とにかく、自分の置かれた状況が全くわからないため、フィリスは少女と共に街を探すことにした。
こんな鬱蒼と生い茂る森だが幸い、さっきの男共が逃げた方向は開けた土地になっているようだったので、
2人はとりあえず、そちらに進むことにした。
ところが――
「てか、そもそも何処ここ――あなた知ってる?」
フィリスはこの場所の土地勘がなかった。少女も首を横に振って返すと、
「そっか、それじゃあしょうがないね、なんとか手探りで進むしかなさそうだね――」
フィリスは悩みながらそう言った。言っていても仕方がないのでとりあえず歩を進めるが、
「さっきの男共みたいなのがいないといいんだけれども――」
どこに行くにせよ、フィリスはその点を心配していた。
とりあえず、森から出ると街道が左右に伸びており、どちらに行くか選択を迫られるようだった。
「どっちに行くべきと思う?」
そう言われた少女は右のほうを指示した。
言われるがままに彼女は先陣を切って進むと、そこには遺跡が――
「何かしらここ?」
そこには誰もいるような気配などなかった。
フィリスはくまなく調べていると、休むのにちょうどよさそうなスペースを見つけた。
「ねえ! こっちに来て休まない?」
フィリスは少女にそう言い、少女は頷くとフィリスのもとへとやってきた。
2人はその場で座ってくつろいでいた。
そして、フィリスは少女の顔色を見ながら言った。
「そういえばさっきから一言も発していないようだけど大丈夫?」
フィリスは少女の心配をしていた。そう言われた少女はうつむいていた。
「ごめん、気に障った? それなら謝るよ――」
それに対し、少女は全力で首を横に振った。
「そっか――。あなたどこから来たの?」
そう言われた少女は再びうつむいていた。
それに対しフィリスは――
「そっか、つまりは私と一緒ってわけか、
というのも何を隠そう、私もここがどこだかあまりよくわかっていないのよ!」
それに対して少女は驚いていた。
「大丈夫、へーきへーき! 実は私ってば前にも同じような目にあっているのよね、多分だけど。
だからその――とりあえず、私に任せなさいな!」
前にも同じような目ってどういうことだ、それはそれで問題じゃあなかろうか。
ともかく、なんの根拠のないフィリスの自信だったが、それでも何故か自信だけはあったフィリス、
その様子に対し、少女はにこにこと笑顔で返していた。
遺跡からさらに進むこと10数分後、遠くに何かが見えてきた、それは紛れもない町だった。
しかし、やはりこのような町は今まで見たこともない、少女についてもそれは同じで、首を横に振って意思表示していた。
とにかく、町でフィリスは情報収集を始めると、宿屋で部屋を取り2人で話を始めていた。
「ソニーエの町だってさ。
しかもセラフィック・ランドの第8都市だってさ、何が何やらさっぱりわからないわね――」
フィリスとしてはもはやお手上げだった。
何より、自分がどこにいたのか、どこに行くべきなのか、何をすべきだったのかもさっぱりなため、
そもそも論としてどうしようもないのだが。
「でも大丈夫、初めてじゃあないからね、こうなったとしてそんなに困ることでもないし、気楽に待とうよ――」
フィリスはそう言った。
ん、待てよ、何を待つのだろうか――自分で言ったことに対して違和感を感じていたフィリス、疲れているのだろうか。
「もう、寝ようかな――」
フィリスは欠伸をしながらそう言ったが、少女のほうは目がとろんとしており、今にでも眠りそうになっていた。
「あんた可愛いわね。
いくつだか分かんないけれどもそんなに歳を取っている感じではなさそうね。
まあいいわ、こっちにおいでよ?」
フィリスはそう言って少女を抱きかかえようとすると、少女はフィリスの胸の中に飛び込んできて一緒に寝ることにした。