エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第189節 抜刀

 一方で、フロレンティーナたちのほうはシステム・Tを討伐していた。
「殴るよりも魔法のほうが効果的だったのか、確かに、苦労するわけだ――」
 クラフォードは頭を抱えながらそう言った。 クラフォードもディスティアもイールアーズもどちらかといえば武器での攻撃が中心、盲点だったようだ。
 一方で、カスミもフロレンティーナも武器に魔法の力を付与して攻撃することが得意なため、 システム・Tを殲滅するまでの力にさほど時間はかからなかった。
「そんなことよりも、システム・Tを探すわよ。 3体いるってことは、もう2体どこかに潜んでいるハズ、 もっとも、すでにレイリアに倒されているかもしれないけれども――」
 すると、周りを確認してきたカスミが戻ってきて言った。
「あっち、システム・Tみたいなのいる、すでに死んでる」
 それに対し、一同は慌ててそっちのほうへと向かった。
「これは確かにシステム・T、しかも吸収する前に撃破されたみたいね――」
 フロレンティーナがそう言うとディスティアはその死骸を見ながら気が付いた。
「この攻撃はもしや!?  フロレンティーナさん、レイリアさんとティレックスさんはこれを倒すのにこっちに来ていたって言ってましたよね?」
 フロレンティーナは頷きつつ、それがどうしたのかと聞き返した。
「もしかして、やっぱりそういうことですか?」
 それに対して答えたのがクラフォードだった。
「ああ、つまりそういうことだ。」
「お前、知っていたのかよ、なんで言わなかったんだ?」
 イールアーズはクラフォードに尋問してきた。すると、クラフォードは言い返した。
「テメーが茶化してきたからだろ、だから頭にきて言うのをやめたんだ」
 あの時の――先日、ヒュウガがエナジー・ストーンを解析した後のやり取りのことか、 ディスティアはその時のことを思い出した。
「ったく、子供じゃないんだから、そういう大事なことは早めに言ってほしいもんだ」
 イールアーズは呆れたようにそういうと、クラフォードは言い返した。
「いや、それはむしろ逆だ。 あえて”ああいうふう”にいるのは”あいつ”のことだからあえてやっていることなんだろう。 で、あえて”ああいうふう”にいるのも何か狙いがあってやっているのだろう、 ”ああいうふう”にいるってのは往々にしてそういう狙いがあるわけだからな」
 それに対してディスティアは妙に納得しながら言った。
「それにしても、よくできていますよね。 流石というべきか、何というべきか――全然わかりませんでした」
 クラフォードは言った。
「俺も教えてもらうまでは全然わからなかったからな。 でも、あれのおかげであのキラルディアが重い腰を上げることになったんだ、大したもんだと思うな」
 何の話かどうかはさておき、いよいよその真実が明かされる時が来たようである。

 レイリアは果敢にシステム・Tに立ち向かっていた。 しかし、彼女の剣ではシステム・Tの強靭なボディーにかすり傷一つ負わせることができなかった。
「くっ、非常に硬いですね、このままでは倒せそうも――」
 するとその時、システム・Tは振りかぶり、レイリアにきつい一撃を与えた!
「うっ!?」
 レイリアは弾き飛ばされた!
「レイリアさん!」
「お姉様!」
「おぉい、大丈夫か!? 手を貸してやろうか!?」
 ティレックス、フラウディア、そしてスレアはそれぞれ心配そうにそう叫んでいた。 するとレイリアはすぐさま起き上がりながら答えた。
「心配には及びません、とっさにバリアを張ったので直撃は免れました。 ですが――思いのほか危険ですね――」
 レイリアは今度は槍を手に取り、相手の装甲を貫く一撃を放った!
「あれはアーマー・ブレイクか。 さっきまで魔法を多用していたのに、今度は直接攻撃ばかりだな」
 そういうスレアに対しフラウディアは頷いた。
「リマスター版は魔法にも強い耐性を持っているみたいです、そのせいでしょう。 いずれにせよ、どこかで突破口を見つけないことには―― それこそ、”あれ”を使えば早いと思うのですが、あえて使いたくないみたいですね――」
 あれとは何だろうか、それを気にしていると、再びレイリアにきつい一撃が!
「レイリアさん!」
 レイリアは再び弾き飛ばされていた! そして、そこへシステム・Tが急接近、彼女に対して再び強烈な一撃!
「うわっ!」
 レイリアはさらにぶっ飛ばされた。だが、そこへ再びシステム・Tが――
「お姉様、危ない!」
 フラウディアがそういうと、レイリアはとっさに剣を構え、敵の攻撃を受け流そうとしていた、しかし――
「いやぁっ!」
 なんと、その剣は砕け散り、システム・Tの右ストレートがそのままレイリアの顔にクリーンヒット!  レイリアは完全にダウンしてしまった――
「レイリアさん!」
 ティレックスはそう叫びながら訴えていた。彼女はピクリとも動かない――
 すると、今度はその3人のほうに向かってシステム・Tはゆっくりと動き始めた。
「やばい、来るぞ――」
 スレアがそういうと、3人はシステム・Tに対して抜刀、構えた。しかし、その時――
「女性の顔を殴りつけるだなんて、今のはあんまりですね。 そういうことを平気でするのなら流石に私も容赦しませんよ?」
 と、なんと、レイリアは自分の身を宙に浮かせつつ、その場に立ち上がった。
「お姉様!」
 フラウディアが心配そうにそう言うと、レイリアは何と、右手に例のアレをどこからともなく出現させた!
「えっ!? あれってまさか!? ってことはまさかレイリアさんって――」
 ティレックスは驚きながらそう言い、スレアは悩みながら言った。
「まさかとは思ったが、やっぱりそういうことだったのか、どおりで――」
 そして、フラウディアはレイリアの表情を見ながら恐る恐る言った。
「お姉様、怒ってますね……。 あの人の顔に攻撃を与えようものなら、相当怒ると思います――」