エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第171節 ガレア軍対ディスタード本土軍

 ラブリズの里に立ち寄った女性陣、 翌日、ルシルメア港からマダム・ダルジャンに乗り込み、そのままガレアへと向かっていた。
「夕べはすっかりとお休みになられたようで何よりです!」
 アリエーラはリリアリスに向かって嬉しそうにそう言った。
「プリズム族の癒しってホンモノよね。 そんな環境下でプリズム女以上の女・アリに抱かれたなんてなったら即行で落ちるに決まってるじゃないのよ。」
 リリアリスは得意げにそう言うが、アリエーラはリアクションに困っていた。
「ま、それはそうと、早いところガレアに行くわよ。 よくわかんないんだけど、なんだか面倒なことになっているみたいだし――」
 リリアリスはそう言うと、端末のモニタをいろいろと確認していた。
「一体、何があったっていうの?」
 フィリスはそう訊ねるとフラウディアが答えた。
「よくはわからないですが、ディスタード本土軍側で何か動きがあったようですね――」

 そう言ったことで、マダム・ダルジャンはガレアの港へ直接入港した。 個人所有の船が帝国の領土、ましてや、クラウディアスにも立ち寄るような船がガレアへと堂々と侵入しているのだから、 本土軍とはあからさまに対立する意思を表していた、とはいえ、それも今更という感じであるが。
「来たな、とりあえず来てくれ――」
 港にはヒュウガが待ち構えていて、リリアリスらを促した。
「何かあったの?」
 リリアリスは訊ねると、ヒュウガが問題の方向へと指さした。
「とりあえず、あっちに行けばわかるハズだ、行くぞ」

 ガレアの北岸側、そこはかつてディスタード本土軍の船が遭難したり、上陸してきた地点でもあった。 そして、そこから問題としている光景がすぐに確認できた。
「あんたがずっと気にしていた本土軍の隠し玉だ。まさか、本当に保持していたとはな――」
 ヒュウガがそれに対して話を付け加えていた。 それは紛れもない、クラウディアスに向けて出港している最新鋭の戦艦だった。
「天の裁きは完全にムダだったってワケか、アレで直接攻撃してこないってことがバレたみたいね――」
 リリアリスは残念そうにそう言った。
「バレたっていうか、これまでの通り、どうせ末端がやっていることなんだからお偉方は痛くも痒くもないって言う腹なんだろ」
 ヒュウガはそう言った、それはそれで嫌な感じだが――
「だけどさ、クラウディアスに向かっているにしては遅くない?  私らに連絡が来てからずいぶんと時間が経っているようだけど、まだこの辺りをうろついているのは何故?」
 フィリスがそういうと、リリアリスが考えながら言った。
「ディスタード本土軍包囲網を警戒しているのでしょ。 ガレアもヘルメイズも敵に回っていることは連中もすでに把握済みのハズよ。 となると、相手の出方としては警戒しながら前に出るということしかできないワケよ。 それに――以前の兵器から考えると、もしかしたらあの位置からクラウディアスを砲撃できるような兵器を搭載している可能性だってあるしさ――」
 それに対してヒュウガは否定した。
「それはないな、今回積んでいる兵器については既に調べが付いている。 射程に関しては以前と同じく、クラウディアスの領海にギリギリ踏み込む必要があるほどのものであることは分かっている」
 但し――ヒュウガはそう言いながら重大なことを口にした。
「積んでいる兵器の最大出力についてはこれまでにないほどのエネルギーを発することもわかっている。 下手をすると、クラウディアス王国というか、大陸一つを消し飛ばす可能性もあるほどのヤバイやつだ。 それこそ、まさに”天の裁き”といえる代物かもしれんな――」
 それには全員が驚いた。
「こっちがそれで攻撃してこないことをいいことに、向こうは平気な顔で使ってくるって、あいつらどういう神経しているのよ――」
 フィリスは少し怒り気味にそう呟いた。

 ガレアには既にティレックスやクラフォードたちの男性陣も到着していた。
「おっ、なんだ、流石にみんな来てるじゃん。」
 リリアリスはそう言うと、イールアーズが答えた。
「当たり前だ、連中にこのまま好き勝手させておくハズがないだろ」
 それに対してフィリスが言った。
「あれ、あんた、前の戦いでボロボロになったんじゃなかったっけ?」
「はぁ? あの程度のかすり傷で何言ってんだ? てか、お前誰だ?」
 そこにディスティアが話に割り込んだ。
「イールなんか、どんな目にあっても食って寝ればすぐに元気になるからな、その点では心配不要だ」
 そう言われたイールアーズは「ふん」といいながらどこかへ行ってしまった。
「そんなことよりリファ見かけなかったか?」
 出し抜けにティレックスがそう訊いてきた。
「リファなら将軍の執務室でないの? なんか用事?」
「いや、来ているって聞いたのはいいんだけれども、いるような感じじゃないから本当にいるのかと思ってさ――」
 それに対してリリアリスは悪びれた様子で答えた。
「あらまあ、それはごめんなさいね。 将軍なんだからちゃんとみんなに存在感をしっかりとアピールするように伝えとくわね。」
 リリアリスはそう言いながら、その執務室のほうへと単身、向かって行った。 それにアリエーラが慌てて付いていった。
「で、どうすればいいんだ?  あの姉弟が作戦考えてるんだろ、俺らはここで待機なのか?」
 アーシェリスはもんくを言いたそうにそう言うとフィリスが答えた。
「そう、待機よ。ひとまず、キラルディア組を待つのだそうよ。 その間、リファとリリアとアリとで作戦を詰めるんじゃないの?」
 クラフォードは頭を抱えながら言った。
「ガレアなのに作戦を考えているのはクラウディアスの特別執行官様方なわけね。まあ、同じようなもんか――」