エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第174節 プリズム族の自覚

 すると、ヒュウガたちのいるところに、今度はレイリアが現れた。
「あら? みなさん、何をやっているんです?」
 ヒュウガの考えていた試みは既に完了しており、結果を分析していた。
「思った通りだ、ストーン内に包含されていたエーテルは加工されたものだ。 恐らく、人の手で封じ込められたもので間違いないだろうな――」
 そう言いながらヒュウガはふと振り返ると、レイリアが目の前にいた。 ヒュウガは彼女の存在に酷く驚いていた。
「なっ!? おい、あんた、まさか――」
 そう言われたレイリアは首をかしげていた。
「あっ、レイリアさん! 見てください――」
 フラウディアは説明すると、レイリアはしっかりと聞いていた。
「込められた力は――なるほど、本土軍はそういうことをするのですね。 それで、女性陣が集まっているのはそう言った理由でしたか?」
 ヒュウガは念を押すように言った。
「勘違いするなよ、女性陣を呼んだんじゃなくてプリズム族を呼んだというのが真相だからな――」
 それに対してレイリアはにっこりとしながら答えた。
「分かっていますよ、ヒュウガ様。 プリズム族はエーテル的な力、つまり、魔法に対する抵抗力が強いから、 エナジー・ストーンから漏れ出す力による汚染にも強いと考えてのことですよね。 でしたら、私もお手伝いできましたのに、既に終わってしまったようですね。」
 だが、そんな彼女に対してヒュウガは疑問をぶつけていた。
「あんたもプリズム族なのか?」
 レイリアは答えた。
「言うなれば、ラブリズのような里で暮らさず、他の種族と共に暮らしている、所謂”はぐれプリズム族”ですね。 ということはつまり、私もその”進化型プリズム族”ということになるのでしょうか?」
 進化型プリズム族――それと対になる生来型プリズム族というのがいて、 生来型プリズム族はまさしく魔女と呼べるほどの存在で、 かつての魔女は街の真ん中にいるだけでも危険な存在と言われることもあったというほどの存在らしい。 しかし、それでは普通に生活するうえでは不便なため、進化型プリズム族となって、”なり”を潜めたということらしい。 とはいえ、それでも人目を惹く存在であることは否めないが――
 それに対してヒュウガは少し戸惑ったような感じで答えた。
「俺はよくわかんないんだけどな、自分がプリズム族ってことを自覚しているものなのかどうなのかってな。 少なくとも、里のプリズム族はそれを自覚して生きているのは間違いなさそうだが、あんたはどうなんだ?」
 それに対してレイリアは前向きに答えた。
「もちろん、私はプリズム族であり、そういう生まれであることを誇りに思います!  たまに視線が気になることもありますが、そういうものだと思っていますので気にはしていません。 だけど、それが巡り巡って私はキラルディアの外交官として、 そして、今はみなさんの前にいられるので、とてもありがたく、光栄に思います!」
 と、その光景に、先ほど積み荷のところで作業をしていた男性陣がやってきて何かあったのか訊いた。 だが、彼女のそのセリフに対し、ヒュウガは頭を抱えていたのである。
「なんだ、どうしたんだ?」
 イールアーズがそう訊くと、ヒュウガは答えた。
「いや、もういい、よくわかった。 とにかくなんだ、お前らのほうは用事が終わったのか。 まあいい、俺はもう疲れたから休ませてもらうな――」
 そう言いながらヒュウガはその場を去っていった、どうしたのだろうか、 フェリオースはそう訊こうとするが、ヒュウガは何も言わずにその場を去っていった。
「あいつ、どうしたんだろう?」
 ところが、クラフォードはヒュウガの態度に何故か共感していた。
「どんなやり取りがあったのかはわからんが、やつの気持ちはわからんでもない。 どういうことだと言われると答えに困るわけなんだが――」
 すると、レイリアはクラフォードに対して嬉しそうに話をした。
「あら、クラフォード様ではないですか♪ 後でもっとたくさんお話しましょうね♪」
 だが、クラフォードは適当に右手を挙げて返しつつ、その場を逃げるように去っていった。 それに対して男性陣は茶化しに行った。
「なんだよお前ら、デキてるのか?」
 口を開いたのはイールアーズだった。
「やめろ、そんなワケあるか。全部茶番に決まってるだろ――」
 さらにアーシェリスが追い打ちをかけた。
「だけど、それにしてはずいぶんと親し気な感じだったよな?  流石は万人狩りと呼ばれるのは伊達ではないってことか、 まさか、女性狩りをもこなせるとは――」
 そう言われたクラフォードは冷静に言い返した。
「女性狩りっつったら俺じゃなくてここの将軍様のことだろうが」
「と、話を急に変えようとするところがますます怪しいな。 やっぱり何かあるに間違いない――」
 フェリオースはクラフォードの言うことを無視して攻め続けた。 クラフォードは耳を疑いながら言い返した。
「はぁ!? あるわけないだろ? なんでそうなるんだよ!」
 そう言いながらクラフォードは捨て台詞気味に言い放った。
「もういい、話をしようと思ったけど、言うのはやめた! もう好きにしろ!」
 そして、逃げ出すように去っていった。
「やれやれ、万人狩りともあろうやつが逃げ出すとは――先が思いやられる」
 イールアーズは鼻で笑いながらそう言った。 だけど、クラフォードが言ったことが少し気になったアーシェリスたち、 どういうことなのだろうと思って後ろを振り返ると、そこにいたはずの女性陣は一度に姿を消していた。
「あれ? どこ行ったんだろ?」
 アーシェリスがそう言うと、フェリオースも不思議そうに言った。
「さあ、どうしたんだろう――」

 女性陣は既にその場を切り上げていて、談話室でゆっくりと話をしていた。 そこにはアリエーラとラミキュリアが先に話をしていた。
「あら、みなさんお揃いですね。 それにしても、ガレアってなかなか素敵な場所ですね!」
 アリエーラが嬉しそうにそう言うと、シェルシェルは周囲を見ながら言った。
「あれ? リリア姉様とリファ様はいらっしゃらないのですね?  プリシラさんもフィリスさんも一緒なのかな?」
 それに対し、アリエーラは少し驚いたような反応をした。
「あっ、えーっと、その――」
 そんな中、フロレンティーナがレイリアを見ながら話した。
「それにしてもレイリアって美人よね、プリズム族の中でも特別っていう感じがするんだけれども。 プリズム女の中でも整っているって感じがするし、女としても洗練されている感じがするのよね。 そういうところでも魅力的な感じもするし、プリズム女特有の魔性の気配も相まって、 とってもできる女っていう感じがするのよね――」
 それに対してフラウディアは楽しそうに言った。
「そうそう! なんていうか、すごく素敵な大人の女性っていう感じですよね!  それこそある意味、リリア姉様みたいな印象の素敵な女性の感じ!  いいなあ、私、レイリアさんみたいな女性になりたいな――」
 それに対し、アリエーラは首をかしげながら言った。
「レイリアさん、まだ認識を合わせていないのですか?」
 レイリアは苦笑いしながら答えた。
「あら、そう言えば、そうでしたね。 では、この場で皆さんにお伝えいたしましょう――」