早速作戦決行し、彼らは正面切って、敵の目前へと迫って行った。
それに、敵が気づき、次々と攻撃を放つのだが、敵の攻撃程度ではシェトランドの民には通用しない。
そして、ディルフォードは既に敵の研究所の建物の入り口を破り、中へと潜入していた。
目の前に立ちはだかる敵は彼の手ですべて仕留める、これが、万人斬りと呼ばれた男の業である。
そんな状況下において、敵はすぐさま状況を察知していた。
「やつら、とうとう侵入してきたようです!」
「ふん、愚かな。罠だと知っていてやってくるか。
であれば、望み通りにしてやる! いいな、シェトランド島の侵攻作戦を開始だ!」
監視カメラのモニタ裏では、敵が動いていた。ところが――
「ダメです! あいつら、島の守りもきっちりと固めていて、侵攻不可能です!」
「そんなバカな! なら、なんで昨夜はあの島から連絡が!?」
「それは、わかりません――」
「早急に、何とかするのだ!」
「はっ、承知いたしました!」
「おのれぇ……、あいつら……、このままただでは済まさんぞ!」
どうやら、敵の考えていた罠はうまく機能しなかったようである。
研究所管理棟を抜け、いよいよ問題の研究棟へと侵入したシェトランドたち。
そこはデジタルによる厳重なロックが張り巡らされており、外部からの侵入に対してめっぽう強いのだ。
「ねえ、ディル、どうするの?」
「そうだな、ここはエレイアも得意な雷で破ることにしよう」
しかし、急激に管内のシステムがダウンしたのだろうか、明るかった通路は急に電気が消え、
電子ロックの電源も切れていた。
「おっ、電気が切れたぞ! よし、これなら!」
しかし、開かなかった。
「ダメだ、恐らくだが、電子制御がダウンしただけで、物理的にはロックがかかっているはず。
こうなれば力づくで破るしかない!」
ディルフォードは扉を蹴破り、中へと侵入した。
「さあ、まずは仲間を助けるんだ!」
そして、各自、行動に移った。
次々と仲間が助けられていく、作戦は着々と進んでいった。
ただ、問題は、暗がりの中で救出を行わなければいけないこと。
敵と味方をしっかり識別して事に当たらないといけないのだ。
敵のほうは暗視スコープというので余裕で確認しているようだが。
「ねえ、ディル! これ、ルーイの部屋じゃない!?」
そこは、”テラパワー・コア”研究室とあった。間違いない、ルイゼシアがこの中にいる!
ルイゼシアの部屋だけ厳重にロックされているためか、扉を破るのになかなか時間がかかった。
というのも、ここだけ電気の供給があることで、さらに、耐電装置も働いているようだった。
すると、どこかへ行っていたエレイアが戻ってきて、ディルフォードの目の前にカードを差し出した。
「これで開くかな?」
「よし、やってみよう」
エレイアはカードキーを使い、扉を開かせてみせた。すると、ベッドの上にはルイゼシアが。
「ルーイ! 大丈夫!?」
意識がないが、生きてはいるようだ、とりあえず、なんとか脱出しよう。
ディルフォードはルイゼシアを背負い、その部屋を脱出した。
そして、ルイゼシアが救出されたことで、敵のほうも焦っていた。
「大変です! とうとう”テラパワー・コア”が抑えられました!」
「何だと!? 何がどうなっているのだ!?
あそこだけは、何がどうあっても侵入はできないはず!」
「しかし、見てください、”テラ・パワー・コア”の監視映像です――」
「そんなバカな! ”テラ・パワー・コア”がっ、”テラ・パワー・コア”が奪われた!!」
すると、さらにもう一人の研究員がやってきた。
「なにを慌てふためているのだ?」
「”テラ・パワー・コア”が奪われたのだ!」
しかし、
「そう、慌てなさんな。それもすべては計画のうち、もはや、連中は袋の鼠だ。
見ろ、やつらはここから外には出れん、来た道をすべて塞がれたのだからな」
「しかし、脱出口はいくつかありますが――」
「ああ、わかっている、だが、それについてもすでに手は打ってある。
ククッ、そろそろいいだろう、今までよくやってくれた、これでシェトランドの民もおしまいだ、
お前もそう思うだろう? ”ヴィーナス・メリュジーヌ”よ!」
何やら、嫌な予感しかしない――。