ユーシェリアの部屋――
「ティレックス、おはよう!」
ユーシェリアが元気な顔でティレックスににっこりとあいさつしていた。
「あ、ああ、おはよう――」
朝の一発目からいきなり驚いていたティレックスだった。
「昨日はわざわざ付き合ってもらってありがとう!」
ティレックスは照れながら答えた。
「まあ、最近何かとすれ違い気味だったりしているからな、
たまに顔を合わせたかと思えばそれっきりとか。
それに、今は特に忙しい時期だ、俺的にも何かしていないと落ち着かない、
ユーシィの手伝いならいつでもやってやるよ」
そう言われたユーシェリアはとても喜んでいた。
「んじゃ、ティレックスにもっといろいろと頼んじゃおっかなー♪」
「頼むのはいいんだがほどほどにしてくれよな」
「はーい♪」
一方でエクスフォスの2人、レイリアと話をしていた。
レイリアの服装は以前のフォーマルの場とは違っていたが、
それでも可愛らしいデートスタイルの服装でまとまっていて、男に受けそうな感じだった。
絶対にモテそうだが、彼女といえば――
「あの、レイリアさんってクラフォードと――」
アーシェリスは遠慮がちに言うとレイリアが気さくに答えた。
「いえいえまさかそんな、私はプリズム族、ちょっとした挨拶のようなものですわ。
そもそもクラフォード様にはウィーニアさんっていう素敵な方がいらっしゃるではないですか?
ですから、そこに私が入る余地などございません――」
そう言われると、フェリオースは考えながら言った。
「クラフォードと、ウィーニアさんが?
まあ、言われてみればそうかもしれないけれども、うーん――」
「仲の良いカップルというよりは、数年連れ添った息がぴったりと合った夫婦ってところでしょうかね、
私にはそう見えますね!」
「そう言われてみればそんな気がしないでもないが――それにしても、
レイリアさんってこの短期間によくもそういった事情を見抜けるな――」
フェリオースに言われたレイリアはどこか得意げだった。
「それはそうと、あなた方もリファリウス様より作られた剣を所持しているのですね?」
そう言われたアーシェリスはどこか照れた様子で小声で「まあな」と言った。
だが、フェリオースはアーシェリスのそれを遮りながらはっきりと答えた。
「さる人は”使えるものはとことん使え”っていうもんだから、俺らも使うことにしたワケだ」
レイリアは頷きながらさらに話をした。
「それにしても、ずいぶんと強い力を秘めた剣ではありませんか?」
レイリアもまた剣を出しながら言うと、アーシェリスは少し驚きながら訊いた。
「あれ? レイリアさんも?」
そう、レイリアが持っている剣もやはりリファリウスが改造した剣だった。
「私のは水属性の剣ですね。
私もまたリファリウス様ほどではありませんが魔法剣の使い手ですので、
水の力を増幅して使う上ではなかなか便利な武器になるわけですね――」
「えっ、レイリアさん、魔法剣士なの?」
フェリオースは驚きながらそう聞くと、レイリアは得意げに元気よく答えた。
「これでも一応魔法剣士として覚えがあります!
もっとも、私が海外との橋渡しとして外交官に抜擢されたのもそれなりの腕があるからというもの一つの理由だと思っています。
これまでずっと外の世界との交易を閉じていたキラルディアですから、
人選も戦闘の腕をある程度の水準を満たしている人物であることが必要となるのです――」
言われてみれば、まさにその通りだと思った2人だった。
「それで――俺たちと一緒に本土軍を倒すために戦いに参加するのですか?」
アーシェリスはレイリアにそういうと彼女は答えた。
「はい、その通りでございますわ。私の力であなた方をお守りいたしますわ――」
そっ、それってむしろ逆ではないのか?
2人は彼女のその言動に焦りを感じていたが、この人、それほど強いのだろうか? 彼女の能力は未知数だった。
さらに数時間後、とある建物で端末をいじりながら本土軍の戦艦の様子を見ていたエイジのもとにリリアリスがやってきた。
「よう、船は依然としてあそこにいるままだ。
クラウディアスもそうだが、あの位置だとこちらの様子も見れるから、こっちの様子をうかがっているのが実際のところかもしれないな」
それに対してリリアリスは頷きながら言った。
「まあ、それはとりあえずなんでもいいけれども、作戦は予定通りに行くわよ。
そろそろプリシラとレイビスたちがジェタたちを率いてユーラルの本土軍の部隊に最接近すると思うから、
そしたらこっちもささっと始めるわよ。」
エイジは頷きながら言った。
「アリエーラさんとフィリスはクラウディアスに置いとくんだな」
「ええ、あの2人にあっちを任せておくのが一番だと思うからね。」
リリアリスがそう言うと、さらにエイジは訊いてきた。
「本土軍内部をレイリアに任せるっていうのは?」
「ええ、彼女は顔が一番割れていないハズの人物だから、
敵の面前まで来て事を起こさせるのなら、まさにお誂え向きじゃないのよ、そうは思わない?」
ヒュウガは頭を抱えていた。
「まあ、うまく行くんだったら別に何でも……というか、そもそもその変身技で適当に顔を変えれば何でもいい気が――」
すると、リリアリスは建物の窓から飛び降りた。
それに対してヒュウガは「いってらっしゃい」と呟いていた。