メンバー編成は確定したが、1名だけどうしても気に入らないと宣言している人が。
「なんで俺がお前らと一緒なんだよ! なんでディルフォードのやつのところだけ2人なんだよ!」
イールアーズだ。彼に対し、クラフォードとフィリスは話をした。
「2人って言うんじゃない。確かに見た目的には考えるところだが、
あれでも一応ソード・マスター様で、クラウディアスを支える重鎮様の一人なんだからな。
そんなのに比べたらお前は、ただ戦いには興味あるがそれ以外ではどうでもいいってやつで、
あの娘以下であることは言うまでもないだろうな」
「そーゆーこと。言っとくけど、足手まといになるんだったら即置いていくからな」
そう言われたイールアーズに火が付いた。
「アホ、誰が足手まといだって言うんだ? お前らこそ、足手まといにならないようにせいぜい頑張るんだな」
火が点いた途端に機嫌を直した……実に単純である。
「あいつ子供か? マジで奇跡の問題児かよ、バッカじゃないの?」
フィリスがそう言うとクラフォードがなだめるように言った。
というか、フィリスの様子もどことなくおかしいことをすぐさま察したのである。
「まあまあまあ、でも、子供と似たようなもんだな」
さらにフィリスはクラフォードに向けて言った。
「ついでに言っとくけど、あんたもどっかの王様みたく、私に”さん”つけなくていいから。
なんかしっくりこないから”フィリス”でいいよ」
「わ、わかった――」
クラフォードは少々狼狽えながらそう言った。
どっかの王様――先代のクラウディアス王のことか。
「アリエーラお姉様♪」
ユーシェリアは嬉しそうにアリエーラにしがみついた。
「ユーシェリアさんってば、嬉しそうですね!」
「そりゃそうですよ、だって、お姉様とティレックスと一緒にいられるんだもん、嬉しいに決まってるじゃないですか♪」
ティレックスが苦言を呈した。
「そんなに燥ぐと見つかるぞ」
それに対してアリエーラがすぐさま反応した。
「あっ、確かにそうですね、すみません、少々お待ちください――」
アリエーラは手早く”ミスト・スクリーン”を展開し、3人の姿をくらました。
「すごいすごいすごーい! やっぱりお姉様の力ってすごーい!」
ユーシェリアはなおも興奮した。すると再びティレックス――
「いくら隠れてるって言っても、そんなに燥いでもいいってことじゃないだろ!」
そこへアリエーラが。
「あら、いいじゃあないですか、ティレックスさんだってユーシェリアさんが元気な方がいいのではないですか?」
そっ、それは――確かに、ティレックスとしてもそれは異論がなかった、これまでのユーシェリアのことから考えても、
元気な姿でいてくれる方がティレックスとしては安心できるというもの、だから――
「ティレックス、改めてよろしくね♪」
ユーシェリアはティレックスの腕にがっちりしがみつきながらそう言うと、ティレックスは態度を改めて言った。
「わかったよユーシィ。くれぐれも無茶をするんじゃないぞ」
確かに、これまでユーシェリアのことは心配していたティレックス、
少々開き直り気味にそう言うと、ユーシェリアは嬉しそうにしていた。
「はーい♪」
そんな2人を見守っているアリエーラはにっこりとしていたが、その顔はなんだか青ざめていた――
「お姉様?」
ユーシェリアはアリエーラの顔色が悪いことに気が付いた。それに対してティレックスも訊いた。
「す、すみません、返って心配させているようですね。
ともかく、この戦いで最後にしましょう、そしたらみんなでゆっくりと休みましょうね――」
アリエーラはなんとか元気に振舞ってそう言った、本当に大丈夫だろうか、2人の心配は尽きない。
こちらも”ミスト・スクリーン”展開済みのメンバーだった。
「やれやれ、まさか私がこんな素敵なカップルの仲人になるなんて、嬉しいわね。
でも、お熱いところを見せつけるのは別の機会にしてくれると助かるわね――」
フロレンティーナはそう皮肉を言うと、フラウディアは少し照れた感じで嬉しそうに「はーい♪」と返事した。
一方でスレアのほうはひどく照れていた。
「ま、まあ、それはいいから、早いところ、ミサイルの格納庫らしい場所だけでも確認しておこうか――」
スレアは焦りながらそう言うと、フロレンティーナが言った。
「ちょっ、ちょっと待って、なんだか妙に疲れちゃったわ、だからゆっくり行ってくれない?」
それに対してスレアは驚いていた。
「えっ、フローラさんも?」
”も”ってなんだろうか、フロレンティーナはそう訊くと、フラウディアが答えた。
「私も、フェラントに行く前にスレアさんに言いました、あの時は少し気分が悪くて――」
そうなの? するとフロレンティーナは話した。
「気分か――言われてみれば、ここ最近、私も気分があまりよくないっていうか、
昨日なんかはそれこそ嘔吐しちゃっているからね。
リリアもアリも倒れたり、機嫌が悪かったりしていたけど、私も大体似たような感じよ。スレアは大丈夫なの?」
それに対してスレアは頷いた。
「マジか、みんなもそうなのか。確かに俺もここ数日食欲があまりなくてな。
それに寝起きも最悪で、1時間弱ぐらいはとにかく最低な気分だ。一体、何がどうなっているのやら――」
そして、残りの3人は――
「私を選んでくださって光栄です、リリアリス姉様!」
「リリアリス姉様、憧れの姉様。私の鑑、至高の存在」
ディアナとカスミはそれぞれそう言うとリリアリスは答えた。
「まったく、カスミんったら、相変わらず褒め方がお上手なのね。
それに――あなたにまで姉様って言われると照れるわね。
それにしても一つ聞きたいんだけど、あんたいつまでその姿をしてるの?」
ディアナはにっこりとしながら答えた。
「だって、本土軍の将のベイダ・ゲナは女嫌いで有名ではないですか?
でしたら、その女にやられたという屈辱を味合わせてみるというのが面白いのかと思いましてね!」
リリアリスはニヤッとしながら答えた。
「まったく、以前の万人斬りと呼ばれたあんたが――そんなこと、どこで覚えてきたのかしら?」
「ええ、目の前にいる方から教わったことですよ?」
するとリリアリス、おもむろにディアナの目の前まで近づきつつ、話をした。
「なーんかあんたってさ、本当にあのディア様だったっけ?
こう見ていると全然そうは思わないんだけど。せっかくだからもうちょっと改良してみようかな?」
え? え? 改良って何!? ディアナは焦っていた。
「実は、エレイアからもうちょっとディア様の素材能力を活かすべく、
素敵なお姉さん仕様にできないかって言われたのよね。
それでせっかくだからやってみようかなと思ってさ。」
ディアナは焦っていた、確かに、エレイアもそんなふうなことをちらっと言っていた気がする。
「えっ、今やるのですか?」
「当たり前でしょ?
女嫌いのベイダを徹底的にやっつけるんだったら、それこそまさしくって感じのほうが屈辱度も高いと思うでしょ?
他に誰もいないことだし、こんな絶好のタイミングはなかなかないと思わない?
さあ考えてごらんなさい、いつやるの? 今でしょ!」
そこまで言われると――ディアナは渋々改良されることになった。
「今やるすぐやるさっさとやる。俺の妹がこんなに可愛いわけがある」
カスミは両手をばたばたさせながらぴょんぴょん飛び跳ねていた。
身長とは裏腹に、ディアナはカスミの妹分になりそうである。