2人は台の上にそれぞれ座ると、フラウディアは話を続けた。
「嫌な思い出しかないとはいえ、それでもすごく懐かしいところですね。
ある意味、私の出世の足がかりとなった場所でもありますし、
その結果、みなさんやスレアさんと出会えた、皮肉なものですね――」
フラウディアは何かを悟ったかのような感じで言った。
「嫌な思い出か、それなのによくここに来ることを志願してくれたもんだな」
言われたフラウディアはにっこりとしていた。
「それにしてもここが懐かしいって言ったって地下牢だろ? そんなに懐かしいものなのか?」
スレアは疑問をぶつけるとフラウディアは答えた。
「とても懐かしいですね。
そもそもこの近代様式の地下牢は私が作らせたもので、
この拷問部屋も私が拷問に使っていましたからね――」
え、フラウディアがそんなに怖いことをこの部屋で!? スレアは驚いた。
するとフラウディアは――
「ごめんなさい、今の発言、やっぱり引きますよね?
でも事実なんです、夢魔妖女フラウディアがやってきたことであり、決して拭い去れない私の過去なんです。
だから私は――」
しかし、スレアはフラウディアに対して真正面から向き合った。
「俺はそんなキミを受け入れることにした。
過去と決別し、過ちを認め、俺たちと共に行こうというキミの意思を信じることにしたんだ。
ここに俺と一緒に来たのもそういうことなんだろ?」
フラウディアは嬉しそうに答えた。
「スレアさん……私、嬉しいです! やっぱりスレアさんが一緒にいてくれてよかったです! ありがとう!」
スレアは照れていた。
だが、拷問部屋という点についてはなんだか違和感を覚える部屋であるのは事実、
そんな意味では不気味な部屋、なんだか落ち着かない感じではあった。
そもそもフラウディアが鍵を持っていたことも気になる――
それについてフラウディアは説明した。
「私、案外忘れっぽいですからね。
リオメイラどころか、ほかの国の建物のカギとかもそのまま持ってて後で怒られたりなんてよくあることでしたからね。
特にリオメイラなんかは20~30個の鍵を持ったままここを出ていまして――
そもそもリオメイラを出た後でも私はリオメイラの女王様のつもりでいましたから返そうなどとは微塵も思っておらず、
今でもわざと10個ぐらいは無くしたことにして大事に持っていますね――」
リオメイラの任をいきなり解かれたことについてはあまり納得がいっていなかったフラウディアだった、
本土軍を抜けたこととは別に、今でもあまり納得していないところがあるらしい。
つまり、ある種の女の恨みというところか。
「納得がいってない? つまりはずっとリオメイラを支配していたかったのか?」
フラウディアは頷いた。
「だって、リオメイラの女王様ですよ!?
リオメイラの女王様はとても美人で、美で支配する存在だと言われていましたからそれはそれで私のあこがれでしたね。
さあ男たちよ、毎日この私の美しさにひれ伏し、そして毎日私の言うことを聞き続けなさい――
そんなのが私の日課であり、まさに快楽そのものでしたからね。
だけど――やっぱりベイダ・ゲナ的には女が支配する国というものが許せないらしく、
ある程度リオメイラへの侵略が済むと、私の役目もそれで終わりって感じでしたからね――」
フラウディアのその気持ちはわからないでもない気がしたスレアだった、
女が上に立つのが許せない……ベイダ・ゲナはそういうやつか――。
そんなこと言われると、本土軍の思惑とは別に夢魔妖女フラウディア様を応援したくなってきたスレアだった。
それにしても、拷問部屋とは言うが先ほどの拷問部屋のような血生臭さが一切ない部屋でもあった。
言ってもフラウディアがずっと封印していたことがあるのだろうが、
だけど――フラウディアがどういう拷問をしていたのだろうか、それはそれで気になるスレアだった。
「やっぱりムチで叩くのか?」
スレアは恐る恐る訊くとフラウディアは答えた。
「拷問方法ですか? それもありますけれどもね。
でも、白状させるのにもっと効果的な方法がありますから叩くということはほとんどしませんね」
叩かない? スレアは訊いた。
「拷問にそんな画期的な方法があるのか――」
「むしろシンプルですね。
もちろん望まれれば叩きますが、そうでなければほとんどそういったことはしません」
スレアは理解に苦しんだ、どういうことだ? するとフラウディアはスレアに訊いた。
「お知りになりたいのですか、私がどう拷問していたのかを――」
その時のフラウディアの様相は可愛らしい笑顔でにっこりとしているのだが、
彼女の周囲には怪しい空気が渦巻いていた、つまり――
「えっ、まさか――」
スレアは息を呑んだ。
「そう、そのまさかですわ、愛しのスレア様――ウフフフフ――」
フラウディアの服装は可愛らしい18禁なピンクのセーラー服姿となり、スレアを誘惑しにいった――
「これなら男の人は自ら進んで白状してくれますし、
女の人なら男の人を使うことで間接的に白状させていましたね――」
フラウディアはそう言いながらスレアに抱き着くと、
スレアはフラウディアを抱えたまま、そのまま台の上もとい、
ベッドの上にそのまま横たわり、フラウディアの色香を感じていた。
「どうですスレア様、私になんでもかんでもお話したくなってきたでしょう? ウフフフフ――」
スレアは自分に迫って誘惑してくるフラウディアに夢中になっていた。
「フラウディア――」
そして――フラウディアはスレアに拷問を開始した。
「うふふっ、じゃあ早速いろいろと教えてもらうわね。
クラウディアス王国騎士団の団長さんってどんな方?」
「それは――ちょっと頼りないラシルってやつで、既に嫁にもらうやつは決まっているんだ」
「ふふっ、そうなのね。じゃあ次はクラウディアス王国騎士団の副団長さんってどんな方なの?」
「それは俺のことだ――」
「そうなのね! もっと知りたいな、副団長さんのこと――」
「俺も知りたい、キミのことが――」
「うふふっ、私のことが知りたい?」
「知りたい、もっともっと知りたい――フラウディア、美しい、フラウディア、俺の女神様――夢魔妖女・女神フラウディア様――」
スレアは完全にフラウディアに夢中だった。だが、フラウディアも――
「スレア、私もあなたのことがもっと知りたい、だからあなたに私のことをもっと教えてあげたい――」
と、フラウディアはスレアの胸の中へと飛び込んでいった――。
「好きだ、フラウディア様、フラウディア様、フラウディア様――」
「スレア、スレア、スレア、スレア――」
そう、言うまでもないが、2人は完全にデキていた……冷房必要?