ある日のこと、ティレックスはリファリウスに将軍の執務室へと呼び出された。
すると、そいつの右手にはフラウディアが収まっていた。
さらに左手にはフロレンティーナが収まっていて、完全に両手に華、
そして彼女の隣にはラミキュリアが彼女と何か話をしていて、
フラウディアの隣にはユーシェリアとシェルシェルが――もはやハーレムである。
「あのさ、なんか急に女性だらけの部屋になってきたようだな……」
ティレックスはその部屋の光景にあっけに取られていた。それに対し、リファリウスは――
「確かにそうだね。でも、こんな女性部屋に男が入ってくるだなんて、キミは一体どういうつもりなのかな?」
それに対し、ティレックスは「テメーも男だろ――」と言わずにはいられなかったが、
いつものことながら別に大した返事がくるような感じがしないので、呆れた様子のまま言うのを諦めた。
「そんなことより、用って何?」
ティレックスは本題を切り出した。
すると、リファリウスは紙切れ一枚渡しただけで、その場からいきなり離脱、後ろの窓から飛び降り、去ってしまった。
「おい、なんだよそれ――呼び出しといてそれで終わりかよ――」
ティレックスは頭を抱えながらそう呟いていた。
そこへ、ユーシェリアがティレックスに訊いた。
「それより、なんて書いてあるの、ティレックス?」
ティレックスはユーシェリアに言われた通り、渡された紙切れに書いてある内容を読んだ。
読む前に驚かされたのは、リファリウスの書いた字が案外綺麗な字であること、イメージになかったので圧倒されていた。
「アルディアスのルダトーラ南西部にそこの女性陣を全員連れて集合?」
すると、そこにいた女性陣は全員ティレックスに食いつき始めた。
「わーい! ティレックスー! 早くいこ!」
まずはユーシェリアが可愛げな態度でティレックスの左腕をつかみ、楽しそうにそう言った。
しかし、ここから――
「うふふっ、このお姉さんがボウヤのことをたっぷりと可愛がってあげるわ♥」
綺麗なお姉さんなフロレンティーナは妖艶な面持ちでティレックスに急接近、
妖艶なボディをティレックスに近づけながら右側から頭を優しく撫でながらそう言うと、
ティレックスはドキドキしていた。
「うふふっ、ティレックスさん、今からあなたのことを幸せにしてア・ゲ・ル♥」
可愛さ全開のフラウディアはティレックスの後ろからべったりとくっついてきて、
ティレックスの耳元に向かって可愛げな声色でそう囁くと、ティレックスはまたドキドキしていた。
「そういうわけですからティレックスさん、よろしくお願いいたしますわ♪」
如何にも色っぽい大人のお姉さんなラミキュリアはセクシーな様相でティレックスに向かってウインクをキメると、
ティレックスはやっぱりドキドキしていた。
「わーい♪ ティレックスさーん♪ 私とデートしましょ♪」
最後に可愛らしくシェルシェルが、そして楽しそうにティレックスの後ろからべったりとくっついてねだるようにそう言うと、
ティレックスは当然のごとくドキドキしていた。
「あははっ! ティレックス、ハーレムだー!」
そしてユーシェリアがティレックスの左腕をつかんだまま楽しそうにはしゃいでいた。
同じように、ほかの女性も楽しそうにはしゃいでいると、
ティレックスはドキドキしながらも、その顔は引きつっていた。
「お、俺がこのメンツをまとめるのは無理だ――」
リファリウスはこの女性陣をどうまとめているのか不思議に思っていたティレックスだった、
ユーシェリア以外は全員妖魔の女性――
そんなこんなでティレックスたちは言われた通りの場所へと向かうため執務室から出ると、
そこにはエイジこと、ヒュウガにばったりと出くわした。
「あれ? リファリウスは?」
ティレックスが答えた。
「あいつはいないよ、急にどこかに消えた」
それに対し、ヒュウガは「ふーん」とだけ答えると、ティレックスはどうしたのか訊いた。
するとヒュウガ、ティレックスが取り巻いているメンバーを見ながら冷ややかな目で答えた。
「なるほどな、そういうことか――」
何がなるほどなんだ、ティレックスは少しもんくあり気にヒュウガに訊くと、
「何って――夕べは”お楽しみ”でしたかぁー?」
ヒュウガはティレックスをおちょくるように楽しそうにそう言った。
それに対し、ティレックスは当然驚きながら言ってきた。
「はぁ!? そんなわけないだろー!? なんでそうなるんだー!?」
だが、しかし――
「あらティレックスったら、そんなに照れちゃって可愛いじゃなぁい♥」
と、フロレンティーナが調子に乗ってティレックスの右脇にくっつきながら色っぽくそう言うと、
ティレックスはドキっとした。
そして、それに便乗してユーシェリアもティレックスの左脇に――
「うふっ♪ ティレックス♪ 明日もたくさん楽しいことしようね♪」
と、くっつきながら可愛げにそう言うと、やはりティレックスはドキっとした、
ユーシィ、お前まで――ティレックスはそう思わずにいられなかった。
そんなことで、ティレックスはもはやどうしていいのかわからず、頭の中がパニックになっていた。
ところが、そんなティレックスを前にしているヒュウガも、彼女らの餌食に――
「うふふっ、ヒュウガ様ったら意地の悪い人ですねぇ♪
ティレックスさんが羨ましいんだったらそう言えばいいじゃないですか♪」
と、フラウディアはヒュウガの右脇にくっつき、可愛げにそう言うと、ヒュウガはビクっとしていた。
「そうですよヒュウガ様、あなた様が望むのでしたらこのラミキュリア、いつでも覚悟ができておりますわ――」
ラミキュリアもヒュウガ様の左脇に収まると、ヒュウガの耳元でそう囁いた――
「うふふっ、ヒュウガ様♪ 今夜はたくさん楽しいことをしましょうね♥」
さらに追い打ちをかけるかの如く、シェルシェルもヒュウガの背後からぺったりとくっつきながら耳元でそう囁いた。
そんなこんなで完全に骨抜きになっている男2人は女5人に連れられ、
本部のすぐ外にあるガレア軍の輸送車へと連れられて行った。
「……波乱の予感しかしないと思ったんだ、俺は――」
ヒュウガは半ば後悔しているような表情だった。
そしてティレックスは、改めてリファリウスはこの女性陣をどうまとめているのか不思議でならなかった――
輸送車が少し走ると、いきなり止まった。すると、車の扉が開き、そこにも女がいた。
「よっ、あんたたち! こんな密室の中に女5人に対して男2人なんて贅沢ね!」
それに対し、ティレックスは「やめろ」と一言だけ言った。
その女はリリアリスだった、そして、輸送車に搭乗――
「うふふっ、これで女6人ね! さぁってっと、どっちの子から可愛がってあげようかしらぁん♪」
リリアリスは調子に乗ってそう言うと、ヒュウガはやっぱり、
「だから、やめろってば」
と、頭を片手で抱えながら言った。
「なぁんだ、つまんないノ★」
リリアリスは可愛げにそう言うと、ヒュウガは頭を右手で抱えて呆れていた。
とにかく、男2人の悩みは尽きない。