エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第173節 エナジー・ストーンの真相

 男性陣が積み荷を運びはじめると、フロレンティーナとフラウディアはエイジこと、ヒュウガの元へとやってきた。
「まったく、どうなっているのやら」
 ヒュウガがそう話をしているところに出くわした2人、何をしているのか訊いた。 そこにはシェルシェルとララーナとフェラルが既に居合わせていたようだった。
「よう、来たようだな。 ちょいと手伝いが必要だったもんで、わざわざ来てもらって悪かったな」
 手伝い? フロレンティーナは改めてどういうことなのか訊こうと思ったところ、 ヒュウガが操作している端末のモニタに表示されているものを見てピンと来たようだ。
「もしかして、エナジー・ストーン?」
 ヒュウガは頷きながら言った。
「ああ。ラヴィス島なんだが、調べたところ、あそこが原料の採掘場所として間違いなさそうなことは判明したんだ」
 それに対してフロレンティーナは訊いた。
「だけど、私がリリアからちらっと聞いた話だと、 そのエナジー・ストーンを作るほどのパワーはあそこの採掘場では見込めないから違うんじゃないかって言っていたような気がしたけど?」
 ヒュウガは頷きながら答えた。
「確かに、原料からはこれほどのパワーは見込めないかもしんないから違うっていう意見はもっともだ、 俺もその意見には賛同だ。 しかし、このエナジー・ストーンをよく調べると、新たな事実が分かってな――」
 ヒュウガは改めて言った。
「そもそもこいつの原料をあちこち探しに行っていた時点で気づくべきだったってところだな。 というのも、実際、原料的にはリジアルで採掘した可能性も捨てきれないんだよな。 それこそ、リオメイラの可能性もわずかながら残されているぐらいだ」
 早い話、まだ採掘場所を絞れていないということなのか、そう訊くと、ヒュウガは首を振りながら言った。
「絞れていないといえば絞れていないが、この3拠点の採掘場所が関係しているのは確実ということは突き止めたんだよな」
 すると、シェルシェルはとあることに気が付いた。
「3拠点の採掘場所が関係しているということは、全部の採掘場のものが混ぜられているってことはないですか?」
 確かに、着眼点としてはいい線言っていたようだった。だが、フロレンティーナは否定した。
「それは無理よ、各地点でエーテルの性質に差異があるから、 それぞれの場所で採掘したエーテル鉱石を混ぜても力のバランスが不安定になって、 燃料としてうまい具合に働かないみたいなのよ」
 フロレンティーナとフラウディアは本土軍のその手の機関に携わったこともあり、 そういったことにはある程度知識があった。そしてそれに対し、ヒュウガは感心しながら答えた。
「流石によく知っているな、まさにその通りだ。 だけど、どうやらシェルシェルの言ったことが正しいようだな」
 えっ、どういうことだろうか、フロレンティーナとフラウディアは驚きながら訊いた。
「それをこれから確かめようということで、あんたたちを呼んだわけだ」

 ヒュウガは説明を続けた。
「冒頭でも言っていたように、それぞれの採掘場の原料からはこれほどのパワーは見込めない可能性が高いということは、 エーテルの保有量が少ないということが言えるわけだ。 しかし、鉱石自体は一般的にエーテルを保有するための構成要素としては一定の水準を満たしている―― リオメイラの例を見るように、元々持っているエーテル量は少なく、他の場所のもそこそこと、 エーテルの質は別として、量自体にはばらつきがあるんだよな」
 ヒュウガはさらに続けた。
「要するに、エーテルの容れ物としては問題がなく、問題は中身っていうことになるわけだ」
 エーテルの中身? それに対してフロレンティーナは思いついた。
「早い話、それはただのガソリンタンクでしかないってこと?」
 ヒュウガは答えた。
「そういうことだな。 つまるところ、容れ物の中に誰かが一定のエーテルをそれの中に込めることで可能にしたんじゃないかってことだ。 ということはもちろん、これをエナジー・ストーンとして作ってしまったやつがいるということで新たな問題が発生するわけだが、 残念だが、どうもそういうことになりそうだというのが俺の考えだ」
 確かに――またやばいヤツが敵として立ちはだかっているように思えてしまう。 そして、それが現実のものになるなどとは――
「で、これからやろうというのはそれを確かめるため、エナジー・ストーンを分解するってことなのかしら?」
 フロレンティーナがそう言うと、ララーナが言った。
「そっか、それで私たち――プリズム族ばかりに協力を仰いだというワケなのですね」
 ヒュウガは答えた。
「それに、肝心のあいつもあの女も、仲良しの女もいないからな」
 確かに、リファリウスもリリアリスも、そしてアリエーラもいなかった。 プリシラもフィリスもいなかった。 とはいえ、ヒュウガ的には別に問題ではなさそうで、予定通りのことを行おうと考えていた。
「でも、ここにはそれだけの設備ってないのかしら?」
 フロレンティーナはそう指摘した。 確かに、ヒュウガやリファリウスのいる研究所だから、それぐらいの設備があってもいいと思うのだが。
 それに対してヒュウガは愚痴っぽく話した。
「まったくだ、ここにはそれだけの設備があってしかるべきハズなんだが、 あろうことか、”どっかの誰かさん”が肝心要の”レジスト・イニシエータ”を勝手に持って行っちまうもんだからその設備が使えなくてだな、 ということはつまり、結局他の方法を考えざるを得なくなっちまうっていうってワケだ。 もっともその”レジスト・イニシエータ”を設計したのはその”どっかの誰かさん”なんだが、 だからと言って知らないうちに勝手に持って行っちまうのはどうかと思うんだがな、俺は」
 ……なんだか、いろいろと苦労しているようである。