エンドレス・ロード ~プレリュード~

遥かなる旅路・天使の舞 第2部 高みへ 第3章 さらなる高みを目指して

第45節 それぞれの戦い

 プリシラとラミキュリアの合体魔法の後、ディアナ様の軍勢はザワールの軍勢に向かって突撃した。
「ねえディアナ、二か所で大魔法を使って、発動地点は割り出されないのかな?」
 と、進撃しながらレナシエルは訊いてきた。
「2人の使った魔法はいずれも打ち出し型でなくて局所発動型だから、発動地点を割り出すのに時間はかかる。 まあ、その前に奇襲をかけてしまえば割り出したとてムダなことだから気にするほどのものでもないと思うけどね」
 と、ディアナは言った。 魔法の発動地点を割り出すには弾道分析ならぬ”魔法道分析”というのがあり、 打ち出し型というのはその通り、銃や弓矢のように打ち出した箇所から一定の軌道を描いて発動場所を割り出すという、 まさに弾道分析そのものである。 対して、局所発動型は特定の範囲にピンポイントで発動するもので、 弾道分析みたいな方法で割り出せない分発動地点が割り出しにくく、やろうと思ってもなかなか時間がかかる工程となる。
「そっか! そうだもんね! それに、みんな強いハズだから心配ないよね!」
「そうさ、エレイアは絶対に私から離れるなよ!」
「うん! ディアナとずっと一緒にいる!」

 ディアナ様の軍勢はザワールの軍勢に到達し、そのまま戦闘を繰り広げることになった。
 ディアナ様の下僕は、女神様のためならと、 血の気が多い上に女神萌えな有志だらけだったので、好きにやらせたという。
 そしてひとり、また一人と敵を倒し、敵の群れを撃破していった。
「まったく、つくづく懲りない連中だな」
 そして、ディアナ様がとうとうザワール相手に自分の剣を突きつけるまでに至った。
「なっ、なんなんだ、この女は!」
 ザワール側もいきなりこのような奇襲に遭遇し、驚いたことだろう。
「私はお前が目の敵にしている例の種族だ、覚悟するといい――」
 しかし、いきなりそんなことを言われても、ザワールには何が何だかわからなかった。
「何を覚悟するかはわからんが、覚悟するべきなのはお前のほうだ!」
 すると、ディアナ様の後ろから手下がたくさん現れた。だが、上空には雷鳴が――
「三下には用はない、おとなしくしていてもらおう――」
 その魔法はレナシエルとの合体魔法で、
「散れ――」
 手下たちは一掃された。
「さて、後はお前だけ――」
「むむっ、こやつめ――」
 ディアナ様は再びザワール相手に自分の剣を突きつけた。すると、ザワールも剣を構えた。

 ガレアの軍勢もエイジャルの陣に突撃し、 リュミーアは次から次へと風魔法をどんどん打ち込んでいた。
「ほらほらほら~、どうしたのさ、数の暴力による威勢のよさが見えないゾ~♪」
 リュミーアはさらにどんどん打ち込んでいった。 その間にガレアの兵士たちとプリズム族の勇士たちが、全員そろって突撃した。
「ねぇシェルシェル、ジェレイナとシェミルと一緒に正面をお願いね。」
 そういうと、シェルシェルは訊いた。
「分かった!」
 それに対しララーナが疑問に思っていると、リュミーアは言った。
「ジェレイナの防御の指揮とシェミルのカウンターパンチの指揮に対してシェルシェルの支援という3段構えが分厚い構成なのよ、うちの軍はね。 あれならエイジャル軍の正面からの攻撃を返り討ちにできるわね。」
 ララーナは納得しながら答えた。
「そうなんですね! 本当にうちの娘と仲良くしていただいて―― あなたにはすごく感謝していますわ!」
 それに対し、リュミーアは少し照れた様子で「それほどでも――」と小声で言った。
「それでは、私はどうしましょうか?」
 ララーナが訊くとリュミーアは答えた。
「”プリズム・ロード”と呼ばれたお母様の腕を見込んで、 私とヒー様と一緒に回り込んで直接エイジャルを叩くわよ。」
 というと、ヒュウガが愚痴っぽく言った。
「は? なんで俺が一緒に行かなきゃいけないの?」
 それに対してリュミーアがもんくを言った。
「うるさい、つべこべ言わないで、私とお母様について来いや。」
「へいへい」
 ヒュウガはやれやれといった態度でそう答えた。
「ジェレイナたちは敵陣の左側から頼むよ、いいかな?」
「OK! 任せてください!」
 リュミーアの言ったことに対してジェレイナはそう返事をした。
「つまり、右側の手薄になったところへ私たちが突破していく感じですね!」
 ララーナがそういうと、リュミーアは言った。
「流石はお母様、その通りよ!  ということだからヒー様、右は私らが小隊を引き連れてエイジャルを直接たたく、いい?」
「り」