
最近になってミスリルの色って青とか緑とかの色じゃないのかって言われたことがあってね、それについての回答をしておくわね。
結論から言うとミスリル”銀”とも呼ばれる通り、この色が本来のミスリルの色なのよ。
伝説のミスリルといえば青や緑の色を想像する人もいるだろうけれども、
あれは不純物が含まれているからで、実際に製錬するとこの色になるのよ。
もちろん、仕上げはあえて青い色にするという加工を施すこともあるけれどもね。」
それについてはオリエンネストの認識とも一致していた、
だけど、自分はどうしてそんなことを知っているのだろうか、
オリエンネストは自分のことながら非常に気になっていた。
すると――彼女は教壇を下り、オリエンネストの元へと接近してきた。
そして、恐らく自らが纏っている布と同じ生地の布と思しき布を出し、彼に渡してきた。
そんなオリエンネストは彼女が近づいてきたため、すごくドキドキしていた。
「あんた、教職員でも学生ってわけでもなさそうね。
いつも女の子に渡しているんだけれども、今回は特別にあんたに上げる。どう? 結構頑丈でしょ?」
そう言われたオリエンネスト、ドキドキしながらも、一切容赦なしの強い力で布を引っ張ってみた。
そして、コメントを求められたので、マイクに向かって感想を言った、その際は彼女が接近してきたときよりも緊張しなかった。
「頑丈ですね。
これ、ミスリル銀というだけに、ちょっとやそっとの攻撃を受けてもびくともしないのでは?」
それに対して彼女は意表を突かれたらしく、少しびっくりしていた。
「ええっと、そうよ。ミスリル銀って伝説の金属っていうぐらいで採掘量が稀だけど。
だけど、良く知っているわねあんた。
そうよ、この素材で作られた防具とかは敵の攻撃をそう簡単に通さないって言われているわね。
現に、今の今までいろんな攻撃がこの布を貫通したことはないからね。」
しかし、そんな伝説の金属を金属繊維に加工する技術というものもすごいものがあるな。
それにこれは彼女が作ったものらしく、彼女自身の技術力の高さが窺える。
リリアリスの講義もとい軽快なトークショーは続いた。
「この武器どこで買ったのか、これは初見の方の質問――じゃなくてテンプレね。
これは自作品なので非売品です、と。
それから――まーた懲りずに去年に引き続いてとんでもない質問が来たわよ、テンプレかどうかわからないけれども。
アリエーラさんと付き合うにはどうしたらいいですか、ですって。」
アリエーラさん!? オリエンネストは再び興奮した、いや、目の前にいるのはほぼあのリリアリスさんであり、
ということはつまり例の”美女”もあのアリエーラさんであることはほぼ確実なんだろうけれども、
それでもやっぱり彼女の口からアリエーラの名が出てくるだけで特別なものを感じていたオリエンネストだった。
するとリリアリスはスマートフォンを出し、その人の画像をモニター側へ出した。
「まったく、ここの学校ってばいつもいつも最新のアリエーラさん出してくれないかってうるさいのよね。
存在自体が女神様みたいなもんだから気持ちはわからんでもないけれどもね。」
再び笑いが。最新のアリエーラさんを認識しているということは2人は今でも一緒にいるということか、オリエンネストはなんだか嬉しかった。
するとリリアリスは大きく息を吸い込み、右手に例の剣を出し、左手には風の魔法を発動しながら怖そうに言った。
「アリと付き合うための条件はこの4つ! 1つ、付き合う前に死を覚悟しろ!
2つ、そもそもどこの馬の骨とも知らないヤローは却下! 人生から退場させられてももんく言うな!
そして3つ、アリと付き合いたいというやつはこの私を倒してからにしろ!
最後に、そもそも彼女を倒せるほどの力量がない男も却下だ却下!」
3つ目のからはものすごい形相で言った。男性陣からの笑い声は少なく、女性陣からの笑い声があたりに響いた。
男性陣はむしろ頷いているようだった。
ちなみにオリエンネストはとても嬉しそうにしていた、この人は絶対にあのリリアリスさんだ!