エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

あの日、すべてが消えた日 第1部 黄昏の章 第2章 邂逅の刻

第9節 脅威の女襲来

 女はニヤッとしながら得意げに話を続けた。
「なるほど、つまりはあなたがそのティルアの団員の一人ってワケね。」
 クラフォードは答えた。
「察しがいいな、そのとおりだ。ちなみに俺はティルア自衛団のリーダーだ。 で、改めて要件をうかがおうか、何しに来た?」
 それに対して女は再び得意げに言った。
「ふーん、なんかそうかなーと思ってたけどやっぱりそうだったのね、万人狩りさん。 お隣は万人斬りと……うーんと――」
 忘れられていた鬼人剣は激しく指摘をした!
「俺が鬼人剣イールアーズだ! よく覚えておけ! このクソアマが!」
 それに対して女の態度が少々一変した。
「誰がクソアマですって?  言っとくけど、私は別に事を荒立てるつもりで来ているわけじゃあないんだから、そこだけちゃんと気にしておいてよ。 でも、私に向かってそんな口の利き方をするような悪い子ちゃんがいるんだったら――その時は容赦しないわよ。」
 と、女はそう言いながらどこからともなく地面から自分の顔までぐらいの長い棒をどこからともなく右手で取り出し、 力強く地面に突くと、それと同時にこの女から何とも言えないような凄まじい気迫が――
 女のその態度に対し、3人は自分の剣にそれぞれ手を差し伸べつつ、身構えた。
「なっ、なんだこの女!? こいつの持っている能力は――」
 ディルフォードはその女のその迫力に焦りを感じていた。それに対して女は――
「へえ、流石は万人斬りさんね、 イケメンなうえに相手の力量をきちんと推し量れる能力が身についているだなんて関心関心♪」
 と、なんだか嬉しそうに話した。
「なんだこの女、ふざけやがって。 おいクラフォード、そろそろ片付けようぜ、いい加減腹が立ってきた」
 イールアーズは闘争心むき出しだった。 状況的にあんまりいい感じでないことを察したクラフォード、改めて冷静になって話をした。
「事を荒立てるつもりで来ているわけじゃあない割にはずいぶんとしたご挨拶だな。 まあいい、あんたはティルア自衛団をご所望だというのならいいだろう、連れてってやる。 但しこんな状況下だからな、強制連行とさせてもらう。 船の中の乗組員もろともひっとらえてやる、今すぐ全員を降ろすがいい」
 しかし、女は拒否した。
「何言ってんのよ、他の乗組員は関係ないでしょ。 そもそも私は1人でここに来るつもりだったから……つまり、他の乗組員なんていないってワケよ、おわかり?」
 クラフォードは理解に苦しんでいた。
「また、ずいぶんと堂々としたことで。まあいい、1人だというのなら話は早い。さあ、来るんだ――」
 クラフォードは女の手をつかもうとしたが、女は瞬時に手を引っ込めて拒否した。
「ちょっと! 別にいいじゃないのよ、私のペースで行かせなさいよ!」
 話は破談に。仕方なく、クラフォードは強制執行をすることにした。
「ダメだなこれは、仕方がない。やりたくはなかったが――」
 クラフォードは剣を引き抜きながら言った。
「大人しくすれば怪我をすることはない、だから言うことを聞くんだ」
 だがそこへ、ディルフォードも自分の剣を引き抜きながらクラフォードの横に並んだ。 それに対してクラフォードは遠慮しようとするが――
「この女、恐らく只者ではない。 こんな女、今までどこに潜んでいたのかわからんが――」
 そこへ、イールアーズも得意げに飛び込んできた。
「最初からこうすれば早いってのに何をうだうだやっていたのか――」
 それに対してディルフォードは――
「イール、お前が一番心配だ、だから、死ぬなよ」
 それに対してイールアーズ……
「女1人相手にバカ言ってんじゃねえ!」

 ところが……万人斬り、万人狩り、そして、鬼人の剣の3人が束になってもこの女に勝てなかった。
「ほらほら! 甘いぞ、鬼人剣と万人斬り、そして万人狩り!」
 そう、この女こそがあのリリアリス、敵わないハズである。 彼女は長い棍を軽々と振り回しながら話をした。
「あなたたちが噂の”名を冠するもの”3人衆? その割には大したことがないのね。」
 リリアリスは余裕で3人を相手していた。
「くそう、どうなってやがる、あの女――この俺たちが束になっても敵わないだと……!?」
 イールアーズは棍で激しく突かれた右腕を左手で押さえながら力なく言った。 さらに続けてクラフォード、そして、ディルフォードも言った。
「なんだこの力は――強すぎる――」
「なっ、何者なんだ、あの女は――」
 それに対し、リリアリスはあくびをしながら余裕の表情で話した。
「ふわっ、ま、そゆことだからもういいよね?  なんでもいいけどさ、ここで争いを起こしたことは謝っとくけど、こちとらちょいと急ぎなのよ、悪いわね。」
 そう言いながらその場を立ち去ろうとするリリアリスだが、クラフォードが――
「待てっ、まだ話が終わってない!」
 何とか立ち上がりながらそう言った。
「何よ、まだやる気なの? ったく仕方がないわね、トドメさしちゃおっか――」
 リリアリスは電撃球を繰り出すと、それを3人それぞれにめがけて放った!
「ぐわあああああああー!」
 3人の雄たけびがとどろき、そのまま3人は倒れた。