エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第7章 アポカリプス

第227節 ガードの堅い女

 そして、クラフォードはリリアリスのもとへとやってきた。そこにはヒュウガもいた。
「美味しいわねこのプリン。気が利くじゃないのよ、50点プラスね。」
 どういうことだよ、クラフォードはヒュウガと顔を見合わせていた。
「良かったな、彼女の好感度爆稼ぎ中じゃないか! 一緒になれる日もそう遠くはないな!」
 ヒュウガは意地悪そうにそう言うとリリアリスは答えた。
「何言ってんのよ、ヒー様の72,581点に比べればクラフォードの25,472点なんかまだまだ序の口よ。」
 なんで俺そんなに点数高いんだ――ヒュウガは頭を抱えていた。
「良かったな、あと少しで彼女と一緒になれるんじゃないか!?」
 クラフォードは仕返しと言わんばかりに意地悪そうにそう言った。
「なれるかどうかは別の話よ。 その点数はただの”使える男ランキング”の点数で、 単にどこまで使える男なのかを指し示す指標でしかないんだから、私の男に採用されるかどうかは別。 どうしても私と一緒になりたいってんなら”彼氏にしてもいいランキング”の点数を稼ぎなさいよ。 ちなみにその点数で言えばヒー様は48点、クラフォードは39点、これが最低でも80点を超えないと話にはなんないわね。 あと、参考までに、”使える男ランキング”からの加点値は最大32点までだから、 いくら”使える男ランキング”の点数だけ稼いだとしてもムダだってことは覚えておきなさいよね。」
 ガードの堅さはまさに見たまんまの強度を備えているリリアリスだった。 いや、リリアリスの彼氏とか普通に遠慮しておきます、2人は何も言わないまでも、互いのその理解だけは通じ合っていた。

 ところで閑話休題。
「な、なあ、リリアリス、さ……ん……」
 クラフォードは遠慮がちだった。
「どうしたのよ? だから”さん”付けしなくていいって言ったでしょ。 こう、友達同士みたく”リリアリス!”って言ってくれればいいのよ。 元々リリアリス”さん”なんていう柄じゃあないからね、私は。 それでもどうしても敬称をつけたいっていうのなら……リリアリス”お姉ちゃん”とでも呼んでくれると嬉しいわね♪」
 えぇ……クラフォードは頭を抱えていた、それはちょっと……
「じゃ、じゃあ、参考までに聞くが、ヒュウガ、お前はどう呼んでるんだ?」
 クラフォードはヒュウガに訊いた。
「俺は最初から”リリアリス”って呼んでるな」
 するとクラフォード、リリアリスに気になっていたことを訊いた。
「ん、そういえばあんたって、こいつのことを”ヒー様”って言ってたな、あれはどういうことだ?」
 リリアリスは得意げに応えた。
「いいじゃないのよ、女の子にはそういうこと言うお年頃があるのよ♪」
 どういうことだ、2人は困惑していた。
「そっかぁ♪ つまり、あんたのことは”クラ様”って呼んだ方がいいってわけね♪」
 いや、むしろ辞めてくれ――クラフォードは頭を抱えていた。

「ところで何の用よ、まさか、プリン1つで私のことを買収できるとか思ってるわけ?」
 リリアリスはクラフォードにそう訊いた。
「ああ、できると思ってる、ノリのいいあんたのことだからな。 それはいいとして、確か、レイビスが来ていたらしいな。あいつ、その後どこに行ったんだ?」
 それに対してリリアリスは答えた。
「レイビスだったら多分今頃アクアレアじゃあないかしら?  そういえばヒー様、あん時に一緒に戦っていたんでしょ?」
 ヒュウガは答えた。
「あいつ、多分だけど”闘気剣術”使いだぞ。 しかも素手で使いやがった、相当の使い手なのは間違いないな」
 それを聞いたクラフォードは頷いた。
「やっぱりそうか、そういうことだろうと思った」
 どういうことか、リリアリスは訊いた。
「それは”百戦錬磨のフォディアス”の得意技だったものだ。 で、いろんなことを類推すると、やつは恐らくフォディアスの身内か親戚だと思う、 あいつはひた隠しにしているみたいだけどな」
 それに対してリリアリスはただ一言、「そーなん?」とだけ言った。
「あ、ちなみに、この話は他のやつには黙っててくれよ、 女性陣はこの手の話題にはあまり興味ないから別に構わん――というか、 あんたに言った時点で話が広まっている気がするからそう言っているだけなんだが、 男共には黙っててくれよ、それがもし本当の話だとしたらほぼパニックになること請け合いだし、 あいつにも迷惑はかけたくない、だから――」
「分かったわよ、そのことは内緒にしておくわね。 それと、仕方がないわねぇ、 プリン1つでおねーちゃんのことをイチコロにしちゃう”クラちゃん”のために、 おねーちゃんが一肌脱いであげるわよん♥」
 はぁ!? クラフォードは顔が引きつっていた。
「そんなに私のことがイイんだったら”クラちゃん”のことを可愛がってあげてもいいのよ? うふふふふふっ――」
 クラフォードは目の前の美人でスタイルもよいおねーちゃんに対してときめくどころか恐怖を覚えたため、 そこからすぐさま逃げだした。
「今のは誘惑じゃなくて脅迫だな」
「ちょっと! そういうこと言う!?」
「酷くはないと思うぞ、なんせ、クラフォードだしな」
「ああっ、そっか、それもそうだった。その点、ヒー様は私の魅力がわかっているんだもんね♪」
「魅力? ああ、破壊力のことか」
「うふふっ、そうよヒー様、私のダイナマイトなボディの抜群な破壊力のことよ♪」
「それは専門外だったわ」
「そっか、やっぱり根暗にはわからんか――」
「だから根暗言うのやめろ。 それはそうと、あいつ結局のところ、何しに来たんだ? 用はあれだけ?」
「私にプリン食べさせたかったんでしょ。気持ちだけは受け取っておく。」
「どう考えても完食したやつが言うセリフじゃないと思うけどな」
「ちなみにクラちゃんには悪いけど、レイビスはアクアレアにはいないわよ。」
「おい、なんでそんな意地悪するんだ?」
「ええ、必要枠だからよ。」
「相変わらず意味わかんね」