エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

悠かなる旅路・精霊の舞 第3部 黄昏の入り江 第5章 もう一つの軌跡

第73節 伝説の美女と笑顔の天使

 フィリスを加えたリファリウスら4人は、そのままスクエアの町の田舎道のほうへとやってきていた。 そこには有名なお化け屋敷があり、とあるハンターが以前にそのお化け屋敷の真相を解明し、 問題を解決したというエピソードがあった。
 そして、その4人はそのお化け屋敷へとやってきた、そこには――
「リファリウス! 本当に久しぶりね! アリからいきなり話を聞いた時は本当にびっくりしたよ!」
 とあるハンターが入り口におり、リファリウスの姿を見るや、そんなことを言っていた、彼女の名は――
「デュシアさんこそ本当に久しぶりですね! こうして再びお会いできるとは本当にうれしいです!」
 と、リファリウスが言うと、デュシアは笑いながら言った。
「あははっ、本当に面白いねえあんたたちは。 さっきアリにもまったく同じことを言われたよ、まさにシンクロしていることの表れだね!」
 それに対し、リファリウスも笑っていた。 リファリウスの言ったセリフは純粋にアリエーラが言ったセリフそのものでしかなく、 リファリウスが意図的にそう言っただけであった。 すると、ィリスが言った。
「ふーん、なるほどね、あんたとアリが……そう言われてみるとなんかどこかで似たような話を聞いた覚えが――」
 フィリスの存在に気が付いたデュシアが話を改めた。
「ああそうそう、こんなところで立ち話もなんだからさっさと中に入っちゃおうか、 いずれにしても立ち話にしかならないと思うけれども」
 デュシアはお化け屋敷の中に4人を案内した。
「それにしても――まさかその、クラウディアスの女王陛下様が直にいらっしゃるなんて驚いたね!  もうちょっとマシな格好でもしてくればよかったかな?」
 それに対してエミーリアは答えた。
「いえ、そんな――気にされなくて大丈夫です!」
 エミーリアはやっぱり気さくだった。 この後はお互いの距離も近くなるような会話もあり、さらには踏み込んだ話にも――
「そっか、エミーリア姫ってば、胸が小さいのが悩みなのね――」
「TTPP(つるつるのぺったんこプリンセス)」
「だからTTPP言うなー!!」
 カスミとエミーリアの定番の流れに。彼女の悩みは尽きない。

 そして、お化け屋敷の中には伝説の美女と言われたとある女神がその場に鎮座しており、 お化け屋敷と呼ばれた洋館の窓から差し込む日光に女神の後姿が照らされると、より神々しさを増していた。
「……まあったく、相変わらずの伝説の美女っぷりは健在ってわけね」
 と、フィリスは彼女の後姿を見ながらそう言った。それに対し、その伝説の美女はというと――
「みなさん! 無事にいらっしゃったのですね!」
 こちらに振り返りながら元気にそう言った。 なお、彼女のほかにもう一人、長身の彼女よりも背の低く、 カスミよりも少し背が高い程度の女の子がその場におり、何やら話をしていたようだ、その女の子は――
「やあ、ティオりん! 久しぶりだね! 相変わらず可愛いね!」
 と、リファリウスが楽しそうに言った。それに対し、ティオはニコニコと笑顔で答えた。
 ティオはアリエーラよりも青めの色のほうが強い銀髪で、身長も低めなのが特徴と、 この世界なら案外どこにでもいそうな女の子だけれども一つだけ大きな問題を抱えていた、それは――
「よーしよしよしよし♪」
 リファリウスは自分の胸に甘えてきたティオの頭を優しく撫でていた。
「ティオりんは本当に可愛くっていい娘だなぁ、まるで天使みたいに可愛いね!」
 ティオはにっこりとした笑顔で答えていた。
「そういえば彼女、私が見た限りでは一言も発していないようだけれども――」
 ティオに対してデュシアが違和感を感じ始めた、そう、何を隠そう彼女が抱える問題とは――
「私も今まで聞いたことがないのよ」
 フィリスがそう言うとデュシアは驚いた。それに対してリファリウスが言った。
「大丈夫、何もしゃべってくれなくてもこの笑顔を見れば何が言いたいのか伝わってくるからね――」
 リファリウスはティオの可愛い笑顔の彼女の頭を優しく撫でながらそう言った。
「そうですね、私もコミュニケーションには困ったことがないですね――」
 アリエーラもにっこりと微笑みながらそう答えた。 そう、ティオには言葉を発するということができないのである。
「失語症!? 何かの病気!?」
 デュシアは心配しながらそう言った。それに対しリファリウスが答えた。
「この娘はどこも悪くなく至って正常そのもの、となると考えられる要因はひとつだけ――」
 デュシアが続けざまに言った。
「トラウマ体験による要因――」
 するとアリエーラは――
「ほんと、ティオさんって可愛いですね! まさに天使そのものですね!」
 ティオの頭を撫でながらそう言った。ティオはまさに天使であると言わんばかりの笑顔で無邪気に喜んでいた。 その様子を見ながらデュシアは言った。
「――どういう経緯でそうなってしまったのかはわからないが、彼女の力になりたい有志には困らないわけね」
 それに対してフィリスは「そういうこと」と言った。フィリスとデュシアは5人のもとに駆け寄ると、彼女を愛でていた。