エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第192節 レイリアとディアナ

 レイリアたちはそのまま残りのシステム・Dとその母体となるマザーを残らず始末し、 そしてクラフォードらと合流した。
「訊きたいことがいくつかあるんだが」
 クラフォードはレイリアに訊いた。
「まずはあんたのお得意の得物について。何故最初から使わない?」
 レイリアは丁寧に答えた。
「最初から使うのは負けかなと思いまして。 考えてもみてください、あれはわりと特殊なものです、他で使っているのも見たことがありません、 だから、この戦いをしている間は使用を最小限にしておこうかと思いまして。」
 確かに、目立ちすぎるのも少し考えものか、 そういう意味では確かに、アール将軍やリファリウスという存在がいるだけでも目立つということになりそうだ、 目立つことで作戦の続行が危ぶまれるというのなら、それならそれで納得がいきそうである。
 さらにもう一つの質問はもちろん――
「で、いつまでその姿でいるんだ?」
 レイリアは答えた。
「うふふっ、クラフォード様ったら、照れていらっしゃるのですね?  いいのですよ、このレイリア、クラフォード様のためでしたら――」
 そう言われたクラフォードは頭を抱えていた。
「もういい、訊いた俺が悪かった――」
 そして、前日は茶化していた男性陣、特にイールアーズは我関せずといった表情をしたまま、 とばっちりを受けないようにとそのまま黙っていることにした。
「うふふっ、ディア様も、後でたくさんお話いたしましょうね♪」
 それに対し、ディスティアは驚きながら反応していた。

 そして、伸びていたエクスフォスを回収しつつ、クラウディアス軍とも合流、 すると、シャナンはレイリアに対して言った。
「リファリウスさん! 大変です、ガレア側に動きがあったようです!」
 それに対してレイリアはさらに訊きながら、自分のスマートフォン端末を確認していた。
「圏外――迂闊でしたね、まったく気が付きませんでした。とにかく、何があったのでしょう?」
 すると、シャナンは本土軍から奪取した輸送車へと促した。

 そのまま船に乗り、ガレアへと向かっていた一行、 なんと、例の場所に居座っていたはずの本土軍の船がいなくなっていたのである。
「クラウディアスに向かっているというの?」
 レイリアがそう訊くと、シャナンが答えた。
「あなたからの指示がないので、予定通りアリエーラさんの言う通りに事を進めている状況です。 現状は何があってもクラウディアスのフィールド・システムで持ちこたえられるハズですからそれに頼ることにしていますが、 それがいつまで持ちこたえられることでしょうか――」
 すると、シャナンは兵士から何か知らせを受けていた。
「わかりました、ありがとうございます。 みなさん、その問題の船ですが、クラウディアスの東沖から姿を消し、南側へと回っているそうです!」
 えっ、どういうことだ!? 何人かはそれに対して驚いていた。
「まさか――本当に帝国軍支持勢力がいるのでしょうか?」
 レイリアは出し抜けにそういうと、ガレアに全速力で向かうように言った。

 そして、そのままレイリアたちはガレアの港の船のドッグへと向かった。 そこには”マダム・ダルジャン”があり、レイリアはその船の操舵室に、一行もそこへ急いだ。
「勝手に使っていいのか?」
 ティレックスが聞くとレイリアは答えた。
「許可は得ています――というよりも一刻の猶予もないので、最もスピードの出るこの船で出ろというお話です。」
 そして、出港してからしばらくして――
「何でもいいんだが、いつまでその姿でいるつもりなんだ?」
 スレアはレイリアに聞いた。 ようやく、リファリウスとレイリアとの顔が一致した一行だった。 というのも、こいつの使うこの変装術というのは、 簡単にいうと”不思議な力”によって本人の顔とは一致させないような仕組みが含まれているようで、 前まではそれを利用していたため、どうしても一致しなかった。 しかし、今はそれを解除しているようで、誰が見てもリファリウスの顔でしかないのである。
 すると彼女は……でいいか、答えた。
「うふふっ、だって、似合っていますでしょう?」
 残念ながら、それを否定できる要素がなかった。 顔つきは男だろうと女だろうと通じるような形で、声色も違和感なし、 体格も既に実証されているように女装されたら見分けのつかない体格のため、とにかく似合いすぎているのである。
「似合っているのは否定しないが――俺としてはあんたは男でもないし女でもない、別の何かって感じがするよ」
 ティレックスがそういうと、ディスティアが言った。
「男でもない女でもない別の何か――確かにそんな感じですね。 私もその服装は似合っていると思いますけど、以前にもこういうことってありましたね、 あの時は短いスカートで美脚を披露されていたハズです。 不思議なもので、あの時は頭ではわかっていても、 それでも気が付けばあなたのことを女性だと思って接していましたね――」
 それに対してイールアーズは苦言を呈した。
「はぁ? 短いスカートぉ?  男がそんなもの身に着けて女に見えるとか、ディルフォード、お前もついに耄碌したようだな」
 それに対してディルフォードはレイリアに言った。
「だそうですよ、どうします?」
 するとレイリア、下半身を可愛らしいフレアーな短いスカートにすぐさま切り替えて言った。
「イールアーズ様はスケベですから見てみたかったのでしょう、 まあ、男性の方ですからね、それはそれで仕方がないことなのでしょう」
 クラフォードとイールアーズ、そしてスレアとティレックスは内心非常に焦っていた、 短いスカートの下から二本の綺麗な綺麗な御御足が――完全に動揺していた。
 さらにレイリアは楽しそうにディスティアに言った。
「せっかくですから、御覧にいれたらどうです? ちなみに、私としても結構お気に入りですよ?」
 ディスティアは頷いた。
「そういえば、まだ披露したことはありませんでしたね、この際ですから今のうちに御覧に入れましょう――」
 すると、ディスティアは突然、その場で姿を変えた!  その姿は何と、可愛らしいケープに赤色のひざ丈ぐらいの短めのスカート姿をした美女の姿だった。
 それにはクラフォードとイールアーズとスレアとティレックスは非常に驚いていた。 その一方で、フラウディアとフロレンティーナとカスミはそのディスティアの姿、”ディアナ様”の姿を見て沸いていた。
「すごい! これが変装術の力なのですね!」
「ディア様自身もポテンシャルいいし、つまり、ポテンシャルを生かした結果がこの姿――いいわね、 本当に流石というべきかなんというか、案外こういう男もありよね!」
 一方でカスミはその場で何度もピョンピョン飛んでいた。 その様な状況にディアナは照れつつも、話をした。
「せっかくの機会ですから、しばらくはこの姿でいることにしましょうか。 そういえばお聞きしたいのですが、これはどこに向かっているのです?」
 声はハスキートーンだが、女性声としてもさほど違和感はなかった。それはともかく、レイリアは答えた。
「敵の船はフェラントから南に向かっているということですのでフェラントに向かっています、 要するに、とりあえずクラウディアスに戻ることを考えています。 この調子だとあと2時間半で着くと思いますから、それまでの間、ゆっくりとしていましょうか。」