ディブラウドは強烈な剣技を駆使してフロレンティーナ、
そしてクラフォードとティレックス、それからスレアとフラウディア――次々に襲い掛かってきた!
「みんな!」
ユーシェリアはそれぞれがやられ、先ほどの研究室の階層へと全員吹っ飛ばされている様を見ながら叫んでいた、だが――
「いやあ!」
トドメにユーシェリアもディブラウドの技によって身体を思いっきり吹っ飛ばされ、
同じく、下の階層へと吹っ飛ばされていた。
「このゴミカス共が――その程度でこの俺に刃向かおうなど500年早いわ!」
ディブラウドはさらに剣を振りかぶり、
そのまま下の階で倒れているフロレンティーナに向かって勢いよく斬りつけようとした!
クラフォードはすぐさま反応し、ディブラウドの攻撃を引き受けていた――
「させるか……っ!」
クラフォードは力なくそう言った。
ディブラウドの攻撃は重たい、これ以上受けきれるのか、もはや勝算などなかった。
「みんな逃げるんだ、こいつはやっぱり――常闇のディブラウドに勝つのは不可能だ――だからみんな、逃げるんだ――」
クラフォードはさらに力なくそう言うとティレックスはすぐさま起き上がりつつクラフォードの元へと近寄ろうとした。
「来るなティレックス! こいつは――桁違いすぎる、だから――」
そう言われるとティレックスはその場に立ち止まり、戸惑っていた。だが――
「ほう、貴様、自分を犠牲に仲間を助けようとは殊勝な心がけで感心するな。
だが、俺は貴様らを皆殺しにすることにしたのだ、何人たりともここから生きて帰れると思ったら大間違いだ!」
ディブラウドはクラフォードの剣を振り切り、強烈なオーラを発すると、
クラフォードやティレックスたちをまとめて思いっきり吹き飛ばした!
そして全員、部屋の壁にそれぞれ身体を打ち付け、その場に再び倒れこんでいた――
「くっ、つ、強い、どうなっているんだ、あいつは――」
ティレックスは気を失ってしまった。
「ふん、所詮はその程度の腕だったということだ、だからブロストの言う通り、諦めれば済むことだったのだ。
それなのに、ほんの少し強いというばかりに地獄を味わう羽目になるとは――」
ディブラウドはそう言いながらクラフォードの元へとゆっくりと歩いていった、
クラフォードはその場で何とか立ち上がりながらなんとか抵抗しようとしていた。
「”闘気剣術”だな、しかもより実戦的な……
常闇のディブラウドといえば”覇道剣気”と呼ばれる闘気剣術の使い手と言われているが、これがそうか――」
「そうだ、貴様ら小童共では到底成しえない極意ということだ。
そう言う貴様はエンブリア戦技としては一般的なアルドーラ剣術とは少々型が違うようだが……
だが、バラトールの民らしい荒々しさが現れているところから察するに、グレート・グランド式といったところだな。
それに鬼人剣よりはやるようだ――もっとも、やつが相手したのはゾレアムだ。
一方のレイビスと貴様の能力はほぼ互角……そのような能力差同士が衝突し、
俺の相手をすることとなった貴様自身の運の無さを嘆くべきだろう――」
なんとか立ち上がったクラフォードだが圧倒的すぎる相手の能力に対してなす術がなかった。
しかし、クラフォードにとってこの状況は決して初めてのことではなかった。
その経験もあってか、クラフォードは辛そうでありながらも余裕のある態度で言った。
「なんだよ、やたらと講釈の多いやつだな、やるんだったらさっさとやれよ。
もっとも、強者ほど自らの腕を自慢したがるという典型なのかもしれんが――」
そんな態度のクラフォードにディブラウドは彼の首をつかんで頭上に掲げた。
「そして雑魚ほど吠えたがると、お前はその典型か。
そこまで言うのならどれだけ耐えられるのか試してやろうか!」
すると、ディブラウドはそのままクラフォードを別の壁に向けて思いっきり投げつけた!
「ぐわあっ!」
クラフォードはもはや完全にボロボロの状態、頭から血を流していた。
しかしそれでも彼は立ち上がる――
「面白い!」
ディブラウドはそう言って不敵な笑みを浮かべながらクラフォードを再びつかんでは再び思いっきり投げつけていた!
「のわあっ!」
再びクラフォードは立ち上がろうとするがもはやそこまでの力もなく、その場で何とかもがいているだけの状態だった。
ディブラウドは後ろのほうへ目をやると、
そこにはフロレンティーナを中心に女性3人が一か所に集まって手をつないだ状態で倒れている光景があった。
「女共は既に覚悟を決めたようだがお前はなかなか諦めの悪いやつだな、
そんな状態で一体何をするつもりだ?」
クラフォードはもがきつつ、そして1.5メートルほど先にある剣に手を伸ばしたが、
その剣の上にディブラウドが片足で踏みつけると、悔しそうな声を上げていた。
そしてディブラウドに再びつかみあげられ――
「くはっ――」
投げ捨てられると血反吐を吐き、その場に崩れた。そして――
「フン、流石に飽きたな、そろそろトドメと行こうか――」
ディブラウドは足元にある自分の剣を拾い上げると、クラフォードを狙って構えた――
「終わりだ――」
だがその時――ディブラウドの背後で軽い金属音がした。
「なんだ?」
ディブラウドは背後を振り向くとそこには――
「なんだ、まだやるつもりか」
そこに大きな剣を持った剣士が一人、現れたのである。