エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第168節 リリアリス師匠

 数日後、リリアリスとアリエーラとフィリスとプリシラ、 そしてフロレンティーナとフラウディアとフェラルとラミキュリア、 さらにララーナとシェルシェルはマダム・ダルジャンを使い、 そのままルシルメアへと向かうことにした。 このメンツからは目的地も含めてある程度想像はできそうだが、 実際の目的地はラブリズの里である。
「これから出港か? そいつはいいんだが、いつの間にいるんだってやつが一名いるな。 それと、メンツ的には一名足りない気がするんだが」
 マダム・ダルジャンを整備しているヒュウガがそう言うと、リリアリスは答えた。
「アンタって本当にニブイわねえ、会議中はずーっと隣にいたってのに気が付かなかったの?」
 そう言われると、ヒュウガは思い出しながら言った。
「おいまさか、あんときのアール将軍の正体って――」
 すると、それに対してプリシラが可愛げに答えた。
「そうでーす♪ 私でーす♪」
 そう言われたヒュウガは頭を抱えていた。
「どおりで口数少ないし、替え玉という割にはマジで本物っぽいと思ったら――」
 プリシラといえば、リリアリスに変装術を教えた、言わば師にあたる存在である。 つまりはそう言うことである。
「各国首脳が集まるっていうんだから、ここはやっぱりプリシェリアからも参加してもらわないことにはね。 国として認められていないというのなら強引にでも参加してもらうまでよ。」
 いつものことながら強引すぎるリリアリス。
「でも、クラフォードたちの話じゃあ、あのリヴァストのほうが替え玉なんじゃないかって言ってたような気がするんだが?」
 それに対してシェルシェルが楽しそうに答えた。
「ええ、みなさんが言うように、あれは私です。 プリシラさんやリリアさんのような変装術というにはほど遠い能力ですが、 それでも、私はルシルメアとは橋渡し役を担っておりますから、 プリズム族の代表であるお母様にも参加していただきたく、 仲立ちとしてルシルメア独立の立役者であるリヴァスト様に変身していただけのことですよ♪」
 だから、なんで両方替え玉なんだ――ヒュウガは頭を抱えていた。
「で、もうひとつ、メンツ的には一名足りない気がするんだがに対する解は?」
 ヒュウガはそう訊くと、リリアリスは答えた。
「もしかして、レイリアのこと言ってる?  彼女は無理よ、キラルディア側で集まって今後の方針について話をするって言っていたから、 今度誘うことにするわね。」
 そう言われると、ヒュウガは頷いた。
「そうか。まあいい、引き留めて悪かった。じゃあ、また後で落ち合おう」
 そして、女性陣はそれぞれ嬉しそうにマダム・ダルジャンへと乗り込んでいった。

 そして船旅にて、フロレンティーナとフラウディアはプリシラと話をしていた。
「あなた、プリシラっていうのね、こんな娘もいるんだ――」
 フロレンティーナがそう言うと、リリアリスが答えた。
「ええ、私の親友よ。 そして、さっきもちょっとだけ触れてたけど、私の変装術の師でもあるってワケよ。」
「ということは要するに、私の大師匠でもあるわけね?」
「なるほど! 私にとっても大師匠様なんですね!」
 フロレンティーナとフラウディアがそれぞれ答えた。しかし、プリシラは謙遜していた。
「そんな、私が師匠だなんて! 私にしてみれば、リリアさんこそが師匠様ですよ!  私が会得している能力はほとんどリリアさんから教わったものばかりです!  それに、私の変装なんてリリアさんに教えたというよりも、リリアさん自身が私の能力を研究して独学で修得したにすぎません!  現に、リリアさんのそれは私のをはるかに超えていますし、私のこれも、リリアさんの能力を逆輸入しているような状況ですし!」
 それに追随したのがアリエーラだった。
「確かに、リリアさんはお師匠様ですね。 私の能力もほとんどがリリアさんから教わったものばかりですし。 そして、私の持つ技能もすべてリリアさん由来ですから、私にとってはまさにリリアさんは師匠そのものですね!」
 そして、フロレンティーナとフラウディアも頷いた。
「確かに、魔法剣もリリアに教わった能力だから、まさにリリア師匠ね」
「リリアお師匠様からはブレイド・マスターとしての極意を教わりました!  まだまだ全然至らないですが、でも、絶対にお師匠様も唸らせるほどの能力者になりたいです!」
 そして、シェルシェルもまた――
「私も、リリアさんからはいろいろと学ばせてもらっています。 もう、リリア姉様はお師匠様どころか、太陽そのものですね!」
 最後に、ラミキュリアが――
「それ以上に、リリアさんにはつながりがあります。 それらひっくるめて、彼女の能力なのでしょう、私はそう思います!  だから私の能力も、彼女のたまものなんです!」
 それらに対し、リリアリスは得意げに言った。
「もう、みんなして――そんなに褒めあげるとバカがつけあがるだけよ。 でも、それでもまだ私についてきたいというのなら――止めはしないけれどもね。」
 それに対し、弟子たちは声をそろえて「はいっ! リリアお姉様っ!」と言った。
「なんか、すごい光景を見た気がする――」
 フィリスはそう漏らすと、フェラルとララーナがそれぞれ話をした。
「ふふっ、いいわねぇ、なんだか昔を思い出すわ――」
「そうですね、まさに世代交代――なわけないか、リリア自身もまた現役真っ只中ですからね――」