エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第6章 連合軍の作戦

第166節 謎の美女と謎の一団

 そして、そのうちクラウディアス城へと、謎の一団がヴァドスたちに連れられて現れた。 その一団はいずれもローブを着込んでおり、どこかの国のお偉いさんのような印象だった。
 その様を見ていたレイリアは、その方向へと走っていった。 なんだろうと思った男3人は、彼女を追ってその一団のもとへと向かった。
「船旅はいかがでしたか?」
 レイリアは一団に向かってそう言うと、それに対して一団の中で一番偉そうな人物が答えた。
「レイリアさん! まさか、本当にそのまま議長を!?」
「はい! しっかりとさせていただいております! この方が後の流れでも自然でしょう?」
 何の会話だろうか、男3人はそう思った。そして、その人物はさらに続けざまに言った。
「ところで、そちらは?」
 レイリアは丁寧に答えた。
「はい、こちらの方々はグレート・グランドのクラフォード様とアルディアスのティレックス様、 そして、エネアルドのフェリオース様でございます!」
 それに対して偉そうな人物が答えた。
「なるほど、クラウディアスさんは流石ですね、 他の国をも納得させるほどに動いているということですか、これは驚きました。 大変失礼いたしました、私はキラルディアの特別執行官・ヴェラルド=アルノーディスと申します、以後、お見知りおきを!」
 それに対してレイリアが首をかしげながら訊いた。
「特別執行官ですか?」
 ヴェラルドは楽しそうに答えた。
「いいねレイリアさん! いつ見てもキミはとても美しいよ!  クラウディアスの特別執行官に倣って私もそう名乗ることにしたんだよ。 これについてはキラルディア大総統からも承認済だよ!」
 なんというか、こいつ――やたらと軽いやつだと3人は思った、それこそ、まるでどこかの誰かさんみたいだ。 そして、さらにヴェラルドは紹介を続けた。
「ああっ、そうだそうだ、まだ紹介が途中だったね。 こちら、キラルディア国務長官のメドーナと、戦術対策委員会のバスカー委員長だよ」
 それに対し、メドーナとバスカーはそれぞれ軽く挨拶をすると、レイリアは訊いた。
「それでは参りましょうか、クラウディアスさんがお待ちかねです!」

 そして、レイリアは案内を始めたが、何やら気になった3人もそれについていった。
「ところで、船旅はいかがでしたか?」
 レイリアとヴェラルドは話をし始めた。
「悪くはないね。 少し長かったけれども、クラウディアスさんのためならこのぐらいの距離はどうってことないね。 レイリアさん、ひとえにキミのオカゲだね!」
「いいえ、それほどでも。私はただ、キラルディアのためを思ってやったことですから――」
 そこへシャナンが現れると、それに対してレイリアがすぐさま反応した。
「ヴェラルド、こちらが蒼眼のシャナン様でございますわ――」
 するとヴェラルドは態度を改めて言った。
「まさか、本当に蒼眼のシャナン!? お会いできて光栄です! 私は――」
 その時のヴェラルドはまさに尊敬の眼差しだった。
「あっ、はい――左様でございます、私がシャナン=レックフォードでございます」
 それに対してヴェラルドは首をかしげて訊いた。
「シャナン=レックフォード? シャナン=エンバレム、ではないのですか?」
 シャナンはそれに対して少し驚きながら言った。
「よくご存じですね。 エンバレムは父方の姓で、私がかつてクラウディアスの兵士だった頃に名乗っていた名前です。 しかし、リアスティン陛下の頃になり、私がリアスティンの側近として選ばれるようになると、 これまでのクラウディアスの在り方を変えるという陛下の強い意思に感銘を受け、 私もスクエア出身である母方の姓であるレックフォードを名乗ることにしたのですよ」
 ヴェラルドは何やら納得しながら言った。
「なるほど、スクエアの!  確か、リアスティン陛下は一時期スクエアで働いていたことがあったと伺っております。 もしかして、その縁によるものでしょうか?」
「ええ、まあそういった理由もありますね。しかし、それにしてもよくご存じですね――」
 そう言うシャナンに対してヴェラルドは言う。
「はい、すべては父上からすべて聞いております!  こうして、シャナン様のような方にお会いできるのはとても光栄にございますね!」
 父上? すると、シャナンはヴェラルドの顔を見ながら何かに気が付いたようだ。
「そういえば、ヴェラルド=アルノーディスとおっしゃいましたね。 もしかして、御父上は”紫閃光のブリュゼル”ですか?」
 ヴェラルドは気さくに答えた。
「やはり覚えておいででしたか!  残念ながら父上は10数年前に他界してしまいましたが、それでも、シャナン様についてはよくお話されていました!」
 それは、ほとんど鎖国的な情勢で続いていたキラルディアにとっては数少ない外の国での戦いである。 その当時、ドリストン大陸を手中に収めようと、その足掛かりとしてキラルディアを狙おうと画策する国があり、 当時勢いのあったクラウディアスとしてはそれに対抗しようと手を打ったのである。 シャナンとヴェラルドの父ブリュゼルはまさにその時以来の戦友であり、ある程度は関係が続いていたのだという。

 そんなこんなでクラウディアスのとある一室へと赴くと、 そこにはリリアリスとアリエーラ、そして、ナミス市長が待ち構えていた。
「ようこそ、クラウディアスへといらっしゃいました!」
 アリエーラが元気よくそう言うと、キラルディアの一団も軽く挨拶をした。 そこへ、ナミス市長が――
「あら? 全員、キラルディアの一団ですか?」
 と、ついてきた男3人は困惑した。 確かに、この場に入るのは少し場違いかと思った。しかし、それについて、リリアリスが言った。
「クラフォードとティレックスはいいんじゃないかしら?  この2人はいつも通り、なんだかんだでいろいろと考えてもらっているしね――」
 というと、ティレックスとしてはそんなことあったっけと気にし始めた。 だが、ティレックスはその場を断らざるを得ない事情があった、それは――
「悪いけど、後でちょっとアルディアス側で集まるとか言ってたから、今回は不参加で――」
 一方のクラフォードは前向きに言った。
「まあ、今後に重要な話をするうえで俺の発言も参考になるというのなら――」
 そして、完全に部外者の立場なフェリオースもその場を退くことにした。
「んじゃあ、俺は一旦、ティレックスと一緒に別行動だな。 それより、アーシェリス達がどこに行ったか知らないか?」
 そう言うと、リリアリスが答えた。
「ああ、さっき見たわね、お城の外のほうに向かっていったと思うわよ、行ってみたら?」