リリアリスは進捗具合を確認していた。
「今のところ、これといったデータは何も出てないようだな」
ヒュウガは言うとリリアリスはヒュウガ自身は何やっているのか訊いた。
「秘密工場のネットワーク図を見ながら他に端末がないのかIPアドレスを逆引きして探っているところだ。
さっきたまたま5台ぐらい隠れたところに置いてあったのを見つけたから念のために探っているところだ。
隠れ端末がスタンドアロンだったら無理だけどな――」
ヒュウガはそう言うとリリアリスは頷いた。
「そうだとしたら諦めるしかなさそうね。
それでもわざわざDHCPのリース情報まで手に入れて端末探しているってわけか。」
「リースはないな、というかDHCPサーバ自体はあったんだがそもそも動いてなかった、全部固定IP振ってるみたいだ。
で、逆引きした限りだと、どうやらもう3台ほど秘密工場にありそうだな」
そこへリリアリスが得意げに言った。
「その3台なら心配しなくていいわよ。」
どういう意味だろう、ヒュウガはリリアリスのほうを見上げると、彼女の片手には――
「最小構成の端末ね、こんな薄っすいのが2台あった。
あと、もう一つ大きいのがあるんだけれども、それは今ディア様が運んでいる最中ね。」
リリアリスは弁当箱のようなものを2つ重ねて抱えていたのである。
するとそこへ、アリエーラはリリアリスに恐る恐る訊ねた。
「ん? どうしたのよ、アリ――」
「じ、実は――」
アリエーラは自分の剣を差し出した、その剣はなんと――
「あらら、刃こぼれしちゃっているわね、しばらく手入れもおろそかにしていたからそろそろやろうかなって考えてたんだけど、
今回硬いのが多かったからもたなかったみたいね。
いいわ、とりあえずそこに置いといて、後でちゃんと見ておくから。」
リリアリスは得意げにそう言うと、アリエーラは申し訳なさそうに「お願いいたします。」と言った。
リリアリスは当然のごとく「気にしないの。」と答えていた。
それよりも、ヒュウガはリリアリスに例の件を伝えた。
「リオメイラ組が見つけたCFカードの情報?」
リリアリスはそう言いつつ、そのデータを確認していた。
「なんだろ、何かの設計図かしら? 建物にも見えるけど――」
ウィーニアが言った。
「でも、ここの秘密工場のレイアウトにはない図面ですよね? だからよくわからないんですよ――」
リリアリスは指摘した。
「あれ、でもここのデータファイルの名前、なんか引っかかるような――」
その図面には”RV-DAFのレイアウト”というようなファイル名がつけられていた。
するとリリアリス、何か思い出したかのように別のファイルを開いた、
それは、リリアリスが見つけた端末に入っていたデータである。
「これなんだけどさ、ほら、このファイルにも”RV”って名前付いているじゃん? どういうことだろうと思って――」
そのファイルは”RV-DAF設置場所”というファイル名だった。
それに対してフロレンティーナが言った。
「RV-DAF? どこかで見たことがある気がするわね、なんだったかしら――」
何か思い出せないだろうか、それを何人かが期待していた。そこへアリエーラが訊いた。
「リリアさん、そのレイアウトの内容ってどんなファイルです?」
リリアリスは考えていた。
「線だけで構成されている何かの画像データね。
なーんか見たことあるようなないようなっていう形だけど、それがなんだったのかイマイチ思い出せないのよね――」
形――気になったフロレンティーナはそれを見せてもらった、すると――彼女は閃いた。
「リリア、ラヴィス島よ! RV-DAF、正式にはラヴィス島ディスタード軍兵器工場よ!」
ラヴィス島だって!? そう反応したのはティレックスとユーシェリアだった、それは何故か?
話を続けるとわかるだろう。
そして、そう言われたリリアリスは画像を180度反転させて改めて画像データを見た。
「私としたことが、こんなことに気が付かなかったなんて……。
確かにこの線の地形、ここがガレアでここがマウナ、
そして、ここがアルディアスだとすると――画像の真ん中らへんにあるこれはまさしくラヴィス島ね!
そのラヴィス島に秘密工場があるというの!?」
フロレンティーナは話をした。
「本土軍が使う拠点コードの識別子、
”RV”はこの地形図の通りラヴィス島のことになるのだけれども、
”DAF”は軍事工場であることを示しているのよ!
まさか、こんなところに大胆にもこんな工場を作ってしまうだなんて――」
あまりにも大胆な本土軍の行動だった。
「確かに、ガレアのあるサウスディスタードとアルディアスの海峡にある島にそんなものを作ってしまうとはなかなか大胆だな」
まさにクラフォードがそう言う通りである。
「リオメイラの侵略時期なども考えると、ガレア管轄設置以前からあった可能性が高いわね。
要するに、マウナ軍と共同でできた施設である可能性が高いってこと、
そうでなければガレア側で見落とす可能性はないハズね――」
リリアリスがそう言うとティレックスは頷いた、そう、ラヴィス島というのは実は――
「ああ、ラヴィス島うちの領土だからな、まさか本土軍に侵されていたとはな……。
でも、これについてはうちらのチェックが甘かったのも事実、
当時はマウナ軍の相手で精いっぱいだったという背景を考えると、してやられたってところだな――」
というわけである。
しかし、そのような話をしている間にクラウディアスから大変な知らせを受け取ることになった一行、
すぐさま次の行動を開始する事になった。