とにかく、三番手の”鉄鋼のザワール”を討つ相手はディスティアに決まった。
実は鉄鋼のザワールは、シェトランド人にとっては因縁の相手でもあった。
意識的なものはないけれども、エダルニア軍はかつて、シェトランド人を貶めようと画策していたころもあった。
しかし、その作戦は当のシェトランド人によって打ち砕かれてしまった。
その時の指揮を執ったのが鉄鋼のザワールその人で、
一方で、シェトランド人側の将はまさかのディルフォード、まさに因縁の対決となる。
「ふっ、またザワールですか、連中も凝りませんね。
ですが、それほど女神の下僕となりたいのであれば止めはしません。
この私の力も使ってください。及ばずながら、尽力いたします!」
「じゃあ、私はディルと一緒に行くわ!」
そして、シェルシェルはリュミーアと、ラミキュリアはプリシラと一緒に組むことにした。
リュミーア的にはラミキュリアはプリシラと組ませることを最初から考えていたようで、
シェルシェルとリュミーアは純粋にあまりものコンビである。
しかし、単なるあまりものコンビではなく、リュミーアはともかくも、
シェルシェルはこれから作戦に組み込まれるうえでは何気に都合がよかったりする。
その詳細は実戦にて。
「この6人が率いた軍勢で、各陣営の大将をシメる、これが第3波。
注意点として、大将の前にそれぞれ対象の片腕となる中堅がいるはずだから注意して。
ザワールの片腕は存命だったらの話だけど。そして、第4波ですべて終了ね。」
ザワールの片腕だった者についてはすでにディルフォードが打ち取っていた、新しいものが就いているかもしれないが。
そして、最終となる第4波、各陣営が疲弊している中、生暖かい癒しの妖気で彼らを誘う――誘惑魔法の完成である。
作戦会議は終わったのちにすぐさま解散し、全員で疲れていたので、それぞれ休むことにした、戦いまではまだ先が長い。
それに今頃、リュミーアがガレアに連絡して、ディスタード軍がルシルメア側から合流する手はずとなっている、
ただ、そうなることはエダルニア軍も予期しているはずである。
しかし、ここにこんな、”ネームレス”の女神が支配する町があるだなんていうのは流石に予想外だろう。
たとえ予想していたとしても、相手は”ネームレス”が2人、手も足も出ないと思うけれども。
一方、ラミキュリアはプリシラの部屋にそのまま留まっていた。
「あら? 化粧品をチェックしに行くのではなかったのですか? それとも、一緒に行きます?」
プリシラはラミキュリアにそう言った、プリシラは優しい娘だった。
「ええ、確かにそのつもりだったんだけど、今日はもう疲れちゃって。だから明日でいいわ」
ラミキュリアはそのままソファの上に座りながらくつろいでいた。
「お疲れなんですね! それなら、そのソファで横になってくださいな♪」
ええ、ありがとう、ラミキュリアはそういうと、だいぶ疲れていたので、お言葉に甘えさせていただくことにした。
そして、プリシラはその姿を見るや否や――
「やっぱりラミキュリアさんってとってもセクシーですよね! もはや女豹感満載です!
もう、すべての男という男は私に見惚れなさいって感じが出てます!」
ラミキュリアがソファに横になった時の姿、危険な香りの漂うものがあった。
男なら速攻で落ちてもおかしくはない、いや、落ちるというか、
何というか……これは表現しがたい、明らかに障りがあるのでやめておこう。
プリシラはそれを指摘すると、ラミキュリアは照れながらソファから起き上がった。
というより、ラミキュリア的にはそれを言うならプリシラのほうこそと思っていた。
第一、彼女はこの国を自分の美貌で支配しているわけだし、
恰好も神秘的で可愛らしい天使な女神様、とっても魅力的であった。
ラミキュリアはそれを指摘すると、プリシラは照れながら立ち上がった。
可愛らしいチュールのミニスカートから細くて綺麗な”女神脚”が映える。
「うふふっ、ありがとう、嬉しいです!
実はですねぇ、このスカートなんですが、丈の長さが変わるんですよ♪」
どういうこと!? ラミキュリアはそう考えると、何と、プリシラのスカートの長さが、徐々に縮んでいった。
元々膝上10~20cm程度までの長さしかない短い丈であるハズのスカートを履いているはずだが、
そこからスカートの丈がさらに縮んでいく――膝上30cm程度はあるだろうという丈にまで短くなり、
プリシラの細くてキレイな”女神腿”を拝むことができた。
「うふふっ、どうですか、これ!」
うわぁ、超可愛い! ますます可愛い! ラミキュリアは興奮しながらそう言った。
「私、実は自分の服を自在に操ることができるんですよ、服というより布ですね。
だから、その力を使って際どい恰好に変身して男の人を悩殺とか、結構好きですよ♪
あ、でも、流石に裸とかはイヤですけど――」
プリシラはその印象に反して結構大胆な娘だった。
と言っても、美貌でこの町を支配している女神様なんだから当然といえば当然か。
しかし、当然のことながら、それほどまで短いと、男女問わず間違いなく気になる点が――
「でも、そんなに短いと、中が見えませんか?」
ラミキュリアは心配そうにそう言うと、プリシラはさらにもう一押し短くし、
ラミキュリアに中がわかるようにして言った。
「うふふっ、そうですよね、確かに、これじゃあ見えてしまいますよね!
でも、普段はここまで短くしませんよ!」
ラミキュリアはその”中”を確認した。
その”中”についてはラミキュリアにも覚えがあった、
所謂”見せパン”と呼ばれるインナーで、見えても問題ないこと前提で身に着けるものである。
それでも、男的にもそれでいいという声はあるが、
覗いてほしくはないが、自分たちにとってはあくまでそういうファッションなので、
その上で見えてしまうのなら仕方がないという乙女心が優先なのである。
ただ、プリシラもラミキュリアも似たようなタイプの誘惑魔法の使い手という通り、
そのあたりもファッションの一部と受け止めて狙ってやっている節があるのかもしれない。
特に、丈が短めなミニスカートの装備が前提な2人にとっては、大腿を覆う部分は割とギリギリを攻めているらしい……?
しかし、大胆さの点においては流石のラミキュリアだって――
「ラミキュリアさんのほうこそ、そういうのは得意ですよね♪
そもそも、ガレア軍の兵士たちはほぼラミキュリアさんの下僕なんですよね!」
そう言われるとラミキュリア、そんなことは……100%ないとも言い切れなかった、
ラミキュリアのファンは非常に多い、だから、完全否定はできなかった。
ガレアには自分の信者がどれほどいることか、それ自身は全容を把握してはいないけれども、
全く把握していないといえば嘘になる、そんな感じだ。
「あっ、そうそう! だったらラミキュリアさんに、いいものをお見せしましょう。
本当は明日あたりにしようかなと思ったのですが、どうせなら今日からお見せした方がいいですよね!
どうぞ、私についてきてください!」
プリシラはだしぬけにそういうと、机の引き出しから鍵を取り出し、エレベータへと向かった。
ラミキュリアは彼女に案内されるがままにエレベータの前までやってきた。
しかし、エレベータが開くと、ほかの3体の女神たちが現れた。
「あれ? みなさん?」
どうしたのだろうか、プリシラは訊いた。
「みんな疲れちゃったから早々に引き上げてきたのよ。
だから、プリシラといろいろ話でもしようかと思ってね。」
リュミーアは答えた。
「ディルも、女同士で遊んでくるといいとか言って、気を利かせてくれたのよ♪」
レナシエルはノリノリだった。
「ところで、プリシラさんとラミキュリアさんはどちらに?」
シェルシェルは訊いた。
「そうですね、せっかくですから、みなさんも一緒にどうですか?」
プリシラは3人も誘うことにした。といっても、再びエレベータに乗るだけなんだけれども。