エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第5章 最強の女流剣士

第139節 意外な助っ人

 リリアリスとディスティア、そして、レナシエルの3人はルシルメアの港で激闘を繰り広げていた。
「艦隊砲撃してこないだけ賢明な判断ね。 無論、そんなことしたらディスタードが集中攻撃されることは目に見えているから、 地道に陸上での戦いを選択しているんだろうけれども。」
 リリアリスは次々とディスタードの兵隊を倒しつつ、敵を次々となぎ倒していった。
「なんでもいいんですが暴風さん、リジアルの時と戦い方が一緒――」
 ディスティアは的確に突っ込みを入れた。
「モタモタしてらんないからね。とにかく、ここを制圧したら他のところに応援に行くよ!」
 リリアリスがそう言うと、3人はさらに本気を出してディスタード本土軍を押し除けていった。

 そして、クラウディアスのアクアレアにて、アリエーラは剣を出して言った。
「そういえば――”フェザード・スティンガー”はリリアさんに渡したままでしたね。」
 なんだその地味にかっこよい名前の代物は――ラシルはそう訊いた。
「私の剣です、最近刃こぼれが少々目立ってきましたので、リリアさんに手入れをお願いしようと考えていたんですよ。」
 アリエーラさんの武器!?  ということは、つまりはリリアリスの作った”兵器”というわけになるのだが、 また随分とかっこいい名前の武器だなーとラシルは思った。 フェザードの名を関する通り、天使の羽を模して造られたこともあってかデザインも何気にかっこいいのだが。
「ということは――試作品のスペアがあるってことね。 言っても、アリなら別にどんな武器でも戦えると思うけど。 だって、アリは常に最強の武器を持っているもんね! 伝説の美女を名乗るほどの美貌っていう武器がね!」
 一緒に居合わせたローナフィオルが楽しそうに言った。
「ローナさんってば! それはローナさんの武器ですよ!」
「私はちょっとカワイイ程度の女でしかないもんねー♪」
 ローナフィオルは楽しそうに言った。 彼女はクラウディアスのシステムの面倒を見ていたようだ。 彼女と言えばシェトランドの民、彼女と同じ境遇で言えばシャトがいるハズなのだが、 シャトはガレアのほうを見ているらしい。
「リリアお姉ちゃんとアリお姉ちゃんの力絶対。 アリお姉ちゃん、”プロト・スティンガー”でも追加効果:”絶世の美女”発動で敵いなくなる」
 カスミにまでそう楽しそうに言われると、アリエーラはムキになっていた。可愛い。 が、試作品の名前も何気にかっこいい――しかもカスミの言うことには一理ある……ラシルはそう思っていた。
 そこへ敵の様子を見てきていたフィリスが戻ってきた。
「敵の数もずいぶんとまた大勢やってきているのねぇ、もしかしたらこれで最後のつもりかしら?」
「では、その敵の作戦を台無しにしましょう!」
 アリエーラは力強く言うとフィリスは頷いた。
「そうね、早いところ掃除しないとね」
 フィリスは続けた。
「とりあえず、アクアレア・ゲートのゲート前広場ですったもんだしている状態で、 ここでデュシアたちハンターと、シャナンとフェラルの伝説の騎士コンビが食い止めてる感じ。 伝説の騎士コンビはなんか因縁のある敵と対峙しているみたいだけれども、敵は大口叩くわりに大したことなさそうな感じね。 でも――」
 でも――ローナフィオルが続けた。
「アルディアス・ニアリー側からも上陸しようとしているところね、システムから見えていたよ。 多分、マーリッドや、ルダトーラとガレアをたむろしていた連中が動き出したのね――」
 フィリスは頷いた。
「面倒くさいわね。 そのせいでいたるところから上陸されているような状況ってわけね――」
 しかし、そこに戦力を割くのは困難だった。
「恐れていたことがついに――こうなったら腹をくくるしかないですね――」
 アリエーラは悩んでいると、どこからともなく調子のよさそうな口調で語りかけてきた。
「なら、”ネームレス”の力で一網打尽にしてしまう、というのはいかがですかな?」
 その声の主に対してアリエーラたちは振り返った。そこには男と女のペアが佇んでいた。
「ん? あんたたち、どこかで会ったような――」
 フィリスがそう訊くと男はさらに話を続けた。
「クラウディアスに行けるというから来てみたはいいんだけれども、まさか戦争とは穏やかじゃないね。 本当は戦争というからクラウディアスから外に出ようと思ったんだけれども、それどころではなさそうだ――」
 その2人にアリエーラが訊いたた。
「あなた方はカイトさんとシエーナさんですね! もしよろしければご助力願えませんか?」
 男のほう――カイトは口を挟まず、シエーナが答えた。
「やはり私たちのことを知っているというのはリファリウスさんとシンクロしているためですかね。 もちろん、今やディスタード帝国の力も日増しに強大になってきています故、 ここで彼らを食い止めなければ世界を巻き込むことになってしまいます、 ですから、是非とも、私たちの力もお使いください」
 カイトは腕を組みながら言った。
「で、私らはアルディアス・ニアリーから上陸を狙う連中を薙ぎ払えばいいのかな」
 アリエーラは答えた。
「はい! 私たちと一緒にそこへ行きましょう!」
 カスミはその2人を眺めながらぼそっと呟いた。
「……不思議な2人」