エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第181節 大女優現る!

 フラウディアとフロレンティーナ、そして、レイリアの3人は上層へ向かうセキュリティ・ゲートの正面突破を試みていた。
「も、もしや、ベイダ・シスターズのフラウディア様とチュリンカ様ですか!?」
 兵隊が慌てながらそう言うと、チュリンカこと、フロレンティーナが怒りながら言った。
「だから、そうだと言ってるでしょ? それと、あとレイリアよ。 とにかく、ここを通してくださらない?」
 兵隊たちは少々熱くなっているフロレンティーナをなだめるような仕草をしながら説明していた。
「も、申し訳ございません!  お話しさせていただいたように、今は厳戒態勢のため、上層への出入りができない状況となっているのです。 それもすべてはあのクラウディアスのせいでございます! クラウディアスが、すべて悪いのでございます!」
 それに対してフロレンティーナはイライラを募らせていったが、レイリアがそれを遮った。
「どうしても通れないのですね? 理由は――クラウディアスに対する厳戒態勢だからということですが―― 私たちは遠征していたのであまり状況を把握できていません。詳細をお聞かせいただけます?」
 それに対し、兵隊は困ったような態度で答えた。
「申し訳ございません、残念ですが、私共にはそれ以上の情報はありません。 とにかく、そういったことで何人たりとも通すなという上層部からのお達しなのです――」
 それに対してレイリアは「ふぅん――」と麗しい感じの様相で呟きつつ、さらに答えた。
「なるほど、それではダメそうですね、改めて出直してきますわ。 それでは失礼いたします、お仕事頑張ってくださいね!」
 レイリアはふんわりとしたいい香りを立てながら男受けしそうな感じの可愛らしい仕草でそう言い残しつつ、 フラウディアとフロレンティーナの2人を連れてその場を去っていった。
 そして、残された兵隊たちは――
「可憐だ――」
「フラウディア様にチュリンカ様、そして――」
「そして、レイリア様――」
「レイリア様――」
 3人に見惚れていた。

 3人は物陰に隠れると、フロレンティーナがレイリアに訊いた。
「あのまま誘惑魔法で特攻してもよかったんじゃない?」
 レイリアは答えた。
「ええ、まあ、それも手ですけれども、万が一ということもありますから手段を少し変えてみましょう――」
 フラウディアはワクワクしながら訊いた。
「何するんですか、レイリア姉様ー♪」
 レイリアもワクワクしながら訊いた。
「知りたいです?」
「知りたいです♪」
 2人が楽しそうにしていると、フロレンティーナも嬉しそうに言った。
「楽しそうね。でも、一体、何をする気?」

 10分後、レイリアは2人を引き連れて再びセキュリティ・ゲートの前へとやってきた。
「れ、レイリア様、またいらしたのですね――」
 兵隊たちは狼狽えたような態度でそう言った。
「まだ、通れないのですか?」
 レイリアは困ったような感じの態度で訴えるようにそう言った。
「申し訳ございません――」
 兵隊はがっかりしたような態度でそう言った。
「いつになったら通れるのです?」
「それは何とも――」
「もう、二度と通れないのですか?」
「いえ、そんなことは――」
 するとレイリア、両手で自分の顔を押さえつつ、泣き声で言った。
「お父様、お父様にはもう会えないのですね――」
 そんなレイリアに対して兵隊たちは狼狽え始めた。
「いえ、そんな、レイリア様――」
 するとレイリアは顔を上げた。彼女の目からは涙が。
「いいの! お父様とは喧嘩中、私がベイダ・シスターズとなり、そして外の国へ遠征すると分かった途端に猛反対。 それがお父様との最期、まさか、それが今生の別れになるなんて思わなかった! お父様、お元気で――」
 レイリアはどこぞの大女優張りに感情を込めてオーバーリアクション気味にそう言い放つと、 兵隊たちはかなり動揺していた。
「もう二度と会うことはかないませんが、レイリアはここからお父様のご武運をお祈りいたしております――」
 さらにレイリアは涙しながらそう祈るように言うと、兵隊たちはなおも動揺しながら言った。
「わ、わかった、わかりましたよ、特別にここをお通しいたします。 本来であれば何人たりとも通してはいけないのですが、今しがた、特別に許可がおりました。 但し、一つだけお願いがあります、今回のことはどうぞ、ご内密にお願いいたします!」
 と、兵隊は釘を刺すようにそう言うと、レイリアはにっこりとしながら「はい! ありがとうございます!」と言った。
「で、ではこちらへ――あまり目立たぬように通り抜けをお願いいたします」
 そんなやり取りに対し、レイリアの後を歩きながらフラウディアとフロレンティーナの2人は舌を巻いていた。
「レイリア姉様すごい、流石大女優――」
「まさに女の武器ね、なんだかすごいものを見た気がするわ――」