ラミキュリアは彼女に案内されるがままにエレベータの前までやってきた。
しかし、エレベータが開くと、ほかの3体の女神たちが現れた。
「あれ? みなさん?」
どうしたのだろうか、プリシラは訊いた。
「みんな疲れちゃったから早々に引き上げてきたのよ。
だから、プリシラといろいろ話でもしようかと思ってね。」
リュミーアは答えた。
「ディルも、女同士で遊んでくるといいとか言って、気を利かせてくれたのよ♪」
レナシエルはノリノリだった。
「ところで、プリシラさんとラミキュリアさんはどちらに?」
シェルシェルは訊いた。
「そうですね、せっかくですから、みなさんも一緒にどうですか?」
プリシラは3人も誘うことにした。といっても、再びエレベータに乗るだけなんだけれども。
全員がエレベータに乗ると、プリシラは鍵を取り出し、エレベータの操作パネルの鍵穴に差し込み、回した。
鍵穴は2つあり、片方は当然メンテナンス用の操作パネルのフタの鍵だけれども、
プリシラが差し込んだ鍵穴はそれとは違うもう片方の鍵穴だった。
すると、エレベータが動き出した。
籠が動いている感覚からすると、どうやら、地面よりもさらに下のほうに進んでいるようだった。
「地下?」
リュミーアは訊くと、プリシラは頷きながら答えた。
「はい、地下にはこの方法でしか入れないようになっています。つまり、一般人は立ち入り禁止なんですよ。
ちなみに下僕さんの中にこの手の技師さんがいらっしゃるので、改造してもらいました。
本当はまだ問題があるので、きちんとした改造をしたいのですけれどもね――」
そのうち、エレベータは急に止まったのだけれども、普通に止まり方とは違っていきなり止まったような感じだった。
確かに、問題がありそうな改造である。
すると、プリシラはおもむろにエレベータの扉を手で開けようとしていた。
「安全装置が動いたので、自動で開かないようになっています。だから手動で開けるしかありません」
安全装置が動くほどの状態が起きていた、つまり、これは異常事態なのだ。
とはいえ、目的の場所はこの地下にあり、この方法でしか行くことができないため、
これは必要なことなのだそうだ。
手動で開けるとはいえ、扉は固くないのでちょっとした力を加えただけで女性でも簡単に開けられた。
ところが――
「えっ!? ちょっと、地面まで差なくない!?」
シェルシェルは驚きながら言った。
それもそのはず、エレベータの外にはあって当たり前のバリアフリーな地面がなく、
地面があるのは、籠から出て目下1メートル弱といったところである。
これが改造後の真の問題のようだ。
「そうなのですよ、ここへつなげることを想定して作ったエレベータではないので、
少し高さがありますが、そこまで高くないので、平気ですよ♪」
というと、プリシラはふわっと舞い降りた。降り方も素敵だった。
「じゃあ、先に行くわね♪」
リュミーアは得意げに降り立った。
戦乙女降臨って感じでなんだか勇ましかった、そのあたり、正体を考えると流石である。
「わーい♪」
シェルシェルはリュミーアに続いて可愛げに飛び降りた。ところが――
「あれ、ラミキュリアさんとレナシエルさんはどうしたのでしょう?」
プリシラがそう言った。2人が降りてくる気配が一向になかったのである。
「ねえお姉様たち、そういえばラミキュリアさんとレナシエルさん、降りるの怖いんじゃない?」
シェルシェルは心配そうにそう言った。言われてみれば、そうかもしれない。
あの2人、履いている靴にはいずれもヒールが付いていた、だから飛び降りるのには抵抗があるのかもしれない。
「そっか、それじゃあ無理強いはできないわね。」
リュミーアもヒール付きだったけれども、この人は別次元である。
「ほら、ラミキュリア、いくよ!」
リュミーアはささっと籠の中へ戻り、ラミキュリアを抱きかかえてささっと降りてきた。
同様に、レナシエルも同じよう抱えて下に着地した。
「わあー♪ ラミキュリアさんレナシエルさん、お姉様にお姫様抱っこされるなんてうらやましー!」
「いいなぁ。私もさっさと降りないで、やってもらえばよかったなー♪」
シェルシェルとプリシラは口々にそう言った。そんなつもりでは――と、二人は照れていた。