「えっ、ここはどこなの!?」
フラウディアは気が付くと、そこはとても綺麗な部屋で、そこそこに豪華なベッドの上に横たわっていたことに気が付かされた。
「そうだ、私、クラウディアスに来たんだっけ!
それで、エミーリア姫に会って、カスミちゃんに会って、それからお姉様と一緒に3階まで上がって、そして――」
フラウディアは思い出しながら独り言、ベッドの傍らには――
「おや、お気づきになられましたか?」
そこには魅惑の貴公子が!
「えっ!?」
フラウディアは再び驚くと、恥ずかしかったのか、とっさに掛布団で自分の姿を隠した。
「すみません、いきなり驚かせてしまいましたね、本当にすみません――」
必死に謝っている魅惑の貴公子、
フラウディアは布団の影からそっと魅惑の貴公子を覗くと――
「大丈夫ですよ、私は何もしませんから――」
フラウディアはすぐさま顔を隠してしまった。
「……参りましたね――」
魅惑の貴公子こと、シャナンは頭を掻きつつ悩んでいた。そこへ――
「どうしたの? やっぱり王子様のキッスで目覚めたのかしら?」
リリアリスが揶揄うように意地悪くそう言うとシャナンは全力否定した。
「違います! フラウディアさん自ら目覚められたのですが御覧の通りですので悩んでいただけです!」
「なんだ違うのか、つまんないな」
ヒュウガも揶揄っていた。
「ヒュウガさんも勘弁してくださいよ――」
リリアリスは得意げに言った。
「でも、確かにシャナンの顔じゃあ女の子が卒倒するのも無理はないわね。
見て御覧なさいよ、そこの女性陣もあなたから全然目を離さないからね♪」
リリアリスはそう得意げに言った。
まさかそんな――シャナンは振り返ったがリリアリスの言った通りだったためシャナンは至極驚いていた。
てか、リリアリスも何気にじっと見ていた。
「ごめんなさいねシャナン様♪
でも、こうしてお近づきになれただけでも私は十分うれしゅうございますわ――」
ラミキュリアはにこにこしていた。
「私もシャナン様がご褒美って言われたらなんでもするわね♪」
フロレンティーナも楽しそうだった。
「シャナンさん! またたくさんお話しようね!」
「シャナンさん♪ デートしよ♪」
ユーシェリアもシェルシェルも可愛げにしていた。
「シャナン、後で抱っこする。今でも可」
カスミもどことなく楽し気にそう言った。
「ほーらね、言ったでしょ?
なんだったら私のこと、またお姫様抱っこしてくれてもいいのよ♪」
と、リリアリスはまた得意げに楽しそうに言った。
まっ、”また”って!? こんな好条件の物件を相手になんて贅沢なことをしているんだこの女!
リリアリスのその発言を受けて女性陣はさらに大盛り上がり、シャナンはとても困り果てていた。
どうしよう――振り向くと、そこにはこっそりとシャナンを見つめている女性が――また隠れてしまった。
「わ、私は別にそう言うつもりでは――」
するとフラウディア、これまで笑いをこらえていたようでとうとう我慢できず、声を上げて笑っていた。
「フ、フラウディア――さん?」
「あははははっ! シャナンさんって素敵だけど面白い方ですね!
”蒼眼のシャナン”って言われている方だから武骨なのかな……なんて思いましたが、
意外と気さくな方でとても嬉しいです! だから、その――とにかくごめんなさい!」
フラウディアはちゃんと謝るとシャナンは言った。
「あっ、いえ、そんな、いいんですよ!
確かに、昔の大戦の戦士なんていうのはそういう方が多いイメージですからね。
でも、実際にはそんなことはないんです、特に私なんかは――」
とにかく、なんとか打ち解けたようで何よりであった。
シャナンのところで長く時間をとったが4階に進むことにした。そこには――
「あれ、エミーリア姫? ちょっとイメージが違うような――」
と、フラウディア。
そこにはエミーリアによく似た女性がベランダから下を眺めて何かをしていた。
「そこそこ! そこも! そこもだよ!」
何をしているのだろうか、隣のベランダから彼女が見ている下のほうを眺めていると、
何やら壁に這いつくばって作業をしている人達がいた。
その様子は外からもちらっと見られたのだが何をしているのだろうか。
すると、そのエミーリア似の女性のもとへ白衣を着た男が近づいてきた。
「どう? 確認できた?」
「ううん、全然。
もうちょっと改良を加えた方がいいんじゃないの?
もしくはお姉様と相談するとかね!」
「そっ、そうか――うーん、作りはあっているハズなんだけどな――」
そんなやり取りをしている中へリリアリスが得意げに訊いた。
「なーにを相談したいのかなー?」
その声に2人は即座に反応した。
「リリア姉様!」
「リリアさん!」
女と男の2人は声をそろえて言った。
「あ、いや実はですね――」
男は事情を説明するとリリアリスはすぐさま納得、そして――
「これ自身に問題があるようには見えないけど。」
男が持っていた機械をヒュウガに手渡した。
「んだよ、答えわかってるクセに俺に押し付けんのか。
まあいい、久しぶりにクラウディアスに貢献するか」
と、態度を改めていた。
「確かにどこも問題なさそうだということは……それ以外に問題があるってことだよな?」
男にそう言い聞かせるように言った、どこに問題があるのだろうか――男は悩んでいると、
「ヒント1。それ、動力何?」
リリアリスが言うとヒュウガが言った。
「ヒント2。外部からのエーテル……つまり魔法エネルギーが動力なのはわかってるだろ?
で、そのエーテルはどうやって吸収する?」
すると、男ははっとしながら言った。
「そういうことか! しまった――確かに、吸収材がなんなのかを忘れていました!」
それに対して女は男に訊いた。
「えっ? でも、吸収材は入れたんじゃないの!?
だって、以前はうまくいってたじゃん!?」
確かにどうしてだったのだろうか、男は少し考えていると、
「その日がたまたま雨の日だったんじゃないの?」
リリアリスがそう言った。
「そうだ! 吸収材は水魔法用のまま変えるのを忘れていたんだ!
確かに言われてみればあの日は大嵐だった! 結構ジメっとした日だったよね、そのせいか――」
「あぁ……そう言えばそうだったわね、
私も材料集めたり作ったりしていい気になってたからそのあたり全然考えてなかったわ。
水魔法用のやつは簡単に作れるけど、言われてみれば水気がないことには動かないんだもんね――」
その男と女は悩んでいた。
「それはそうと、2人で何をしていたんだ?」
今度はティレックスが訊いてきた。
「あれっ、ティレックス? 久しぶりだな!」
「あら本当! ユーシィもシェルシェルも久しぶり!」
男と女はそれぞれ親しそうにそう言うとリリアリスが促した。
「ほーら、それよりも初見さんよ。」
えっ、そうだったのか!? 2人は慌てつつも初見さんの前に並んであいさつした。
「ご、ごめんね! 私はレミーネア、多分、もう会っていると思うけれどもエミーリアの双子の姉よ!」
「僕はラトラ=グレワーズです、以後、お見知りおきを!」
初見3人組もそれぞれ丁寧にあいさつをし返した。
「作業中にゴメンね。ま、とりあえず頑張って頂戴な。」
リリアリスが2人にそう言うとその場を軽く済ませた2人は足早に去っていった。
「で、何してたんだろ、あの2人――」
ティレックスがそう言うとヒュウガが答えた。
「見たところ、測量ガンの類だな――距離でも測ってたんじゃないのか?」
リリアリスは頷いた。
「そう言えばそうね、新たな施設を増設する予定を打ち出したんだけど、下調べしてたのね。
で、そん時にいざ下を見てみたら城壁の老朽化が目立っちゃったから急遽補修工事も行うことにしたそう言うことじゃないの?
現に私もそういうふうに指示してたからね。」
全部あんたの計画かよ。