エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第7章 アポカリプス

第200節 情報戦略

 さらにそれから数日後、リリアリスがフィールド・システム・ルームの真ん中に腰を据えて見守っていた。
「おや? いつの間に? ガレアにいたんじゃなかったっけ?」
 ティレックスがそう言うと、リリアリスと一緒にいたユーシェリアが答えた。
「ガレアから来たんだよ。ヒュウガさん、解析に時間がかかるみたいでお姉様と一緒に来ちゃった♪  リファリウスお兄様はお姉様と入れ替わりでガレアにお帰りになりました~♪」
 すると、ティレックスの真後ろから例のお姉さんが――
「やっほーティレックスくん! 元気してた~?」
 それは、ウィーニアだった、彼女はティレックスのことを脅かしていた。
「わわわ! っと、ウィーニアさん、脅かさないでくださいよ――」
「なんで? 脅かすつもりで言ったんだけどなー♪」
 それに対してティレックスは「はあ!?」というと、席に座っているリリアリスは大笑いしていた。
「なっ、なんだよ、もう――」
 ティレックスとしては勘弁してもらいたい状況だった。
「さてと、それはそうと、ヒー様は難航しているみたいね。」
 ウィーニアは答えた。
「かなり面倒な暗号化が施されていたみたい。お姉様はどう思います?」
 リリアリスは答えた。
「ええ、私も前々からデータに着手しているんだけど、 酷く面倒な感じね、複数の互換性の異なるシステムを使って暗号化されているから、 それぞれのシステムで復元していかないとダメみたいね。」
 さらにリリアリスは言った。
「そこまでして保存しているデータって実用していないハズだから、何か裏がありそうなのよね。 つまり、復元する行為そのものに意味はないってこと、ヒー様もそう考えていたけど、 だからと言ってなんなのかがわからないのが困りものなのよね――」
 ウィーニアは頷いた。
「それでヒー様は難航してたのね、特別何も言わないからどうしたのだろうと思って――」
「実用していないということは、ただただ保管用だけのデータってことも考えられるけれども――」
 ユーシェリアはそう言うと、ウィーニアが言った。
「保管用にしてもわざわざそこまでやるかってところね。 それこそ、闇の中に葬り去りたいような情報だったらまさに実用しているとも考えにくいし、 そもそもそんな、闇に葬り去りたいようなデータなら取っとくぐらいなら削除したって――」
「でも、今聞いた通りの内容通りなら、データが残っていた端末って保存用のスタンドアロン端末なんだろ?  うちのところにもそう言う端末は1個2個あるけれど、別にゴミデータぐらい普通に残っていそうなもんだが――」
 ティレックスはそう口をはさむと、リリアリスが言った。
「あんたたち、今いいことを言ったわね、その方法があったことをすっかり忘れてたわ。 確かにゴミデータ、調べてみる価値がありそうね!」
 その場にいたもの全員が首をかしげていた。

「確かに、回収した端末はOS互換性が数多く存在しているタイプの端末だ。 もちろん、うちにもクラウディアスにもあるやつだ。それがどうかしたか?」
 モニタに映ったヒュウガがそう言うと、リリアリスは答えた。
「いいこと思いついたから、今メールを送った関係各所に、 言った通りにそれぞれことに当たって頂戴ってことよ。」
 ヒュウガはメールを確認すると、ため息をつきながら答えた。
「……もちろんいいが、あんまり凝った仕様にするんじゃないぞ、 敵はいつまでも同じ状態をずっと維持しているわけじゃあないんだからな」
「ええ、今回はしない、後でまた再コンパイルする際に作り直すだけだから。」
 すると、ヒュウガは「やっぱり――」と呟いていた。
「何よ、当たり前でしょ? なんかもんくある?」
「決してそのようなことはございません」

 その後、アリエーラが部屋にやってきた。
「特定のモジュールをクラウドに入れておきました、これでどうです?」
「ええ、ありがとう。あんまり向いていないことさせてごめんね。」
「そんなことはありません! リリアさんの知識を分けていただいて、 私、すごく楽しいです! 私にもこんなことができるだなんて!」
 さらに――
「リリアさん、言われた通りのモジュールをそろえておきました!  クラウドに入れといたので確認をお願いしまーす♪」
 ウィーニアがそう言うとリリアリスは答えた。
「流石は仕事が早いわね。そしたら後はユーシィとヒー様が――」
 さらにフロレンティーナがやってきた。
「動作確認用のPcを組み立てといたわよ、何か足りなかったら言って!」
 リリアリスは反応した。
「ソフトもいいけど、ハードに強い女子ってのも面白いわね。ヒー様、負けてらんないよ?」
 モニタ越しにヒュウガは答えた。
「じゃあ、そしたら今後は俺に頼む必要もなくなってくるな、それは助かる」
「なーに言ってんのよ、ヒー様にはもうちょっと頑張ってもらわないといけないのよ、抜け駆けは許さないからね。」
 ヒュウガはそれに対して「へいへい」と言ってさらっと流しつつ、話をした。
「それはそうと、俺のも今しがたクラウドに入れておいたぞ、いけるか?」
 リリアリスは頷いた。
「ええ、私の分も完成したからとりあえず、組み立てて結合試験するだけね。とりあえずちょっと待ってて。」
 何が始まるのだろうか。