1つ目のPVはおねーさんが”ブレイブ・ネメシス”を”兵器”に宿してビームサーベルにしたそれで敵を倒している光景であった。
PVのロケ地と戦っている相手を見ると、これは間違いなくクラウディアス南西部、
フェラントの西側でセラフィック・ランド消滅事件に際して飛来してきた魔物を対象としているようだが、
こんなのいつどうやって撮ったのだろうか、謎は尽きない。
さらに、最後のおねーさんへのカットイン以降は後で付け足された脚色であり、
ロケ地はまた違う場所だがクラウディアス内で中央の平原部であることは確かなようだ。
そしてその時、妖魔2名がそのPVに圧倒されながらも1つの疑問が生まれていたのである。
それについては後程。
そして、時間はちょうどよく中休みへと突入。
ちなみに講堂内は中休み中はおねーさんをはじめとする一部の人以外は退席してもらうことになっている、
それはおねーさんの要望だかららしい、何故かというと――
「リリアさん、今回はなんだか大勢つれてきたんですね!」
知り合い同士水入らずの話をする場を設けたかったのと、
大人数入る講堂で実演を交えての講義のため、空気を入れ替えたいという理由らしい。
ということで、しばらくルーティスでお世話になっている知り合いのシオラとリリアリスが話をしていた。
「誰かな?」
2人で話をしているところに対してフラウディアがそう訊くとフロレンティーナが言った。
「リリアっていろんなところに知り合いがいるみたいね。
特にさっきの資料映像? 一緒に出てたあの人となんだかとても仲良さそうだったし――」
その2人に対してヒュウガが言った。
「あの女はシオラって人だな。
その人の線で言うとグレート・グランド大陸にあるティルアってとこの連中ともパイプがあるしな」
ティルア? そう言われてフラウディアは思い出した。
「ティルアといえばクラフォードさんという人がいるんですよね?
確かガレア排斥の時にアール将軍様がお話しされていた方だったハズですが――」
よく覚えているな、ヒュウガは感心していた。
リリアリスはシオラにそれぞれ紹介し始めた。
「このカワイイ子がフラウディア=エスハイネでこのスタイル抜群のミステリアスな女がフロレンティーナ=ストラルーチェ、
この色っぽいイイ女がラミキュリア=クアルンキャッツでこの天使みたいな子がシェルシェル=ラクシュータって言うのよ。」
言われた4人とシオラはお互いに「初めまして!」とそれぞれ挨拶していた。
「あと、知っての通りこのカワユイ子がユーシェリア=グレイスティーンで、
あとはその他大勢だから以下略ってことで。」
「お久しぶりです!」
ユーシェリアはにっこりとしながらと答えると、
「どーも、毎度お馴染みのその他大勢っす」
と、ヒュウガがテキトーに答えたため、
「以下略です」
ティレックスもその流れでテキトーに答えた。
シオラもその3人に対してきちんと挨拶していた。
シオラは以前に渡されたミスリル繊維の布切れで綺麗に髪をまとめて縛り、
そして綺麗なリボンで結わえていたためフラウディアが羨ましそうに眺めていた。
それに対してシオラは優しそうにフラウディアに促すと、
「あの、できれば頭に大きなリボンをつけてもらえたら嬉しいなぁ――」
フラウディアはそうリクエストした。
「リボンカチューシャ風ですか? いいですね! 多分似合うと思います!
そしたら赤い色のほうがいいかもしれませんね――」
すると、その繊維はなんと、ミスリル銀の色から赤い色へと変わった!
「えっ!? あれって色変わるの!?」
フロレンティーナはそう訊くとリリアリスが頷いた。
「ええ、見てのとおりね。
そのカラクリは”ピュリファイド・ストーン”……エンチャント素材ね、
それの性質を利用すれば、魔法の力を加えるだけで色が変えられるのよ。」
それを試してみると――
「あらほんと♪ 面白いわねコレ!」
布の色は綺麗な紫色へと変化した!
「すごい素敵な紫色ですね! いいな――」
シオラが羨ましそうにそう言った――どういうことだろう、自分で変えられないのだろうか。
「人の魔力の性質にはそれぞれある通り、出したい色の得手不得手があるから、
自分で出せない色は他人に入れてもらうのが正解ね。」
なるほど、そういうことか、フロレンティーナはそう思った。そこへラミキュリア、
「あの、魔法の入れ方次第でデザインスカーフみたいなことってできません?」
リリアリスは答えた。
「さっすがオシャレ番長、いい所に目を付けたわね! 試しにやってみたら?」
そう言われ、ラミキュリアは意を決して試してみることにした、すると――
「難しいですね、なんだかぐちゃぐちゃになってしまいました――」
それはなんとも形容しがたい色へと変わっていた――
「そうね、そういうことするにはちょっとコツがいるからね。
確実にやるのなら地道に絵を描くような感じでやるのがいいかしらね。」
すると、リリアリスはラミキュリアのスカーフを手に取りつつラミキュリアの髪を縛り始めた。
「まったく、こんなに素敵な髪色しているんだからそれ以上を求めなくたっていいでしょ、贅沢ね。」
と、得意げにそう言うと、スカーフの色はラミキュリアの髪色、
ヴァイオレット・カラーに銀のラメのような光沢が入ったものへと変わった!
「ほーら、ちょっとしたトリックヘアー。一見すると全部髪の毛にしか見えないわね。」
よくあるリボンヘアーの類のものであるが、シオラと同じように髪を縛ってリボンで結わえているだけである。
「まあ! 確かにこれはこれで素敵ですね! こんなことまでできるなんて面白いです♪」
ラミキュリアは手持ちの鏡を見ながら嬉しそうにしていた。
「で、でも、ちょっと形が変わってない?」
フロレンティーナはそう言うと、リリアリスはシェルシェルのスカーフを手に取って言った。
「ええ、魔力を込めることで形を変えることもできるわね、例えば――」
そしたらなんと、シェルシェルのスカーフの一部が、神秘的なアゲハ蝶のブローチのような形へと変化した!
「すごい! こんな風に変わるんだ!」
シェルシェルがそう言うと、リリアリスはシェルシェルの髪の毛に結わえていた。
アゲハ蝶がちょうど後頭部に止まっているかのような感じになった。
「あらヤダ、シェルシェルったら! いつの間にか蝶々まで自分の下僕にしちゃったのね♪」
リリアリスはそう言うと、
シェルシェルは少し照れたような可愛げなポーズをしながら嬉しそうに「うふっ♥」と言った、
気分はまさにアゲアゲである。
そして、リリアリスはフロレンティーナのスカーフを手に取って言った。
「ええ、さらにこんなことまで――」
そしたらなんと、フロレンティーナのスカーフが花嫁の髪を飾るような長くて素敵な花飾りへと変貌していった。
それをフロレンティーナの髪の毛に――
「プリズム族だったかラミア族だったか忘れたけど、
一部地域の妖魔の女はこんな髪飾りをつけて自らをアピールしていたそうよ。
一番派手な髪飾りの女ほどマウントが取れるらしいわ。
まさにあなたにピッタリだと思うんだけどね。」
ていねいに装着していると、そこにはどこの女神様ですかと言わんばかりの素敵な女性が表れた。
「すごいです! フロレンティーナさん、すごく素敵ですね!」
ラミキュリアは楽しそうに言うと、フロレンティーナは自分の姿を鏡で確認していた――なんだかうっとりしているようだった。
「やだ♪ なんかとっても素敵じゃないの♪ 私、これにするわ♪」
そんな様子をみながらリリアリスは得意げだった。するとシオラ、
「でも、フラウディアさんはこのままでいいかもしれませんね。
とりあえず、一本だけラインを入れておきますよ♪」
そして、フラウディアの頭には可愛らしい大きなリボンが付いた、シンプルそのものだが――
「わぁ♪ これ、すっごくカワイイ! 私これ好きー♪」
可愛らしいその姿、フラウディアは喜んでいた。