尋問というものは当然きついものだ。
確かに一行の後ろ盾はディスタードのガレアにいるアール将軍だ。
しかし、それを言おうもんならリベルニアとディスタードの戦争になってしまうだろう。
この2つの国が戦争しようもんなら……多くの国を巻き込み、世界大戦へと発展してしまうことだろう、
それだけは避けなければいけない、だから絶対に口を割ってはいけないのだ。
「うっふっふっふっふ……」
「楽しそうだな」
女戦士リスティーンがワクワクしているところへコルシアスが話しかけてきた。
「だって尋問よ尋問! 鞭でビシバシぶったたくだなんて、なんだか楽しそうじゃないのよ♪」
げっ、アブナイ女……。
「そうだな――同族をむごい目に合わせるというのも一興だな」
……それもイヤだ。
「ああっ、ダメダメ。たとえ同族でも女の子は私が担当ね。」
「好きにするがいい」
ということでクレンスはリスティーンに拉致された。
「えっ!?」
「そゆコト♪ 後で女同士、ゆっくりしっぽりと楽しみましょうね♪」
クレンスは恐怖におびえていた。
アーシェリスは尋問部屋でコルシアスに何度も何度もしごかれていた。
ここの”尋問官”が相手ならもっとむごいことをされていただろう、
しかし、あえてそれをしないのはアーシェリスというまだ未熟な相手であるが故のことだろう、
そうでなければアーシェリスなんか本当の”尋問”など耐えられるはずがない。
だから彼はコルシアスの拳をガンガン喰らうことになっていた。
「どうだ! 言う気になったか!?」
「うっ、ううっ……」
「そうか、ならば仕方がない――」
アーシェリスはさらにみぞおちに一撃食らわされた。
「どうだ! これで言う気になっただろう!」
しかし、その返事はなかった――。
「ちっ……かつての英雄とまで呼ばれたこともあったあのクライド家も地に落ちたもんだ、この程度で気を失うとは。
仕方あるまい、次のやつを連れてこい!」
アーシェリスは耐えられなかった、1分程度で気を失ってしまったようだ。
「これが尋問ですか? 意外とあっさりとしたものですね」
一方のバディファだけは尋問官相手に特別待遇を受けていた。
「そうかいよぉ、こいつがバディファかぁ、随分と楽しめそうだぜぇ……」
「へえ、私の名声はここまで届いておりましたか、といっても尋問されないことに越したことはないのですがね――」
バディファは前の大戦では捕虜になったこともあり、このような尋問を受けつつもそれを耐え抜いたという実績があった。
アーシェリスなんかとは場数が違う――そう言うこともあり、尋問官も楽しそうにバディファを”尋問”していた。
「これならどぉだぁ!」
「ぐはぁっ!」
「さ・て・と♪ 次はどこをぶっ叩いてあげよっか♪」
「なんだこの尋問――」
リスティーンの最初のデモンストレーションによって、
肉の塊をものすごい鞭の一撃で粉砕した光景を目前で見せつけられたラークスは終止恐怖していた。
しかし、その後もビシバシその辺を勢いよくぶったたくも、ラークスには一切当てることはなかった。
「だって、直接当たったら痛いと思わない?」
「そっ、それは……まあ――」
「でしょ? だったら素直に言ったほうがいいと思わない?」
しかし、ラークスはかたくなに拒んだ。
「あら、そう――言わないのね……なかなか見上げた根性の持ち主じゃないのっ!」
リスティーンはそう言うと同時にものすごい鞭の一撃を浴びせた! しかし――
「うっふふふふふ……」
ラークスには当てず、半歩隣の地面を勢いよく破壊すると、そこには妙な乱気流のようなものが渦巻いていた――。
そしてさらにもう一撃その辺にある木片を粉砕すると、それは形を残すことなく粉々に――
それが余計に精神的にラークスを苦しめていった。
「いいわ、もう少しだけ時間をあげるわ、同じ目に合いたくなければよく考えることね。
次は――可愛い娘ちゃんたちと楽しむ時間よね♪」
そう言うとラークスは――
「まっ、待て! それはダメだ!」
しかしリスティーンは――
「残念だけどあんたはタイムオーバーね。そういうわけだから次、さっさと連れてきなさいな。」
手下がラークスを退けると、次にクレンス、トキア、ユーシィ、ディアナリスを――
「待て! やめろ! やめるんだ!」
「うっふっふっふっふ、楽しみね、可愛い娘ちゃん4人なんて♪」
4人の女性陣はうつむいていた。
「さてと、これからここは女の園になるんだから、お前らも全員ここから出ていきな!」
手下たちはリスティーンのそのセリフに驚いていた。
「いいから、さっさと出ていきな! 女の園に男子は立ち入り禁止だよ!」
手下たちはしぶしぶ退場した。さらに、リスティーンは監視カメラも鞭で叩き壊した。
その様に手下たちはなおも驚いていた。
「あん!? なんかもんくあっか!?
言っとくけど覗きはもちろん”その手の類”の撮影は一切お断りなんだよ!
アタシに女の子の裸を野郎共に披露させるような趣味はねえんだよ! いいか!
こいつはアタシのポリシーだ! どうしても女の裸を見たけりゃ他所をあたりな!」
……確かに、それはわからんでもない――手下たちは少々がっかり気味にその場を後にしていた。
そして扉が閉まり、リスティーンは鍵をかけると――
「うっふっふっふっふ、ここからは女同士ね。さてと、どんな楽しいことをしてあげようかしらん♪」
楽しそうなリスティーンは鞭をくるくると振り回すと辺りは真っ白な霧のようなものに包まれていった、
念押しに覗き防止と言わんばかりの処置のようだが――。
だが、楽しそうなリスティーンとは裏腹に、4人は恐怖でしかなかった。
それから半日ぐらいが経っただろうか、コルシアスは固く閉ざされていたハズの牢獄を調べに行った。すると――
「そんなバカな!」
あわててリスティーンの部屋へと向かった。
リスティーンはソファの上に、まるで女王様気取り寝そべっていた。
「レンティスがいなくなっているぞ! どういうことだ!?」
「ふふっ、意外と役に立たないのね、”エクスフォス・ガラディウシス”って。」
リスティーンの部屋にはもう一人誰かがいた。
コルシアスはその気配に気が付くと、そこには信じられない光景が!
「レンティス!? 何故こいつがここにいるんだ!?」
「私の予想通り、こいつはやっぱり仲間同士合流しようと画策していたからね、あんたは詰めが甘いのよ。
だからこの私が捕まえてあげたのよん、この私の鞭でね♪」
「鞭で捕まえただと?」
「そうよ。でなければこんな敵地に入れば猛獣みたいに暴れまわる戦士がおとなしくくすぶっているわけないでしょう?」
コルシアスにはリスティーンが言っている意味が分からなかった。
「あんたって本当におバカさんね。
簡単にいえば、こいつは今この私の従順なる下僕ってわけよ。ねっ、レンティス♪」
すると、レンティスはリスティーンに向かって跪いた。
「はい、すべては女王様の意のままに――」
コルシアスは驚いた。
「まさか――レンティスを誘惑したのか?」
「ええ、私の鞭にかかればどんなやつだってイチコロよん♪
ねっ、レンティス♪ この世で一番美しい生き物に対して経緯を払いなさいな♪」
と、リスティーンは楽しそうに言うと、レンティスはリスティーンに対して再び跪いていた。
そんな光景に対し、コルシアスは首を何度も振りながら言い放った。
「バカげてる! そんな悪趣味な手段、俺は認めん!」
「うるさいやつね、別に認めてくれなんて一言も言ってないでしょ。
それに、そろそろ私のプロジェクトは始動し始めちゃってるんだからあんたに何言われたってそんなの知ったこっちゃないわよ。」
「私のプロジェクトだと!?」
「ええ、そうよ。とにかく、尋問に行ってくるわね♪」
リスティーンは立ち上がるとその場を後にした。だが、その後ろをレンティスが付いていった。
「なっ、なんなんだあの女――」
コルシアスはその後ろ姿を見ながら驚愕していた。