フィリスとティオ、そして、リファリウスとの馴れ初めを聞いていた一同……女性ばっか。
そしてついでにフェニックシアの孤児の話についても聞いていた。
フェニックシアの孤児の話についてはリファリウスからさせるとひどいときは半日泣いていることもザラなので、
リファリウスが席を外しているときにアリエーラが代わりに話をしていた。
「なーるほど、つまりこれは、逆恨みって話ですな!」
話を聞いたフィリスはそう言った、
先ほどリファリウスとガルヴィスが遭遇してしまったが、その時のガルヴィスのことである。
リファリウスがリセリネアを守れなかった、そして、そのことを恨んでいるガルヴィス――どうかしている。
「恨むなら自分恨む、他人を恨む笑止千万」
カスミはやはり感情の起伏の乏しい棒読みちゃん的な言い回しだった。
とにかく、リファリウス自身もあの時の出来事のショックで動揺していて、
どうしていいのかわからなかったという、それもそうか。
リセリネアが亡くなったことで大きなショックを受け、その時のことについては今もなお引きずっている。
だから、リファリウスとしては、もう誰にも死んでほしくはないのだろう。
「あれ? リファリウスさんはどこに――」
クラウディアス王国にてその日の朝、ベッドから起きあがったアリエーラはふと周囲を見渡したがリファリウスの姿は見当たらなかった。
「……いつものところですかね。」
アリエーラは少し考えると、思ったところに向かって歩み始めた。
寝室を抜け出し、そのまま同じ階層のテラスまで進むと、
リファリウスはテラスの縁にもたれかかりながら夜が明けたばかりの遠くの空をじっと眺めていた。
「リファリウスさん、おはようございま――」
アリエーラはリファリウスに向かって挨拶しようと言いかけたが、
その顔を見るや否や驚いた。
「り、リファリウスさん、まさか――」
その時のリファリウスの顔は涙であふれていた。
「……また、昔の夢を見られたのですね――」
アリエーラも涙を浮かべながらそう言った、
この2人は一部が同調しているため、互いの気持ちが痛いほどわかるのである。
「アリエーラさん、私はあれから強くなれたのかな――」
その問いには何とも言えないところだけれどもアリエーラは涙をぬぐいながら言った。
「リファリウスさんは強いですよ!
私だってリファリウスさんに助けられていますし、
何より、この国の人たちだって、あなたなしでは守り切れなかったハズです!
もう少し、自身を持っていいんですよ!」
と、やや強めに言った。そして――アリエーラはリファリウスの隣に寄り添い、優しそうに続けて話した。
「それに――泣くときは一人で泣かないでください、
泣くときは私も一緒です、涙が枯れ果てるまで一緒にたくさん泣きましょう、
1人で泣いてるなんて辛いではないですか?」
そう言われたリファリウス、一緒に泣いてくれる親友がそばにいる――これほど幸せなことはないだろう。
それについて嬉しくなったリファリウスは涙をぬぐい去り、アリエーラをしっかりと抱いて一言だけ答えた。
「……アリエーラさんにはかなわないね――」
その一言だけで、この2人の間でしか通じない、お互いに伝えたかったことすべてが伝わったのである。