スクエアから連絡船に乗り、クラウディアスへと向かうことになった一行、
フィリスとティオ、そしてデュシアの3人は期待を膨らませていた。
「どんなところなんだろう――」
フィリスがそう言うと、
「楽しみだね! 実質的にアリが支配している国なんだろ!」
デュシアはアリエーラを茶化すようにそう言った。
「そうでーす♪ クラウディアスはお姉様のお庭でーす♪」
それに追随してエミーリアも楽しそうに言った。するともちろん――
「もう! エミーリアさんまで!」
しかし、状況が状況なため、ある程度は自覚しているアリエーラだった。
一方のもう2人の癒しのモンスターズはリリアリスと話をしていた。
「2人とも、本当に可愛いねぇ。そうね――カスミのほうがお姉さんかな?」
リリアリスはそう言った。
カスミとティオはお互いをじっと見つめていたが、リリアリスがそう言うと、
カスミのほうからティオのほうに歩み寄り、彼女を抱いた。
身長はカスミのほうが小さいが、実際の年齢は逆転しているようでカスミのほうがはるかに年上のようだ。
「ティオ、私守る、安心する」
カスミはティオから密かに感じる何かを感じ取っていた。
やはり精神的な問題で声を失っているだけに、相応の心配をするのは当然のことである。
それに対し、ティオのほうもカスミに甘え始めた。
「ま、私にしてみれば? 2人とも似たようなもんだけど?」
リリアリスは得意げに言うと、2人の視線は彼女に向けられた。すると――
「んもー♪ しょーがないなーもー♪ 2人とも、おいでー♪」
リリアリスお姉さんはその場にしゃがみながら楽しそうにそう言うと、
2人の癒しモンスターはリリアリスの豊満なバストの中へと誘われた。
「よーしよしよしよし♪」
リリアリスは2人を抱えると、2人ともそのまま気持ちよさそうに眠った。
「まったくもう、本当に可愛いなあ2人とも――」
リリアリスにとってもこの2人は何やら特別な感情を抱く存在だったようだ。
天気は快晴、船旅は順調そのものだった。しかし、暗雲は突如として立ち込める――
船はスクエアを出港し、一度ルーティスを経由すると、そこで多くの乗客を降ろし、
終着港クラウディアスのフェラント港へと向かうことになった。
だが――
「ん? ねえアリ、2時の方向に戦闘艦みたいな船がいるんだけれども、あれは?」
フィリスはその船の存在に気が付き、アリエーラに訊いていた。さらに続けた。
「なんか、こっちに近づいてきてない?」
それに対し、アリエーラはすぐさまその船を確認した、すると――
「あれはまさか! ねえ、リリアさん!」
アリエーラは慌てつつも、甲板で癒しモンスター2体に囲まれてウトウトしているリリアリスの肩を叩いて呼び覚ました。
「えっ、何!? どうしたの!?」
リリアリスは言われるがままに促されると、その船を確認した。
「あの船、まさか――」
すると突然、その船から砲撃が!
「うわあっ!」
砲撃は定期船の近くの海に被弾! すさまじい水しぶきが定期船に襲い掛かってきた!
乗客たちは突然の出来事で驚いていた――
「なっ、なによあの船! 突然攻撃なんてどういう神経しているのよ!」
フィリスはムキになってそう言うと、リリアリスは冷静に言った。
「ディスタード帝国本土軍所有の戦闘艦。
本土軍の目的はクラウディアスを侵略し、
クラウディアスに成り代わって自分たちこそが真の強国であるということをエンブリア全土に知ら締めさせるつもりなのよ。
でも、まさか定期船を狙ってくるなんて思ってもみなかったけれども――」
「やっぱりディスタード本土軍ですか――」
アリエーラは不安そうにその船を眺めながらそう言った。
「一旦ルーティスに乗客を降ろしていて、まだクラウディアスに渡航しようだなんて人が少ないから、
乗客が少ないのが不幸中の幸いといったところかな。
とにかく、なんでもいいけれども私に考えがあるから、みんな言う通りにしてもらってもいい?」
リリアリスはそう言うと、6人は全員、彼女の言う通りに事を運ぶようにしたのである。