一方でリリアリスたち、艦橋までやってくると、そこにいた帝国兵たちを一蹴していた。
「いないようですね、司令官に相当する人物は――」
ディアナがそう言うと、リリアリスは剣……”兵器”を降ろしながら言った。
「いるとしたら多分エナジー・ルーム的なところね、アリと対峙しているような感じがする――」
えっ、そんな! それなら彼女を助けに行かないと!
ディアナはそう言うとリリアリスは答えた。だが――
「アリなら平気よ、たとえどんな手練れが相手だとしても、アリには敵いっこないからそこは安心していい。
それよりも――なんだかひどく嫌な予感がするの――」
リリアリスはなんだか不安そうな表情で窓から南西方向の海、
セラフィック・ランド方面の海をじっと眺めつつ、再び電話をしていた。
アリエーラたちは何とか格下の帝国兵たちを退けると、武人風の男は不敵な笑みを浮かべながら言った。
「素晴らしい! 流石はクラウディアスの精鋭たち、我が配下を退けるとは!
やはりお前たちは我らが敵に相応しい存在よ!」
そう言いながら、その場を立ち去り、奥の部屋へと進んでいった。
「なっ、なんだ!?」
ティレックスは剣を構えつつ、相手のその態度に対して困惑していた。
「いずれにせよ、このままあの男を放っておくわけにはいきません、とにかく、追いましょう!」
アリエーラがそう言うと2人は頷き、男を追った。
「あっ、ガルフォード!」
フラウディアたちはそいつとばったり遭遇することになった。
「おや、これはこれはベイダ・シスターズのお二方お揃いで、今更どのような用でしょうか?
もっとも、これでも私は非常に忙しい身なのでね、これで失礼するよ!」
男はやはりガルフォードだった。
そいつはそう言うと3人を適当にあしらいつつ、その場からすぐさま逃げていった。
「あっ、待ちなさい!」
フロレンティーナはそう叫びながら追いかけようとすると、今度はアリエーラたちと遭遇した。
「アリ!」
「みなさん! こっちに偉そうな人が逃げてきませんでしたか?」
「そいつがガルフォードよ! さあ、追うわよ!」
フロレンティーナを筆頭に、6人はガルフォードを追った。
そして――とある部屋、恐らく武器の格納庫だろうか、そこまで追い詰めた。
「ガルフォード、逃げられないわよ」
フロレンティーナはそう言うと、ガルフォードは笑いながら言った。
「違う、私が逃げてきたのではない。お前たちがこの部屋におびき寄せられただけだ!」
すると、ガルフォードの様相が急に変化した!
そう、いつぞやのエリューネル同様、もはや魔物と思しき姿へと変貌したのだった――
「なっ、なんだこいつは!」
ティレックスは驚きながらそう言った。
「うそっ、まさか、そんな――」
フロレンティーナも驚いていた。
「彼も、そうなのですか――」
フラウディアは悲しそうにそう言った。
「やっぱり本土軍って――」
ユーシェリアもほぼ言葉を失いかけていた。
「こんな外道を相手してるんだもんな、たまったもんじゃない」
スレアは憤慨していた。
「ええ、いずれにしてもただのモンスターです、そうとあればただ倒すのみです!」
アリエーラは勇ましい様相で”兵器”を構えなおしていた。
「フン! この私に勝とうという気のようだがどこまでやれるのか見ものダナ!」
そう言いながらガルフォードは、その部屋に置いてあった重機の大型ドリルを二刀流して構えた。
「冥途の土産に教えてやろウ! あのオカマ野郎はこの俺が殺しタ!
流石は帝国の立役者、この俺のためによくやってくれタ! 晴れてこの俺こそがディスタードの真の支配者となったのダ!
そして、クラウディアスも間もなくこの俺のものとなル! 世界は俺のものとなるのダ!」
なんと、本土軍の将ベイダ・ゲナは既にこいつによって――
「やっぱり、そうなのね――」
フロレンティーナはそう呟いていた。
「雑魚ほど吠えたがる! まさにあなたのことです!」
アリエーラは鋭い視線ではっきりとそう言い切った。彼女のイメージはそぐわないセリフだった。
イメージにそぐわないことを平気で言うのはお馴染みだが、
明らかにどっかの誰かさんの影響を受けてることについては言うまでもない。
一方で、フィリスとクラフォードはリリアリスたちと合流していた。
イールアーズは? まあ、言うまでもないだろう、大体、想像可能な通りである。
他方、カスミはイスに座り、刀をじっと眺めながら手入れをしていた。
リリアリスは依然として南西の海をじっと眺めているが、
ディアナはそんなリリアリスを心配そうに見ていた。
そして、クラフォードはリリアリスに話しかけた。
「なあ、ベイダ・ゲナがいないってさっき聞いたんだけど、どういうことだ?
本土軍の将はこの船に乗っているんじゃあなかったのか?」
しかし、リリアリスからは返答がなかった。代わりにディアナが答えた。
「クラフォードさん、この船には確かに、本土軍の将が乗っています。
ですが、それはベイダ・ゲナではありません――」