今度はお城の食堂へとやってきた。
「ここがある意味、謁見の間みたいなところね。」
リリアリスがそう言うと厨房から女の子がやってきた、可愛いドレスエプロン姿のエミーリア姫だった。
「あっ! お姉様! ユーシィとティレックスさん、それにシェルシェルとヒュウガさんまで来てくださったのですね!
お久しぶりです!」
その姿にやっぱり初見の3人組は圧倒されていた、
これがこの国の女王陛下なのか、どこからどう見てもどこにでもいそうな等身大の女の子でしかなかった、
まさに庶民派の元国王陛下リアスティンが生んだ庶民派の女王陛下といった感じである。
「えっ、この娘がエミーリア姫!?」
先ほどのリリアリスの説明通り、彼女は女王陛下ではあるものの、みんなからは”姫”の愛称で親しまれているのである。
「そうです! みなさん初めまして! それと、あなたがラミキュリアさんですね!
噂はお姉様からよーく伺っています! でも、ラミキュリアさんに限らず、みなさんお綺麗な方ですね!」
そう言われた初見3人組はみんな照れていた。すると、姫に対してヒュウガが訊いた。
「ところで、相変わらずお菓子作りしてんのか」
エミーリアは可愛く答えた。
「そうでーす♪ 今回はお姉様から作ってもらったフルーツタルトのレシピを実践してまーす♪
みなさんの分も作りますから楽しみにしていてくださいね♪」
するとヒュウガは女王陛下に対して注文を付けた。
「そうか、んじゃあ甘さ控えめで頼む」
エミーリアは可愛げで得意げに答えた。
「はーい、お任せくださいな♪ 男の子たちは甘いものが苦手でーす♪」
一国の主にしてはなかなか憎めない子であった。
「なるほど、だから女王陛下でなくて姫様なのね――」
ラミキュリアは彼女を見ながらそう言う。
「だね! お姫様って可愛いですね!」
フラウディアは楽しそうに言うとエミーリアは気さくに答えた。
「うふふっ、嬉しいな! ありがとうフラウディアさん! フラウディアさんも可愛いです!」
「嬉しい! 私はフラウディアでいいよ! お姫様!」
「私もエミーリアでいいよ! 仲良くしようね!」
距離は一瞬にして短くなった。
そして、今度はお城の庭園となっている横庭へとやってきた。
天井こそあるけれども2階までは吹き抜けで、1/3ぐらいは青空が見えていた。
そんな横庭には――
「ここが大体みんながいる場所だけど――」
リリアリスはそう言いながら庭園のほうを促した、その庭園の奥には離れのような建物がある。
すると、そこから一人の女の子が現れた。
「ほら、いたわね。さあ、こっちにおいで!」
リリアリスが楽しそうに言うとその女の子は足早にやってきて、
リリアリスの胸の中に飛び込んできた。
「来た来た♪ ああんもー、この娘ったらなんて可愛いのかしらんもう!」
リリアリスはとても嬉しそうに悶えるような感じだった。
「ほんと! 可愛いですよねカスミちゃんって! お姉様! 次は私の番ですからね!」
「私も! 私もー!」
と、ユーシェリアとシェルシェルが言うと、フラウディアたちは首をかしげていた。
その娘が姿を現したのは一瞬の出来事だったので、きちんと把握していなかったようだ。すると――
「にゅ?」
カスミはそう言いつつリリアリスの身体から少し身を乗り出し、初見3人組をまじまじと見つめていた。
そんな女の子の見た目に対して初見3人組には衝撃が走った――
「あらあらまあ――、カスミんの興味があなたたちに向いたようね。うふふっ、いいわよ、抱いてみる?」
リリアリスはその娘をフラウディアの目の前に降ろすと、カスミは――
「抱いてみる?」
不思議そうにそう言った。
「抱いてみなよ!」
「早く早く!」
ユーシェリアとシェルシェルがそれぞれ言うのでフラウディアはカスミのほうへと向き直ると――
「抱っこ――」
カスミは両手を広げ、虚ろな目で抱っこをせがんできた。その姿に対してフラウディアは――
「なにこの娘! すっごく……すっごくかわいい! なんてかわいいの!」
フラウディアはカスミを抱きかかえながら悶えるような感じでとっても嬉しそうだった。
「なんなのこの娘――最高じゃない♪」
「この娘が噂のカスミさんなのですね! 本当に可愛いですね――」
さらに今度はフロレンティーナ、そしてラミキュリアも彼女を抱っこすると、彼女らの心もまた完全にカスミに持っていかれていた。
「やっぱり可愛いなぁ、カスミちゃんって本当にお人形さんみたいですね――」
「カスミちゃんみたいな妹が欲しいなぁ……」
ユーシェリアとシェルシェルの心も例外なくがっつり奪われていた。そんな中、ティレックスが――
「あのー、確かその娘って幻獣だった気が――」
つまり、見た目とは裏腹に相応に年を食っているのである。それに対してリリアリスが――
「そうそう、可愛くて強くて可愛すぎる、おまけに可愛すぎる。
しかも可愛くてついでに可愛いし、とにかく可愛い……
無条件で可愛いという感想しかでてこないところがこの娘の持ちうる最高のポテンシャルなんじゃないの♪」
嬉しそうに答えた。それに対してヒュウガはティレックスの肩を叩いて言った。
「何を言ったところでどうなるわけでもないんだから気が済むまでさせておけばいいんだよ」
「でも、そうなるとしばらくここから離れないような気が――」
「諦めるんだ。そもそもここに来る手前、こういうことになるのは頭に入れておけ。
それならそれである程度覚悟もできる、諦めるっていう覚悟がな」
ヒュウガは頭を抱えていた、そう言われてティレックスも仕方なく素直に言う通りにすることにした。
そんな男2人を他所に女性陣はカスミを愛でていた。
そのカスミと言えば女性陣一人ずつ確認しながら呟いていた。
「胸大きいお姉ちゃん(リリアリス)、胸大きいお姉ちゃん(フロレンティーナ)、
胸大きいお姉ちゃん(フラウディア)と胸大きいお姉ちゃん(シェルシェル)と胸大きいお姉ちゃん(ラミキュリア)、
そして胸大きいお姉ちゃん(ユーシェリア)……私も胸大きい方。
でもエミーリアまな板姫。TTPP(つるつるぺったんこプリンセス)」
締めはいつもの。エミーリアの悩みは尽きない。