エンドレス・ロード ~ティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド~

エクスフォス・ストーリー 第3部 決着へ 第5章 深みへ

第60節 裏切り

 さらに建物内を進んでいくと、謁見の間らしき場所へとやってきた。 その場には、エクスフォスが横たわっていた――
「あの人は確か、ザンデルさんじゃないのか?」
 ラクシスは驚きながらそう言った。ザンデルとは、エネアルドの権力者の一員だが、なんでこんなところに? しかも――
「既に事切れてる――」
 ラクシスは状態を確認してそう言った、すでに遺体となっていた。 それに、そもそもこの人がここにいるということは、もしかして――
「エネアルド政府に、”エクスフォス・ガラディウシス”に通じているやつがいるという話、まさか――」
 アーシェリスは内心驚きながらそう言うと、フェリオースも言った。
「どうだろうか、俺はガラディウシスに加担していたとはいえ、連中の内情については把握していないんだ。 だからザンデルについても知っているわけではないけれども――ザンデルがガラディウシスなのかどうかは何とも言えないな――」

 ザンデルだけでなく、ほかにも何人かのエクスフォスがその場に倒れていた。その中で――
「おい、こいつ、生きているぞ!」
 ティレックスはそう叫ぶと、アーシェリスらはその場へと駆け付けた。 そいつはなんと顔見知りであり、かつては共に旅をした仲間だった――
「ガーティ!? 何故ここに!?」
 ガーティは返事をした。
「へへっ、いろいろとあってね。実は、もう何人かで来ているんだ。 アーシェリスたちみんな、こっそりと何やらやっているなと思って駆け付けてきたんだけど、無茶だったかな――」
 無茶も無茶だ! もういい、話をしなくていい! このままだと――
「いや、どのみち、この傷では助からない。 だから、言っておきたいことがある、ブリンダに気を付けるんだ――」
 ガーティはそのまま意識を失った――しっかりするんだ!

 しかしながら、敵地の中で悲しんでいる暇もなさそうで、一行は先を急ぐことにした、悲しむのは後だ。
「ブリンダはエクスフォスの戦士団の一員だ。あいつもガラディウシスということなのか!?」
 アーシェリスはガーティが言っていたブリンダについて話をした。 そう言うと、フェリオースは頷きながら言った。
「どうだろか、可能性はなくはないけれども、ガーティが言うんじゃあそうかもしれないな。 ただ、俺としては、探すべきやつはわかっているつもりだ、そいつの名は――」
 名を聞くと、アーシェリスらは驚いた。 名はテツ、姓はサトウ――ユイの父親だった。まさか、彼が――
「信じたくはないが、俺に姉貴の存在を教え、ここに連れてきたのもテツだ。 だから、俺はやつを――」
 と、フェリオースは続けた。どうやら、避けては通れないらしい。

 建物内の内部構造は滅茶苦茶なので、もはやどこを進んでいるのかがわかりにくいけれども、 なんとか上の階層に通じる階段が確認できると、さらに先へと進んでいった。すると、そこに――
「あれはラスナ先生では!?」
 今度は学校の先生に出くわした。そして、その場にはほかに――
「テツとブリンダだ!」
 まさかの疑わしき人物たちであった。
「あれ? アーシェリスとフェリオース、それから――」
 と、ラスナが言うと、アーシェリスが遮って言い放った。
「先生!? どういうことです? 何故先生がここにいるんです?  何故その2人と一緒にここにいるんです?」
 ラスナは質問に対し、何かうろたえている様子だった。混乱しているようだ。
「テツ! 姉貴はこの通り助け出した! もう、俺は思い通りにはならないぞ!」
 フェリオースは堂々とそう言い放つと、ブリンダが言った。
「テツ!? まさか、あなたまで、ガラディウシスに荷担しているというの!?」
 それに対してテツは――
「なっ!? そんなことは――」
 すると、ラスナが答えた。
「そうか、ガーティはブリンダに注意しろと言ったのだな?」
 他の2人が声を上げて話をしている中、ラクシスと話をしていたようだ。
「俺は、先生を信じます」
 すると、ラスナは頷き、ブリンダのほうを向いて話し始めた。
「ブリンダ、あんたが犯人だったのか」
 ブリンダは焦って答えた。
「なっ、何を言っているのラスナ、そんなわけ――」
「ユイが誘拐されたって聞いたのはあんたの口からだよ」
「私を疑うっていうの!?」
 しかし、疑わざるを得なかった、ガーティはブリンダの技でやられていた様子だったし。だから――
「あんたがやったかどうか、後で調べればわかることなんだよ。 それに、テツはユイが誘拐されたため、やつらに加担せざるを得なかった、違うかい?」
 ということはつまり――
「テツも俺と同じ?」
 フェリオースはそう言った。すると、ブリンダは突然、自らの技を発動させ、ラスナに襲いかかった!
「バレちゃあ仕方がないわねぇ! そうよ、すべては私の仕業よ!  アッハハハハハ! さあ、後悔するんだったらあの世でしな!」
 激しい攻撃に対し、ラスナは右手から発せられる魔法でなんとか受け止めていた。 すると、彼女の前にテツが立ちはだかった!
「おい! だったら俺の娘はどうしたんだ!」
「あん? ああ、あんたの娘か。そんなこと知らないわよ、多分、もう死んでんじゃないの?」
「なんだと!? 貴様ぁ!」
 テツはぶちギレてブリンダに攻撃を仕掛けた。そして――
「こいつは私が引き受ける! だから、キミらは先へ行くんだ!」
 テツはほかのメンバーにそう促した。
「行かせねえよ! テメエらまとめて仲良くあの世に送ってやるって決めてんだ、私の許可なしに勝手なコトすんじゃねーよ!」
「黙れ! 貴様は俺の娘を誘拐し、殺した! 貴様のようなやつは許してはおかん!」
 テツは怒り心頭だった。当たり前ながら、自分の娘が酷い目に合わされればそうなるのは当然のことである。
 そして、彼の言うとおりその場は任せ、先を急いだ。