エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第188節 完全版

 そして4人は、一番遅れて走り始めたはずのカスミがいち早く現場へと到着、 それに続いて3人も着いた。
 そこには、フロレンティーナと凶暴化したシステムとが一戦交えている光景だった。
「まさか、これがシステム・Tというものですか!?」
 ディスティアがそういうとフロレンティーナはシステム・Tの攻撃を払いのけてから言った。
「そうみたいね、まさか、こんなんなるとは思ってもみなかったけれども、 システム・Dを吸収しながら強くなっていくようね。 私の知っている限りだと、こいつは既に4体のシステム・Dを吸収しているわ。 行動パターン的には、吸収していない数が少ないほど吸収したがる傾向にあるって感じかしら、 今は吸収することよりも私を攻撃することに集中しているみたい、 もっとも、周りにシステム・Dがあまりいなくなっているからってことも考えられるけれども――」
 4体も吸収したシステム・T、これまで人型を成していたハズのその姿もなく、ただのモンスターだった。
「厄介なモンスターを作るんだな、帝国本土軍ってのは。こんなんが世の中に出回ったらえらいことになるぞ――」
 クラフォードがそういうとフロレンティーナは言った。
「でも、こいつは吸収しすぎて動きが鈍くなっているわ。 ただ、さっきフラウディアも言ってたけど、システム・Tは3体いて、 その中でも完全リマスター版っていうのがあって、そいつだけがなんだか特別に作られているっていったてわ。 こいつがそうでないという保証はどこにもないけれども、でも、吸収した結果がこんな様子だと、どうなのかしらね――」
 すると、システム・Tはフロレンティーナのほうへと再び向かってきた。
「来るわ!」
「ともかく、こいつを早いうちに片付けてしまいましょう!」
 ディスティアがそういうと、4人は加勢した。

 そして、例の夫婦は立ち上がり、そのまま進んでいくと、レイリアとティレックスと出くわした。 フラウディアは元の姿へと戻っていた。
「あれ? どうしたんだ?」
 スレアはそう訊くと、レイリアが答えた。
「あっ、お二人とも! システム・Tを追っているんです!  あれはシステム・Dを吸収しているのですが、こちらに勝てないと判断すると動きをはじめ、 逃げ回っては捕食し、それでも勝てないとあらば再び捕食を始めるのです!」
「面倒なやつだ、かれこれ7体ほど平らげてるハズだ、あっちこっちに行くのも勘弁してほしい――」
 ティレックスがそう言うとフラウディアが言った。
「7体も!? まさか――完全リマスター版では!?」
 フラウディアが説明すると、レイリアは言った。
「つまり、一番強い個体ということですね、被害が広まらないうちに早いところ片付けてしまいましょう!」

 そして、とある部屋へとたどり着いた。そこには、システム・Tが鎮座していた。 だが、そいつは最初に変異した姿のままの状態を保っていた。
「まさか今、8体目を吸収したのか? なんだかわからんが、とんでもない気迫を感じるな――」
 スレアはビビりながらそう言うと、フラウディアも言う。
「吸収した数にもかかわらず、最初の姿とそんなに変わっていないだなんて、やっぱりこいつがリマスター版――」
 するとその時、システム・Tの右腕から鋭い衝撃波が!
「いけません!」
 それに対し、レイリアがとっさにバリアを張って4人を守った!  そして、そのバリアの前でものすごい音を立てながら衝撃波はかき消された。
「強い力だな、どちらも……。今の力をマトモに受けたら間違いなく死ぬな――」
 ティレックスは息を切らしながらそう言うと、レイリアが前に出た。
「あなた方はそこで見ていてください、こいつは私1人で倒します。 みなさんは、そこからこいつが出ないようにしっかりとガードを固めていてください――」
 それに対してティレックスとスレアが言った。
「そんな! レイリアさん1人でなんて!」
「おいおいおい、いくらなんでも無茶すぎるだろ!」
 しかし、フラウディアは冷静だった。
「2人とも、ここはお姉様にお任せしましょう。 お姉様、こちらは引き受けましたので、そいつを倒してください!」
 それに対し、レイリアは得意げな表情で返した。
「えっ、マジかよ――」
「本当に大丈夫なのかフラウディア? まったく、あの人何者なんだ――」