エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第7章 アポカリプス

第218節 ガンナー

 リリアリスは武器格納庫の中をくまなく探し回った。
「何を探しているの?」
 フィリスが訊くとリリアリスは答えた。
「人数人分ぐらいはありそうな銃器よ! あれを使って撃ち落とすのよ!」
 それに対してフロレンティーナが答えた。
「人何人分ぐらいあるのかはわからないけれども、ここに来る途中にそんなものをちらっと見かけた気がするわね!」
 そう言うと、フロレンティーナはリリアリスたちをそこに誘導した。すると――
「これは10数人ってところか――」
 と、スレアは言った、確かに、それぐらいは大きい砲台が2台設置されていた。 発射口は大型の口径で、反対側には人が乗るようなイスが付いており、操作パネルが備え付けられていた。
「でも、砲台のこの角度じゃあ、あんなに高くは飛ばせないんじゃないかな?  第一、それ以前にまずはこれを外に持ち出さないと――」
 ティレックスがそういうと、フィリスはそれを持ち上げて言った。
「だったら、外に持ち出すのを手伝って! 角度も私が調節するから!」
 それにはティレックスもスレアも非常に驚いていた。
「ほら、2人とも驚いてないで、力仕事よ、手伝って頂戴!」
 リリアリスも手をかけると、フィリスとリリアリスの間に男2人がそれぞれ入って手をかけた。
「あのさ――」
 スレアがそう言うと、フィリスは言った。
「説明は後でいいよね?」
「ええ、最悪、一生しなくても問題ないわよ。」
 リリアリスはそう言って話を切った、説明しないとか――2人はそう思った。

 そして、その場にフィリスが戻ってくると、今度は男2人とディアナが一緒だった。
「あっ、みなさん、無事だったのですね!」
 アリエーラはそう言うと、3人は軽く相槌を打った。
「で、これを運べばいいんだな?」
 クラフォードがそういうと、その砲台に手をかけた。
「まったく、この女、どうなっているんだか」
「まあまあ、今は言っている場合ではありません、言う通りにしましょうよ!」
 イールアーズがもんくを言うとディアナはそれをたしなめていた。
 そして、2つ目の砲台も外へと運び出されていた。

 12人は一堂に会し、2台の砲台を取り囲むように佇んでいた。
「おい、角度合わせるって、特に何もしていない気がするんだけど、いいのか?」
 スレアがそういうと、フィリスは砲台の前側を持ち上げて言った。
「これでもんくある?」
 スレアは「ありません」と即答すると、フィリスは砲台をその場に降ろした。だがしかし――
「でも、それで片方は良しとして、もう片方はどーすんだよ」
 イールアーズの質問についてはアリエーラが答えた。
「こういうのはどうでしょうか?」
 すると、アリエーラは腕を前にかざし、そこから強力な魔力が放出されると、砲台は宙に浮いた。
「ということですので、砲台の固定についてはみなさんにお任せしてもよろしいでしょうか?」
 イールアーズは何も言わずに引き下がった。 しかし、今度は、クラフォードから質問が飛んできた。
「なあ、さっき、ミサイルを撃っても効果がないって言っていた気がするんだが、これだと同じことなんじゃ?」
 すると、それに対してはリリアリスが解答した。
「まあ、同じかどうかは実際に見てみると早いよ。というわけだからフィリス、さっそくお願いしていい?」
「ええ、さっさと始めましょ――」
 すると、フィリスは再び砲台を持ち上げると、 リリアリスは発射口の反対側のイスに座り、操作パネルを操作し始めた。すると――
「ファイヤー!」
 リリアリスの掛け声と同時に、砲台から魔法が次々と放たれた!
「魔法弾か!」
 それに対してフィリスから苦言が。
「感心してるぐらいなら手伝えよ、 いくらこういう能力があるって言っても1人より2人で支えた方が楽だしさ」
 そう言われたクラフォード、慌ててフィリスの隣に来て砲台を支えていた。
「なるほど、そういうことですね。 だったら私たちも、早いところあの形を作りましょう!」
 ディアナはそう言うと、アリエーラは再び砲台を浮き上がらせた。 そして、ディアナとイールアーズの2人で砲台の発射口を上空に向けるようにした。 そこで気が付いたイールアーズ――
「おい、ちょっと待て、形を作ったまではいいんだが、ガンナーはどうするんだ?  あんたの魔法でそのまま打ち出すのか?」
 それに対してアリエーラは答えた。
「一応、打ち出せなくもないですが、 砲台を浮かせるのとパワーを送って砲台用の弾として充填させているのとで、 ここからさらに打ち出すとなるとちょっと大変です、誰か、お手伝いいただけると――」
 すると、フラウディアが即反応した。
「ガンナーと言えばお姉様の出番ですね!」
「ええ、銃器の扱いだったら私に任せなさいよ。さて、ここに座ればいいのかしら?」
 フロレンティーナは得意げに操作パネルのところに座った、 そして、その下には人が二人担ぎ上げている光景――まさにフロレンティーナは女王様気分だった。
「弾頭は私がじゃんじゃん作り出していますので、思う存分撃っちゃってください!」
 アリエーラは集中しながらそう言うと、フロレンティーナは得意げに答えた。
「ええ、任せてよ。さーて、オイタをしようとするイケナイ子たちは、この私が墜としてあげるわよん♥」
 そして、2台の重火器は上空の魔物を狙って火を噴いたのである。
「な、なあ、俺たちも何かして手伝おうぜ――」
「え、ええ、そうですね――」
「そうだね、眺めているだけってわけにはいかないからね――」
「じゃあ、俺、フィリスさんのところ手伝う」
「私リリアお姉ちゃんに魔力送る」
 スレア、フラウディア、ユーシェリア、ティレックス、カスミの5人はそれぞれそう言いつつ、事に当たることにした。