エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

紡がれし軌跡 第3部 対決!ディスタード 第5章 最強の女流剣士

第130節 世界の広さ

 リジアル島――
「これで終わり? あっけないわね――」
 第4チームのフロレンティーナとアリエーラは話をしていた。
「終わりですね。結局、この島も例の”エナジー・ストーン”の鉱床があるわけではないのでしょうか?」
「それらしいものは見つからなかったけど、見落としがあるってこと?」
「どうでしょう、私が感じる分にはそれっぽいところはなかったように思います…… というより、この秘密工場の内部ではないということぐらいですかね。」
「外にあるかもってこと?」
 そこへティレックスがやってきて話に参加した。
「ここが”エナジー・ストーン”の出所でないってことはリオメイラかもってこと?」
 フロレンティーナが言った。
「もしくはどちらでもないか、という可能性もあるわね。 リリアもまだ可能性の話でしかないって言ってたし、今はとりあえずリオメイラとリジアルの解放が目的だから――」
 ティレックスが考えた。
「リジアルの解放――あの人のことだから、あれをマジでやる気なんだよな。 でも地元民にとっては大切な山なのに、そんな大胆なことしてもいいものなんだろうか?」
 アリエーラが答えた。
「うまくは言えませんが、汚された山を”浄化”するっていう意味合いなんじゃないですか?」
「確かに浄化というか、リリアさんが言っていた通りの”消毒”みたいな感じにはなっているような気がしないでもないけれどもな――」
 リリアリスの計画、本当に嫌な予感しかしない――

 リジアル島を攻略し、リリアリスはすぐさま秘密工場中に仕掛けた爆弾を爆破した。 そう、”浄化”や”消毒”というのは山を爆破したということである――。
「仕掛けたからにはやるんだろうが本当に爆破しやがったな、山の形が変わるぞ――」
 クラフォードは頭を抱えているとリリアリスは立ち上がった。
「さて、こんなことしてらんないわ。早いところ”ラヴィス島”へ行かないと――」
 なんか話が変わっているようだ。そうなった背景として、このようなことがあった。

 リオメイラ組、スレアとフラウディアの2人はリオメイラを陰で操るドズアーノを探していた。 そのためにリオメイラ城内をくまなく探しているととある部屋へとたどり着いた。
「スレアさん! この部屋!」
 フラウディアはスレアを促すと女王陛下と共にその部屋の内部へと入った。
「この部屋がどうかしたか?」
 そこは何の変哲もない、ただの部屋だが――
「見てください、周りの部屋とは少し様相が違います――」
 周りの部屋は綺麗に整っているが、その部屋だけ生活感のある様相だった。
「誰かいたみたいだな、いなくなってからあんまり時間が経ってないようだ」
 スレアは観察しながらそう言った。すると、フラウディアは部屋の中にある机の引き出しを探し始めると、そこには――
「もぬけの殻だな」
 と、スレア、資料らしきものがいくらか入っていたようだがほぼ何も残されていなかった。しかし――
「これはなんでしょうか?」
 フラウディアはその机の一番下の引き出しを開けると、 引き出しの端っこの影に隠れて何かしらの電子部品的なものが入っていた。
「なんだこれは、リリアさんかヒュウガあたりに訊いてみないとわからないな」

 そうこう言っているうちにリオメイラ攻略もなんとか収束していくことになる。 クラウディアス軍の勝因としては敵対する本土軍の敵の数が圧倒的に少なく、 ほとんど奇襲攻撃みたいな感じなのであっけなく解決したのである。 だが、問題の司令官であるドズアーノが見つからず、それについてはどうにもならなかった。
 ひと段落してからというものの、リオメイラ女王ことメライナと、スレアとフラウディア、 そしてイールアーズとアーシェリス、フェリオースは謁見の間のほぼ中央に集まって話をしていた。
「あなた方のおかげで無事にリオメイラは解放されました、本当に感謝いたします」
「俺はただやるべきことをやっただけだ、気にしなくていい」
 イールアーズはそう言うとスレアは呆れ気味に言った。
「まったく、こいつはこれだから……。 リオメイラ女王陛下がこう言っているんだからここは素直に”とんでもございません”とか言っとくもんだ」
 イールアーズはそっぽむいているが、メライナは口に手を当てて笑っていた。
「ところで、本土軍の司令官の居場所に見当はございますか?」
 フェリオースはそう言うがメライナは首を横に振った。
「私はこちらのお二方にもお伝えの通り、 長期に渡って幽閉されていた身でして、リオメイラの今の状況ですらほとんど把握できておりません。 ですので、お力になれずに申し訳ないのですが――」
 そう言われたフェリオースとアーシェリスは少々がっかりしたような感じだった。
「ここまで来て、悪の権化に逃げられるなんて――」
 スレアが言った。
「なーに、逃げたんだったらそれはそれでいいさ、リオメイラからいなくなったんだったらそれで十分だろ?  そうは思わないか?」
 フラウディアは何やら考えていた。
「ですが、あのドズアーノのことです、ただ逃げただけというのは少し考えにくい気がします――」
 そんな話をしていると、入り口側からクラウディアスの一団が現れた。
「あれ? ヴァドス? どうしてお前が?」
 スレアがそいつに気が付いた。ヴァドスは答えた。
「クラウディアス王国としてリオメイラ女王陛下にあいさつしに来ただけだ。 当然、お前がいるからそのあたりは済んでいるとは思うけど、 残りの細かい話はとりあえず俺に任せてくれればいいさ」
 そう言いつつ、ヴァドスはメレイナにていねいに挨拶をし始めていた。 そんなヴァドスにスレアは訊いた。
「そうだ、お前がいるならラトラが来てないか? ちょっと訊きたいことがあるんだよな」