それにしても、ディアナ様の美貌は抜群の美しさだった。一部の女性が負けるような美しさだった。
「それを言ったらラミキュリアだって似たようなもんでしょ。
ほら、言って御覧なさい、”世の中楽勝よ”って。」
リュミーアはそう茶化すが、ラミキュリアは今回はうまくごまかした。
とはいえ、それでも、なんだか得した気分だとは思っていた、
それもこれもすべてはアール将軍様とシェルシェルさんのおかげ――
ともかく、ディアナ様の美しさはすごかった。まず、何がすごいかというと、まず、男たちが集る。
そして、それ以上に集るのが女性である。とにかく、性別を超越した美しさなのだ。
「昔から言うでしょ。”こんな可愛い子が女の子のはずがない”って。まさにディアナ様にピッタリの言葉よね。」
どこかで似たようなワードを聞いたことがあったラミキュリア。
だけど、やはり素の姿を引き継いでいるせいか、背の高い女性である点が気になった。
リュミーアも相応に背が高いが、ディアナ様はそれよりもさらに背が高い。
「ここでディアナ様のバストが役立つわね。さて、女性陣は順番に、ディアナ様の胸の中へと誘われるべし!」
リュミーアがそういうと、レナシエルのみならず、ラミキュリア、シェルシェル、プリシラもディアナ様の胸の中に甘えて見たくなってきた。
いろんな意味でお腹いっぱいになった女性陣、それとは裏腹にディアナ様は疲れていた。
「ふうー、少し、疲れてしまいました――」
汗をぬぐっていらっしゃるその仕草がたまらなく萌える女性陣。
何をやらせても美しく綺麗、そして、超カワイイ。そして、それと似たような人が。
「ふふっ、ディアナ様、ずいぶんと様になってきましたね!」
プリシラの方の仕草もなんだか妙に萌える。可愛すぎるのだ。
「絵になるなー、こう、二人を並べてみると。ディアナ様とプリシラ様、ふふん、萌えるじゃあないのよ。」
萌える! どちらか、頂いて帰ってもよろしいでしょうか? リュミーアとラミキュリアはそう思っていた。
イケナイコトを考えている女性陣はさておき、ディアナ様とレナシエルは、城壁の上から、北の空を見ていた。
「敵が近づいてきている気配がするな――」
「うん、確かにそうね、なんか、嵐が近い感じがする――」
「いいか、絶対に、私のそばから離れるなよ」
「うん! ディアナ様から絶対に離れない!」
さらに、ディアナ様はレナシエルに素朴な疑問をぶつけていた。
「この姿、どう思う?」
「うん、すっごく素敵だよ!」
「そうか。やはり、もう少し、エレイアに気を使ってやるべきだったか――」
ディアナ様は後悔をしているようだった。
ディルフォードはエレイアにとっては元々兄貴のような存在だった。
だけど、ディルフォードは腕がいいばかりに傭兵として戦地に繰り出され、エレイアに寂しい思いをさせている、
本当は、エレイアだって、もっともっとディルに甘えたかったハズだから。
だから――ディルフォードが後悔するのも頷ける話だ。
しかし、今度はこうやって、2人は昔みたいに遊びあえる仲へと戻った、いや、今はそれ以上の仲なのだが。
ディアナ様はレナシエルを抱きかかえていた。どちらもシルエットこそ女性そのものだが、
なんだかちょうどいいカップルに見えた。
1人の頼れる人が、頼られたい人を抱きかかえているという感じがまさにそれを思わせるのだ。
その様子を見ていたリュミーア、そうだ、リュミーアと言えば、
ディアナ様と同じく頼れる側の存在であり、リュミーア自身もそれを自覚していた。
「頼られたってうまくいかず、失敗することだって何度かある。
それを考えると恐ろしくて何もできなくなることだってあるわね。
そんな時はどうすればいい? 簡単なことよ、考えないようにするか、
そんなことが起きないように、自分自身の腕を磨くだけよ。
そう、私は”二度と失敗しない”と心に決めたのだから、
だからもう、誰も失うなんてことはしたくないし、誰にも失ってほしくなんかない。」
それを語った時のリュミーアの後ろ姿は夕日に照らされ、非常に寂しく映っていた。
その時の彼女は振り返ることなく、お城のほうへと去っていった、
恐らく、落ち込んで泣いているのだろう、誰もが彼女のことを察していた。
人には、それぞれ何か背負っているものがあるのだろう、
ディルフォードにリファリウス、特にこの2人についてはとても計り知れないものがあった。