エンドレス・ロード ~プレリュード~

最後の奇跡 第1部 光を求めて 第1章 すべてを失った時

第16節 シェトランドの作戦

 早速作戦決行し、彼らは正面切って、敵の目前へと迫って行った。 それに、敵が気づき、次々と攻撃を放つのだが、敵の攻撃程度ではシェトランドの民には通用しない。
 そして、ディルフォードは既に敵の研究所の建物の入り口を破り、中へと潜入していた。 目の前に立ちはだかる敵は彼の手ですべて仕留める、これが、万人斬りと呼ばれた男の業である。
 そんな状況下において、敵はすぐさま状況を察知していた。
「やつら、とうとう侵入してきたようです!」
「ふん、愚かな。罠だと知っていてやってくるか。 であれば、望み通りにしてやる! いいな、シェトランド島の侵攻作戦を開始だ!」
 監視カメラのモニタ裏では、敵が動いていた。ところが――
「ダメです! あいつら、島の守りもきっちりと固めていて、侵攻不可能です!」
「そんなバカな! なら、なんで昨夜はあの島から連絡が!?」
「それは、わかりません――」
「早急に、何とかするのだ!」
「はっ、承知いたしました!」
「おのれぇ……、あいつら……、このままただでは済まさんぞ!」
 どうやら、敵の考えていた罠はうまく機能しなかったようである。

 研究所管理棟を抜け、いよいよ問題の研究棟へと侵入したシェトランドたち。 そこはデジタルによる厳重なロックが張り巡らされており、外部からの侵入に対してめっぽう強いのだ。
「ねえ、ディル、どうするの?」
「そうだな、ここはエレイアも得意な雷で破ることにしよう」
 しかし、急激に管内のシステムがダウンしたのだろうか、明るかった通路は急に電気が消え、 電子ロックの電源も切れていた。
「おっ、電気が切れたぞ! よし、これなら!」
 しかし、開かなかった。
「ダメだ、恐らくだが、電子制御がダウンしただけで、物理的にはロックがかかっているはず。 こうなれば力づくで破るしかない!」
 ディルフォードは扉を蹴破り、中へと侵入した。
「さあ、まずは仲間を助けるんだ!」
 そして、各自、行動に移った。
 次々と仲間が助けられていく、作戦は着々と進んでいった。 ただ、問題は、暗がりの中で救出を行わなければいけないこと。 敵と味方をしっかり識別して事に当たらないといけないのだ。 敵のほうは暗視スコープというので余裕で確認しているようだが。
「ねえ、ディル! これ、ルーイの部屋じゃない!?」
 そこは、”テラパワー・コア”研究室とあった。間違いない、ルイゼシアがこの中にいる!

 ルイゼシアの部屋だけ厳重にロックされているためか、扉を破るのになかなか時間がかかった。 というのも、ここだけ電気の供給があることで、さらに、耐電装置も働いているようだった。
 すると、どこかへ行っていたエレイアが戻ってきて、ディルフォードの目の前にカードを差し出した。
「これで開くかな?」
「よし、やってみよう」
 エレイアはカードキーを使い、扉を開かせてみせた。すると、ベッドの上にはルイゼシアが。
「ルーイ! 大丈夫!?」
 意識がないが、生きてはいるようだ、とりあえず、なんとか脱出しよう。 ディルフォードはルイゼシアを背負い、その部屋を脱出した。

 そして、ルイゼシアが救出されたことで、敵のほうも焦っていた。
「大変です! とうとう”テラパワー・コア”が抑えられました!」
「何だと!? 何がどうなっているのだ!?  あそこだけは、何がどうあっても侵入はできないはず!」
「しかし、見てください、”テラ・パワー・コア”の監視映像です――」
「そんなバカな! ”テラ・パワー・コア”がっ、”テラ・パワー・コア”が奪われた!!」
 すると、さらにもう一人の研究員がやってきた。
「なにを慌てふためているのだ?」
「”テラ・パワー・コア”が奪われたのだ!」
 しかし、
「そう、慌てなさんな。それもすべては計画のうち、もはや、連中は袋の鼠だ。 見ろ、やつらはここから外には出れん、来た道をすべて塞がれたのだからな」
「しかし、脱出口はいくつかありますが――」
「ああ、わかっている、だが、それについてもすでに手は打ってある。 ククッ、そろそろいいだろう、今までよくやってくれた、これでシェトランドの民もおしまいだ、 お前もそう思うだろう? ”ヴィーナス・メリュジーヌ”よ!」
 何やら、嫌な予感しかしない――。