エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第7章 アポカリプス

第223節 本性

 一方でリリアリス、もはや瓦礫の山同然となっている戦艦の上で、内部への入り口へとやってきた。 そこへ、1人の幼子の姿を確認した。
「カスミ!」
「お姉ちゃん! ごめん、私、残っちゃった」
 リリアリスは頷いた。
「いいのよ別に。 そういう面倒見のいいお姉さん気質な面があるのもカスミんのいいところなんだからさ!」
 言われたカスミは照れていた。そして話をした。
「壁破って進む危険、どうする?」
 カスミが言うとリリアリスは頷いた。
「そうなのよね、あちこちから燃料とかいろんなエネルギーが漏れ出しているから、 下手をするとこれで切った反動でそれらに引火して大爆発を起こす可能性がある、 だからここは新しい道を作らず、既存の道を突き進んでいくことでしかやりようがないってことなのよね――」
 それに対してカスミは――
「だけど、それやっちゃった人いる気する」
 リリアリスは悩んでいた。
「彼女の安否が気になるところね、手遅れにならないうちに早く見つけましょう!」

 リリアリスとカスミの2人は戦艦内部の瓦礫の山を処理しながら進んでいくと、今度は魔物の群れが現れた!  魔物は瓦礫によって押しつぶされているやつもいれば、まだピンピンとしているやつもいた。
「まったく、こんなことしている場合じゃないってのに――」
 すると、リリアリスは”兵器”を振るう場所に気を付けながら魔物に向かって突撃した!
「カスミ! 先に進んで! この辺りは私が引き受けるから!」
 それに対してカスミは敬礼みたいな合図で答え、その場を去った。
「さーてと、あんたたちはこの私が一気に片付けてあげるから、覚悟しておきなさいよ――」

 カスミは魔物の群れを振り切りながら進むと、そこには大きな魔物が立ちはだかっていた。
「あれは――」
 カスミは刀を振りかざした。 その魔物は、ヒュウガたちが戦ったような”ホーン・デーモン”タイプの魔物だった。
「容赦しない」
 すると、カスミは素早い身のこなしで魔物を翻弄、そして、魔物を切り裂いた、だが――
「硬い――倒しきれなかった」
 激しい切り抜きで攻撃したものの、ホーン・デーモンはほとんど堪えていなかったようだった。
「マズイ――」
 するとホーン・デーモンの反撃! 強靭な腕を勢いよくカスミめがけて振り下ろした!
「うあっ――」
 筐体サイズの小さいカスミ、直撃は免れられた、しかし、痛手は避けられない――
「うぅっ、こいつ――」
 カスミは何とか受け身を取りつつ立ち上がったが、魔物の追撃は止まらない。 さらに右腕による一撃でさらにカスミは吹き飛ばされた!
「くはっ――」
 カスミは倒れた。そして、そこへ魔物はさらに接近、 確実にとどめを刺そうと、カスミめがけて強烈な衝撃波を発する右腕と左腕による一撃を発射させた!
 だが――
「お前、私を怒らせた、今から覚悟する――」
 カスミはゆるりと起き上がり、右手を差し出した。 すると、魔物の放った衝撃波は2つに分かれ、彼女からそれていった――
 カスミはこれまで見せたことのない様相で、 その顔の左頬から左目の周囲には黒々しい紋様のタトゥーが刻まれており、 まるで邪悪な者を思わせるような魔人のような顔だった、とはいっても、彼女はそもそも幻獣なのだが。 そして、その左目は毒々しいほどの真っ赤な目をしており、その瞳を見開くと、魔物の右のツノがはじけ飛んだ!
 そして、それと同時にカスミの髪の毛は急に勝手にうねり始めた。 それと同時にカスミの腕が2本から4本、そして、6本に増え、それぞれの腕はそれぞれ刀を持っていた。 だが、そのうちの2本の刀は、片方が異様に長く、もう片方は――
「私の名は剣姫・霞、今からお前を確実に殺す、覚悟しなさい――」
 カスミは3本の右腕を魔物に向かって突き出しながらそう言った。 そこへ魔物はカスミめがけて激しく突進! そして殴り倒そうと大きく腕を振りかぶってきた!
「無駄よ、その程度で私を倒すのは不可能。喰らいなさい――」
 すると、カスミは再びその瞳を見開いた!  その目はまさに邪眼の目、緋色に染まっており、そして中央部は独特の怪しげな紋様をしており、 その瞳から発せられる破壊の衝動により、魔物はもう片方の角はばらばらとなり、 そして身体はそのまま固まってしまった!
「さよなら」
 最後に、カスミは剣を構えなおし、魔物めがけて突進、そして、そのまま魔物を切り抜いた。 すると、魔物は絶命した――
「お前の力ではこの私の技には勝てない、リリアお姉ちゃんの技にも――」
 2本の刀はやはりリリアリスが作った大業物、 剣神”天地二分”と”風精かまいたち”だったのである。
 すると、カスミは自分が倒した魔物が朽ち果てているそのわきに目をやると、 そこには燃料が漏れだしていた光景が。
「危ない――引火しなくてよかった、先急ぐ」
 カスミは足早にその場を立ち去っていた。